就活というのは辛く厳しいもので、毎日泣いてしまうという方もいるほどです。
しかし、中にはコネによって内定が決まり、就活の苦労なしに就職できるという方もいます。このようなコネで入社したのが周りにバレると嫌われるのか、入社後にどのような困難があるのかを解説します。
コネ入社とは
履歴書の提出や面接を受けるといったことをすることなく個人的な繋がりによって就職するということをコネ入社と言います。親が会社の偉い人だったり、親が会社の偉い人と親密だったり、本人が会社となんらかの繋がりを持っていたことで実質的に就活なしに就職できることがあります。
その他にも、自分の親類がコネ入社が可能なだけの繋がりを持っていることがありますし、大学教授や学校・サークルの先輩の紹介によって会社に入社するということもあります。
取引先や仕事でお世話になった人に転職先の紹介をしてもらって入社するというのもコネ入社にあたります。
コネ入社が嫌われる理由
多くの就活生は採用試験を受けることで入社していますが、コネ入社はそうではありません。
書類選考や面接、そして筆記試験を何度も繰り返して採用されるのが就活生であることから、通常のルートで入社した人達にしてみると、コネ入社というのはズルをしたように見えてしまいます。
それならばコネ入社したことを隠せば良いと考えても、入社した会社に親族がいたり、顔見知りがいたりするとどうしてもバレてしまうものです。
役員と知り合いくらいの間柄でも小さなことでコネ入社をしたのだと悟られる危険があり、バレると同僚などに嫌われるリスクが生まれます。
コネ入社をしたことが知られてしまうと、同じ会社で働いている人々に「自分は頑張って入社したのにコネ入社だなんて常識がないのか」と見られる可能性があります。
加えて、一人で就活を終わらせることも出来ないと見下されることもあります。
他にも、コネ入社ということから他の社員以上の能力とやる気が求められます。
その上で、能力でもモチベーションでもハードルを超えられない場合は「仕事ができないけれども辞めさせられない人材」とみなされ、窓際族にされることもあるのを覚えておきましょう。
コネ入社の人が社内で上手く立ち回るには?
コネ入社はさまざまな嫌われる要因があることは紹介しましたので、次はその上でコネ入社をしても嫌われないように立ち回るコツというのを抑えましょう。
他の社員よりも働く
コネ入社によって、モチベーションが他の社員に比べて不足していると見なされることがります。
そのため、仕事へのモチベーションは一際強く見せていく必要があります。それには雑用含めてさまざまな仕事を率先して引き受けて、もしも納得が行かないとしてもできるだけ残業をするのが重要です。
コネ入社をしている以上は自分は他の人よりもずっと仕事をしないといけないのだと理解しましょう。他の人より仕事をしないとなると、すぐにコネ入社がマイナス評価をする材料になってしまいます。
コミュニケーションを積極的にとり、親しみやすい存在、仕事を頼みやすい存在と感じさせる
コネ入社はどのような形であっても普通の入社方法ではありません。そのため、職場の上司・先輩からも含めて「自分たちとは違う存在」と見られてしまうことが考えられます。
そうなると、コミュニケーションを取るのが難しくなり、最終的には仕事をするにも支障が出る可能性があります。そのような状況になるのを防ぐためにも、コミュニケーションを積極的に取って「自分は運が良かっただけでみんなと同じだ」ということを示し続けないといけません。
「コネ入社をして就活は終わったからもう大人しくしよう」ではなく、コネ入社をした以上は常に自分は親しみやすく仕事を頼みやすい人物だとアピールし続ける必要があります。
不満や悪口を言わない
コネ入社をした以上、「自分は能力的にも人格的にもそれに見合う存在だ」と示し続ける必要があります。少し嫌なことがあってもそれに対して不平不満や悪口を言うと、自分に損な結果になることがあります。
したがって、自分からは悪口や不満を言わないというのが結果的には一番良いと言えます。コネ入社をした身である以上、それだけで相手に陰口の口実を与えているようなものだというのを理解しましょう。
「コネ入社をしている自分は良い意味でも悪い意味でも同僚たちとは違う存在だ」ということを受け入れ、周りに溶け込むために常にポジティブな要素のみに集中して立ち回る必要があります。周囲の悪口を言うムードに流されないというのも大切です。
簡単かつすぐに退職しない
コネ入社というのは人間関係を利用した就職方法です。そのため、自分の全ての言動は、その職場を紹介してくれた人の評判に関わるというのを自覚する必要があります。
就職の仲介をしてくれるくらいに親しい存在というのは得難い存在にもかかわらず、コネで入社した会社をすぐに辞めてしまうのは、間接的に相手の面目を潰してしまう行為になります。
そんなことをすると、相手とのこれからの関係が悪化してしまう危険があるので、絶対に避けましょう。また、コネ入社によって昇進が早かった場合は、転職先での収入が激減する可能性が非常に高いのも理解しておく必要があります。
馬鹿にされてもすぐには怒らない
コネ入社をした以上は会社としても簡単には退職させられませんし、上司も怒りにくい雰囲気になってしまいます。そのため、ミスをしても注意されることなく「コネだから仕方ない」と流されてしまうことがあります。
コネ入社をした以上は馬鹿にされて怒ってもコネ入社だから怒り返せないとまともにとりあってもらえずに、溝が深まる一方というリスクが生じるのを忘れてはいけません。
会社に在籍している間は、関係企業や個人との繋がりをなるべく作っておく
入社した経緯からもわかるように、コネクションというのは非常に重要な意味を持っています。
会社に在籍している間は、あらゆる方面に人脈を広げておきましょう。そうすることで同じ会社の人々には「人脈を作るのが上手いんだな」とコネ入社もプラスに見てくれる可能性があります。
人脈というのは会社にとっても個人にとっても非常にプラスに働くものです。仕事の能力だけではコネ入社をしたということから生じるマイナス面をカバーするのは難しくても、人脈作りも含めてでカバーするというのは有効な手段です。
また、コネ入社で内定を出した企業側としても「会社の役員とコネがある」ということから、入社してからもそういったコネ作りの面を見込んでいる可能性があります。
たとえ今の会社にいるのが難しくなったり、次のステップに進みたくなったりした場合にも、その会社で培っていた人脈はあらゆる形で役に立つことでしょう。
コネ入社のメリットとデメリット
それでは、コネで入社することによって発生するメリットとデメリットも把握しましょう。コネで入社できるならそれで良いのでは? とは簡単に言えないのがコネ入社です。
【メリット】
コネ入社をすることで就活をしている人々よりも比較的に楽で簡単に入社することが出来ます。就活というのは長い時間がかかり、貴重な学生生活の終盤の大半を注ぎ込むこともあります。
しかし、コネ入社なら就活の手間が大きく簡略化されているので、就活を短めに終わらせて卒業までの学生生活を楽しむことができるようになります。入社までの時間で学生最後の卒業旅行などの思い出づくりができますし、入社してから良いスタートを切られるように資格勉強に励むことも出来ます。
また、コネ入社は会社の偉い人とコネクションを持っているので、場合によっては同期よりも出世しやすくなります。これによって給料が上がるので、老後の資金・結婚資金・住宅購入などのお金を貯めやすくなるというメリットがあります。
仕事を得て昇進しやすいという点から見ると、コネ入社は非常に有力な手段です。
【デメリット】
昔と違い、1つの会社でずっと働くというのは一般的ではなくなっています。そのため、どれだけ就活を頑張って納得できるはずの会社に入社できても、3年以内に転職をしても不思議ではありません。
しかし、コネ入社は就活なしに人との繋がりを頼りに入社しているので、独断で辞めるというのは周囲に迷惑がかかってしまうリスクを抱えています。
もしもこの会社が自分に合わないと思って退職したくなったとしても、コネ入社が原因で退職しにくい可能性があります。コネ入社をしたことで就活はしなくて済みましたが、逆にもっと時間を浪費してしまうことになりかねないのがコネ入社だと覚えておきましょう。
そしてコネ入社をするとどうしても周囲の自分を見る目が厳しくなります。特に、同期との実力差が開いてしまっていると「コネ入社はやはり駄目」という判断をくだされかねません。こうなってしまうと、働くことそのものが苦痛になり、精神を病んでしまう危険があります。
また、会社の偉い人と繋がりがあるということは、相手が「この人になにか嫌われるようなことをしたら偉い人に告げ口される」と考えることもありえます。そうなると、新入社員である同期は特に、コネ入社をした方に対して絡もうとしなくなる危険があります。
仕事において円滑なコミュニケーションというのは立派なスキルになります。そのため、コネ入社における極めて大きいデメリットに「周囲との腹を割った会話が難しくなる」ということがあるのは必ず覚えておきましょう。
コネ入社ができるのも実力のうち。だけどプレッシャーは高い
親族・大学の教授・OBなどさまざまなルートでコネ入社をすることができますが、コネ入社にはメリットがある一方で非常に大きなデメリットがあることは紹介しました。
しかし、だからと言って「コネ入社をした自分が他の社員と比べて価値がない」と自分を下げて見る必要はありません。コネ入社ができるという人脈や運も立派な実力のひとつです。コネクションがあるということそれ自体を否定することはありません。大事なのは入社して何をするかです。
その一方で、コネ入社をよく思わない人がいるということも事実です。周囲にコネ入社をしたとバレてしまったとしても「あの人は会社に必要な人材」と周囲に思わせるような実績や振る舞いが必要ということになります。
「コネ入社をしたプレッシャーに耐えられる気がしない」・「その会社で長く働く気はない」・「コネ入社が周りにバレるのが怖い」という方は、面倒だとしても素直に就活をして一般入社をするのが得策です。