日本は高齢化社会が進んでいるということもあり介護職の需要が年々高まっています。

介護職は体力が必要な仕事なので若い人が多いイメージがありますが、最近では40代や50代の年齢の方で介護職へ転職をするケースも増えています。

その背景には40代や50代の方だからこそのメリットや活躍できる理由があるので、このページで詳しく解説をいたします。

実は中高年層の就労割合が高い職種

介護職は、中高年層の方の就労割合が高い職種でありますが、意外と知られていないところもあります。そこで今回は介護職の仕事内容、メリット、デメリットや転職する際の注意点などについてまとめてみました。

介護職は、40代、50代の方が就労割合が高いですが、その理由は下記の様になっています。

①「未経験でも可能」

一般的には、40から50代で未経験の職種への転職はかなり厳しいですが、介護職は、必ず資格がないとできないという仕事ではないため需要も高く転職しやすいと言われています。

また、介護職で重要なのは「体力」で力仕事が基本となります。そのため体力に自信のある中高年の方は転職できる可能性があります。

②「コミュニケーション能力が活かせる」

介護職では、コミュニケーション能力や事務作業などこれまで培ってきた能力が活かしやすい点も中高年の方の就労割合が高い理由となっています。介護職は、身体が不自由な方などを介護したりするため、コミュニケーション能力を発揮して、介護しながら利用者の方と意思の疎通をはかる必要があります。

事務作業などの経験は、介護職でも介護現場のスタッフを管理する様な業務もあるため、事務作業ができると仕事の幅が広がるでしょう。

大きく分けて3種類ある介護職の仕事内容とは?

介護職の3種類の仕事は、下記の介護士、介護福祉士、ケアマネージャーがあります。

ケアマネージャーなどは経験を必要とする資格なので、転職を検討する前に把握しておいた方が良いでしょう。

①介護士(ヘルパー)

主な仕事内容は、「身体介護」として食事や着替え、入浴などの介助を行ったり、「生活援助」として掃除や洗濯、買い物などを援助します。「通院介助」では、通院の手助けをする仕事と内容になり色々な業務があるので、普段から家事などをしていたり、体力がある方には特に向いています。

職場は、老人ホームや利用者の自宅、病院などがあり、その職場によって仕事内容も異なります。

②介護福祉士

介護福祉士は、社会福祉専門職の介護についての国家資格です。仕事内容は、介護に関する専門的な知識や技術を他のスタッフに伝えて、現場で指導するリーダー的な存在です。

③介護支援専門員(ケアマネージャー)

ケアマネージャーと言われる介護支援専門員は、介護保険サービスを利用する上で必要となる「ケアプラン」の作成などを行います。

ケアマネージャーは、利用者の相談に応じて、介護のサービスについて利用調整を行い利用者が自立した生活を送れるように支援することも仕事内容です。

その他の仕事

生活相談室(生活支援員)

生活相談室の生活支援員は、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設に勤務して、介護を必要とする方やその家族の相談に応じることが仕事です。

主な仕事内容は、特別養護老人ホームや有料老人ホームの利用者の入所や退所に一緒に同伴して事務手続きをします。

他の業務としては、介護サービス利用中の利用者の相談に乗ったりします。介護を必要とする方の生活を支援するため、仕事内容は多岐にわたる職種です。

ホーム長・施設長

ホーム長(施設長)とは、施設の運営責任者このことで、施設の採用、指導や管理などのマネジメントが主な仕事となります。他業界で役職を務めていた方などは、その経験を活かすことができるのでおすすめです。

さらに経営管理、利用者の対応などの仕事内容もあり施設によってホーム長に必要とされる資格は異なります。

特別養護老人ホームの施設長は、社会福祉主事の要件のどれかを満たしている方、社会福祉事業に2年以上携わっているなどのいずれかに該当すれば資格要件として認められます。

介護職に必要な資格

無資格でもなれる介護助手・介護補助は、食事の用意・部屋の清掃などに関わることが可能でも、利用者の体に触れる身体介護やメンタル面でのケアは資格がないのでできません。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、利用者の身体に触れる身体介護の仕事をするために必要な資格です。

この資格を取得することで、利用者の食事・着替え・入浴介助などが行えます。

介護職員初任者研修の受験資格は不問なため、最も取得しやすい介護の資格となっています。

以前介護職の資格としてあったホームヘルパー2級に相当する資格が介護職員初任者研修なので、一般的にも広く認知されている資格と言えます。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の次のステップとなる資格です。

介護職員初任者研修より、幅広い知識、技能を身に付けることができる資格で、医療的な技能、知識の習得を目的としていて、以前あったホームヘルパー1級に相当する資格です。

こちらの資格を取得していると医療行為の一つである「たんの吸引」などが介護職員でも実施できるようになったのもポイントです。

介護福祉士(ケアワーカー)

介護福祉士であるケアワーカーは、介護職唯一の国家資格です。

仕事内容は、身体介護・生活支援の提供の他、在宅介護に関する相談も行います。

利用者の精神面でのケアも行う資格であるため、支援を必要とする利用者にとっても頼もしいのが介護福祉士です。

また、中高年の方が転職する際にも、介護福祉士の資格を持っていると、採用担当者もあなたを認める可能性が高くなります。

社会的信頼も高いので、将来的に考えても安定して介護の仕事を継続してできる資格でしょう。

ケアマネージャー

介護職に必要な資格として、ケアマネージャーがありますが、利用者のケアプランの作成だけでなく、市町村などの委託を受けて要介護認定申請などの調査を行う仕事内容もあります。

介護制度の中核的な存在であるケアマネージャーは、介護現場のことを把握している必要もあり、その上で経験を活かしてケアプランの作成などを行います。

介護福祉士・社会福祉士などの資格を持ち、実務経験と相談員の経験が5年以上ある方が受けられる国家資格なので、ケアマネージャーを目標にして、介護職に就くことを計画するのも良いです。

40代・50代の方が介護職で働くメリット

パートなどの働き方が選べる

中高年の方が介護職で働くメリットの一つは、正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの短時間労働もOKなところも多いので自分に合った働き方ができる点です。

一度休職しても、再度介護職として働くことも可能なので、自分の都合ににより働くことができる職種だと言えるでしょう。

同年代が多い

同じ40から50代の方が多いのが介護職の特徴なので、仕事を通じて中高年同士の友人もできやすい環境なのも介護職のメリットです。

40代から50代の方が介護職に多いのは、培ってきた経験などを活かして介護の仕事ができるので中高年に有利な業界・職種なためでしょう。

厚生労働省のデータを見ていると施設で働く介護職の場合、40から49歳が全体の23.5%、50から59歳が19.3%を占めています。

これは、合わせると42.8%になり、全体の4割以上が40代、50代で占められていることになり、いかに中高年の多い職種かわかります。

これまでの仕事・人生経験を活かせる

介護職には、現場で介護するだけでなく色々な職種があるので、過去の仕事や人生経験を活かせるのもメリットです。

例えば、管理職の経験を活かして運営側に回ったり、運転経験を活かして利用者の送迎を行うことや、事務経験を活かして介護施設などで事務の仕事をするチャンスもあります。

親の介護プランを事前に検討できる

中高年の方が介護職で働くメリットとして、介護職に転職することで介護に関する精度や仕組みを理解できるため、その知識と経験をプライベートで活かすことができることが挙げられます

例えば、両親が介護を必要とした場合、どのようなサービスを利用できるかや、どのような施設を選ぶべきかなどの検討がしやすくなります。

高齢の両親の多い中高年の方にとっては、介護プランを事前に検討できることは、少しでも早く両親のケアをすることができて良いです。

未経験でも挑戦しやすい

一般的に40代、50代になると未経験の職種への転職のハードルはかなり高くなりますが、介護職は求人も多くチャレンジしやすいです

実際に介護職として働く時に気になる研修制度なども、未経験の方向けの研修が充実しているところも多く、未経験の50代でも挑戦しやすい環境だと言えます。

40代・50代の方が介護職で働くデメリット

平均年収よりも収入が低い

中高年の方が介護職で働くデメリットの一つは、給与が同じ年代の平均よりも下回ることが多いことです

「平成30年度介護労働実態調査」によると、平成30年度の正規職員の所定内賃金は平均で234,873円となっているので、他の営業などの職種と比較した場合、低い給与となっています。

少しでも年収を上げるためには、介護福祉士やケアマネージャーなどの資格を取得して収入の良い施設に転職するという方法もあります。

年齢所定内賃金
25歳216,131円
26歳217,894円
27歳219,865円
28歳227,635円
29歳231,161円
30歳234,873円

「平成30年度介護労働実態調査」

人間関係での悩みも多い

他の中高年で介護職で働くデメリットは、他の仕事と同じように人間関係での悩みがあります

介護職は、無資格、未経験でも働きやすいので日本度で話すことにまだ慣れていない外国人の方も多く、言葉や文化が異なるため人間関係で時にはストレスになる可能性もあります。

また、年下から指示されたり女性の多い職場が苦手という方は介護職に向いていない場合もあるでしょう。

40代・50代の転職で気をつけるべき点

健康状態

40代、50代の介護職への転職で気をつけるべきこととして、健康状態が良好かどうかです。

介護職は、重い物をもったり利用者を支えたりするため、かなり体力を必要とする仕事内容です。

利用者の方を支えたりする際には、想像以上の力が必要なケースもあるので、介護に必要な力があり健康状態が良い必要があります。

介護職の採用担当者の方も健康状態は重視していることも多いので、日頃の身体のメンテナンスなど体調管理をしっかり行えることも、面接などで採用担当者に伝えた方が良いでしょう。

腰などに違和感のある方などは、普段どのように対処することで仕事に支障をきたさない様にできるかが大切です。

前職への強いこだわりや柔軟さ

40代、50代の方は今までの仕事で培ってきたスキルや経験などもあるので、前職への強いこだわりがある方もいます。

面接では前の職業に固執しすぎないで柔軟性があるということをアピールするといいでしょう。

中高年の介護職への転職では、「若い上司の指示があった時、抵抗なく従えるか」という点も重視されるのでコミュニケーション力やチームプレーができることを伝えることはとても大切です。

チームプレーなどは、前職などの経験から具体的な体験談をまじえてアピールできると好印象です。

40代、50代で未経験から介護職で活躍する方法

中高年の男性、女性が未経験から介護職で活躍するには、今現在の自分の知識や経験を把握することから始まります。

自己分析をして、介護職で自分がどのような仕事をできるのか客観的に把握することで、どの介護職の職種に応募するか決まります。

面接などでは、介護士であるヘルパーを希望していれば、体力に自信があるか確認されるので、前もってどのように答えるか決めておくと良いでしょう。

未経験で介護職を希望する際に、自分の人生観などもとても大切になってきます

家族のために自宅で介護をした経験などがあり人生観が変わったと感じた方は、介護職の採用段階でそのような人生観を変える介護を通した経験を、志望動機と結び付けてアピールできると内定獲得の確率も高くなるでしょう。