社会人として働き始めてから何年か経過すると、転職を意識したり転職に向けて具体的に動きだしたりする方もいることでしょう。
その中には、自分の都合で転職するのではなく、ヘッドハンティングされた企業に転職するという方もいるのではないでしょうか。
ヘッドハンティングは、優秀な人材を集めるための引き抜きのことで、いろいろな会社の間で行われている行為です。
他の会社の方から「うちの会社に来ないか」と声をかけられることが一般的ですが、言われるがままに転職して良いのでしょうか。
ヘッドハンティングをされたら、気持ちとしてはかなり嬉しいですが、自分にとって必ず成功する転職になるとは限りません。
そのため、ヘッドハンティングされたときに確認したいことや注意したいことを確認していきましょう。
他社の方から声がかかるヘッドハンティングとは?
多くの企業で採用している人材確保の方法は、新卒採用や中途採用が中心になりますが、自社で募集をかけたとしても必ず優秀な人材が確保できるとは限りません。
ある意味、どんな人材が集まるのかは未知数で、応募してきた方の中に求める人材がいないケースも考えられます。
その点、ヘッドハンティングなら、すでに他社で活躍している方や実力ある人材を引き抜くことができるし、自社にとっては確実に優秀な人材を確保することにつながります。
従来は外資系の企業や海外で行われることが多かったヘッドハンティングですが、近年では日本国内でも取り入れる会社が増加傾向です。
日本国内でのヘッドハンティングは、他社の社員が直接声をかけてくるケースのほかにも、いくつかヘッドハンティングされる方法があります。
次では、ヘッドハンティングされるためにやっておきたいことを紹介していきます。
ヘッドハンティングされるには? 努力すべきことを紹介
ヘッドハンティングは、現在の企業でまじめに働いていればいつか誰かに声をかけてもらえるというようなものではありません。
他社の方から声をかけてもらうとしても、他社の方との出会いや自分の実力を示す場所も必要になるでしょう。
そういった出会いがない・期待できない方は別の方法を考えなければなりません。
将来的にヘッドハンティングによる好条件での転職を目指す方にもピッタリの今すぐできることをチェックしていきましょう。
ヘッドハンティングサービス会社を利用する
国内にはヘッドハンティング自体を人材ビジネスとして扱う会社があり、ヘッドハンティングを期待する方はこうした人材紹介会社を利用することがおすすめです。
ヘッドハンティングサービス会社に登録すると、企業が求める条件に自分がマッチすればヘッドハンティングサービス会社からスカウトされる仕組みです。
ヘッドハンティングサービス会社では、はじめに企業が求める優秀な人材を登録者全体から独自のルートやデータベースで探します。
スカウトが成功して、登録者がスカウトした企業に入社するとヘッドハンティングサービス会社に報酬が支払われます。
実際に、ヘッドハンティングサービス会社に登録するときは、企業から求められるようなスキルや実績があるとより有利になります。
リファラル採用とは
リファラル採用は自社の社員が人材を紹介して採用になるケースのことで、紹介してもらうためには幅広い横のつながりも重要になります。
自社の業務内容を熟知した社員が上司や社長に紹介するため、より業務に最適な人材を確保できることが会社側のメリットです。
リファラル採用に期待したい! という方は、日ごろから同じ業界の友人・知人を作っておき、ある程度のコミュニケーションを取っておくようにしましょう。
異業種よりも同じ業界の方が専門的な話をしやすく、お互いの理解も早まるでしょう。
日ごろから情報収集を行い、いつでも声をかけてもらえるようにスキルや技術も磨いておくのがおすすめです。
業界や他社にも目立つような実績を上げる
現在の会社で働きながら、業界や他社まで伝わるような実績を上げることもヘッドハンティングされる道の1つです。
業界全体に知れ渡るような実績を上げれば、その内容に目を付けた他社からヘッドハンティングの連絡が来る可能性が高くなります。
複数社から連絡がくることもあり、このケースでヘッドハンティングされる場合はかなりの好条件が期待できます。
ビジネス系SNSを使ってつながりを増やす
SNSというと、InstagramやFacebookなどがすぐに思い浮かびますが、SNSの中にはビジネスに特化したSNSが存在しています。
世界最大級のビジネス特化型SNS「Linkedin(リンクトイン)」や、月間200万人が利用している「Wantedly(ウォンテッドリー)」などが代表的で、InstagramやFacebookと同じような感覚で、他社との出会いやつながりを作ることができます。
ビジネス系SNSを利用していくと、多くの企業の投稿をチェックできたり、場合によっては情報交換できたりします。
ひょんなことからつながった! ということも期待でき、今後のビジネスを大きくしていきたい方にはマストアイテムと言っても過言ではありません。
多くの利用者がいるので、自分のビジネスへの視野を広げることができ、場合によっては人材発掘を手がけるヘッドハンターから連絡が来ることも期待できます。
ヘッドハンティングのメリットとデメリットについて
もし、自分がヘッドハンティングされたとしたら、かなり嬉しくて舞い上がるような気持ちになってしまうかもしれません。
ですが、単純に嬉しいからそのまますぐ転職することはリスクが高くて危険です。
ヘッドハンティングは他社から引き抜いてもらうという、ある意味「特殊な評価」をされるものです。
気持ちの上では嬉しくても、メリットやデメリットをしっかりと把握して、本当に転職した方が良いかを見極めることが重要です。
それでは、ヘッドハンティングのメリットとデメリットについて解説していきます。
ヘッドハンティングされるメリット
ヘッドハンティングはそもそも、優秀なスキルや実績がある人材を確保する手段です。
よその会社から引き抜いて自社に入社してもらうために、前の会社より給与にプラスアルファがあるなど、スキルや実績を評価されていることが目に見えてわかる待遇がほとんどです。
つまり、一般的な転職よりも好待遇になりやすいことがメリットといえます。
また、ヘッドハンティングサービス会社を通している場合は、サービス会社のヘッドハンターが各種交渉を直接行います。
希望や条件がある方はヘッドハンターに伝えることで交渉してもらうことができ、またヘッドハンターの提案も受けることができるなど、自分に有利な交渉ができることもメリットの1つです。
ヘッドハンティングされるデメリット
ヘッドハンティングされて転職するときは、人によっては自分のスキルや実績を評価されていることがプレッシャーになることがあります。
入社する時点から今後の活躍を期待されている、優秀な人材という看板を背負っている状態になるため、重圧を感じる方もいるでしょう。
入社する時点でのプレッシャーは、デメリットと考えることもできますが、あまり深く悩まずに正当な評価をされていると受けとめるように考え方を変えてみてください。
デメリットだと考えるとどんどん辛くなってしまいますが、正当な評価をされればこんなもんだと考えるようにすれば、少しは気持ちも楽になるでしょう。
また、もう1つのデメリットとして、ヘッドハンティング詐欺が発生していることが挙げられます。
この詐欺は、ヘッドハンティングという制度を上手く利用してお金を請求されるもので、場合によっては詐欺だと気付かないこともあり危険です。
- スカウトの手続きに費用がかかる
- 入社前に有料のセミナーを受講しなければならない
といったように、話を聞いた時点では、そんなこともあるんだと思えるようなことからで金銭を取られる詐欺が発生しています。
ヘッドハンティングという制度には、手続きやセミナーに費用がかかることはほとんどないので、気を付けるようにしましょう。
ヘッドハンティングされたときの注意点
ヘッドハンティングされたときは、嬉しさが先立って詳しい内容の確認など遅れてしまうことがあります。
誰でも頑張りを認められて評価されたとなれば嬉しいものですが、ヘッドハンティングされたときはいくつか注意したいことがあります。
ヘッドハンティングサービス会社経由、リファラル採用でも、もしヘッドハンティングされたときの注意点を確認していきましょう。
なぜ自分がヘッドハンティング(スカウト)されたのか確認する
ヘッドハンティングされると誰でも嬉しくなりますが、なぜ自分が選ばれたのでしょうか。
普段から多くの実績を上げている、スキルや技術の向上が著しいなど、ヘッドハンティングされる理由や経緯がどんなものか確認してください。
どのような経緯でヘッドハンティングされたのかにより、今後の働き方や入社後の扱いも変わってきます。
スカウトの時点で疑問に思ったことは細かく確認を行い、返答があいまいな場合は転職の判断も慎重にする必要があるでしょう。
転職条件をしっかり確認する
ヘッドハンティングサービス会社経由でスカウトされたときは、特に注意してほしい部分です。
ヘッドハンティングサービス会社は自社の利益のために、登録者をなんとか入社させようと働きかけている可能性もあります。
そのため、契約条件などが口頭のみ、電話連絡のみということもあります。
契約条件などは正式な書類を提示してもらうことが望ましく、仕事内容など細部までしっかり記載してもらうことが重要です。
ヘッドハンティングサービス会社とのやり取り内容の食い違いは、転職トラブルの元になるためしっかり確認するようにしましょう。
怪しいヘッドハンティングサービス会社ではないか
登録した覚えのないヘッドハンティングサービス会社や、見知らぬヘッドハンティング会社を名乗るヘッドハンターから連絡が来たときは、すぐに契約するようなことは避けて一旦保留にするか、考えさせてほしいなどと言って距離を保つようにしてください。
距離を保つ間、会社名やヘッドハンターの氏名をインターネットで検索して、信頼できる人物なのか確認するようにしましょう。
信頼できるヘッドハンティングサービス会社なら、公式サイトがありそこに連絡先が記載されているでしょうし、ヘッドハンターの場合もどのヘッドハンティングサービス会社に所属しているか、どれほどの実績があるヘッドハンターなのかもある程度は調べられるはずです。
会社名を名乗らないようなヘッドハンターは詐欺の可能性が高く、偽名を使っているとしても詐欺情報としてヒットする可能性があります。
ヘッドハンティングは実力を認めた上でスカウトされるため、ある意味限られた方しか体験できない特別な経験です。
特別な経験だからこそ騙しやすい部分があり、ヘッドハンティングを希望している方は十分に注意しなければなりません。
また、少しでも怪しいと感じた人物とはコンタクトを取らないようにするのも良い方法です。
後々トラブルに発展することを未然に防ぐことにつながります。
ヘッドハンティング=採用ではない! すぐに現在の会社を辞めてはいけない
ヘッドハンティングは、スカウトされたら即採用されるものではないことを知っていますか。
他社のやり手の社員や部長クラスからスカウトされたら、そのまま他社に自分の席が用意されているようなイメージの方もいるかと思いますが、スカウトから採用までは雇用契約が必要になります。
これは、どのようなヘッドハンティングの場合でも同じで、雇用契約を結ぶまではスカウトしただけ(声をかけてみただけ)の状態になります。
そのため、ヘッドハンティングされたからといって、すぐに今の会社を辞めてはいけません。
このスカウトが、詐欺だとしたら今の仕事も高額な現金も失うことになりかねないからです。
ヘッドハンティング詐欺は、有料セミナーの受講や、保証金といった形で高額な現金を要求してきます。
それを断れば、好条件での転職が実現しないという弱みにつけこんでいるため、どうしても支払わないといけないような気持ちにさせられます。
詐欺に気づくとすれば、ヘッドハンターと連絡が取れなくなってからだと思うので、その時点で前の仕事も辞めていれば無職になってしまいます。
このような事態を避けるためにも、ヘッドハンティングは即採用ではないことを覚えておき、詐欺に合わないように十分に注意しましょう。
ヘッドハンティングの詐欺は概ねこのような流れで行われることが多いようです。
- 電話やメールでヘッドハンティングの連絡が入り、好条件を提示される
- ヘッドハンターから直接対面した面談を求められて、キャリアに関する話をする
- 最終的にオファーを受ける前に、高額な有料セミナーを受講するよう求められる
- セミナー受講後に契約書の締結
- 契約書の締結のときに、後日返金されるという保証金の支払いを求められる
- 支払い後、連絡が取れなくなる
通常のヘッドハンティングであれば金銭の要求をしてくるというのは考えにくいため、素直に話を聞かないでさっと縁を切ってしまうのがいいでしょう。
もしもしつこいようだと警察などにも相談をするなどの対応がおすすめです。
ヘッドハンティングされた? と思ったら確認しておきたいこと
ヘッドハンティングは、仕事上の実績を積んでいる方なら誰にでもチャンスがあるものです。
ヘッドハンティングサービス会社から連絡がくることはもちろん、思いもよらないシーンで他社からスカウトされることもあります。
もしも、ヘッドハンティングされた?と思う出来事があったら、次の項目を確認してみてください。
- 仕事内容・給与面・待遇について明確に確認する
- ヘッドハンティングされた企業について調査・確認する
- ヘッドハンティングされた経緯を調べる
- 信頼できるヘッドハンターなのか確認する
- すぐに今の職場の退職をしない
上記の項目のうち、仕事内容や給与面に関しては、雇用形態や役職、具体的な給与額も確認するようにしましょう。
ヘッドハンティングされた企業のことは、インターネット検索でも良いので、ブラック企業ではないか、詐欺ではないかを確認する方が安心です。
ヘッドハンティングされるまでの経緯も、詐欺が絡んでいる可能性があるためしっかり確認しておきましょう。
自分にヘッドハンティングされるような実績がまだない方や入社して間もない方は特に詐欺の可能性が高いです。
そして、今働いている職場の退職は焦らずに、ヘッドハンティングが本物で納得できる内容のときだけ退職手続きを取るようにしてください。
転職を希望しているときにヘッドハンティングされても冷静に対処しよう
社会人として働き始めると、さまざまな理由から転職を意識することがあります。
転職を考えているときは、自分の希望に合う労働条件の企業があればすぐにでも転職したくなるものですが、焦りは禁物、地に足のついた行動が重要です。
これは、ヘッドハンティングの場合も同じで、自分が希望する条件以上の好条件を提示されたとしても、浮足立つのではなく冷静な対応が必要です。
ヘッドハンティングそのものが特別なスカウトであることも踏まえて、自分にスカウトされるような実績があるのか、相手企業は実在する企業なのかなど、しっかりと確認するようにしてください。
冷静に対処することで、自分の実績がどんな風に評価されているか、実は詐欺に引っかかりそうだったなど見極めることができます。
ヘッドハンティングではない一般的な転職をするとしても、優良企業とブラック企業の見極めにも役立つでしょう。
転職をするならヘッドハンティングの方が好条件になり、気持ち的にも認められているという自信につながります。
ですが、転職を希望している今だからこそ、冷静さが求められるのです。
浮足立つ気持ちになったとしても、一旦クールダウンをして今一度考えるようにしてみてください。
きっと、自分の転職にとって、良い選択肢が見つかるはずです。