2020年1月1日に電通は純粋持株会社体制へと移行、商号も『株式会社電通グループ』に変更し、テレビなどでも名前を聞くことがある『電通』は大手広告代理店として知られています。
今回はこの電通の平均年収を性別・年代別に確認するだけでなく同業他社とも比較し分析するので、広告代理店業界に就職や転職を考えている方は参考にしてみてください。
日本人平均年収は?
広告代理店の最大手である電通。テレビ業界に強いコネクションを持ち就職先として現在も人気を集めています。
もちろん魅力のひとつに給与もありますが、実際のところ平均年収はどれぐらいなのでしょうか?
まずは日本人の平均年収がどれくらいか確認し、電通の平均年収と比較します。
調べるのは日本人の平均年収と年収中央値、男女別平均年収です。
それでは国税庁の『平成30年分民間給与実態統計調査』を基に確認してみましょう。
以下、調査対象者の条件に関して国税庁ホームページからの引用です。
調査の対象
この調査は、平成30年12月31日現在の源泉徴収義務者(民間の事業所に限る)に勤務している給与所得者(所得税の納税の有無を問わない。)を対象としている(下図網掛け部分)
■引用元:国税庁
国税庁は毎年給与実態調査を公開しています。
そのデータを元に年収を確認してみましょう。
2018年度日本人の平均年収
・平均年収 441万円
平均年収は441万円となります。
平均値だけではその特質上、収入の実態が見えづらいので『年収中央値』も確認しましょう。
2018年度日本人の年収中央値
・年収中央値 423万円
年収の中央地は423万円です。
中央値の方が平均年収よりも18万円低い結果となりました。
ここで平均年収と年収中央値の違いを確認しておきます。
平均年収・年収中央値とは
平均年収とは調査対象となる年収データすべてを足し合わせて、そのデータの個数で割って出された値です。
それに対して、年収中央値とは年収データを低い順、または高い順に並べ、真ん中に来る金額となります。
データの数(n)が奇数なら(n+1)/2番目の値、偶数ならばn/2番目とn/2+1番目の値の平均値で表します。
収入に大きな格差がある場合、平均すると実際にはもらっている人数が極端に少ない数値になってしまう可能性があります。
それに対し、年収中央値なら少なすぎる金額や多すぎる金額が含まれていても、真ん中のデータを採用するためデータの個数が変わらなければ数値に影響はありません。
次に平均年収が男女ではどのような違いがあるか調べてみましょう。
2018年度日本の男女別平均年収
性別 | 平均年収 |
男性 | 545万円 |
女性 | 293万円 |
労働時間、雇用形態などの影響も考えられますが、それも含めたとしても男女間で252万円もの差があり職場や給与などにおける性差の問題がハッキリと現れています。
2018年度の年代別平均年収
年代 | 平均年収 |
19歳以下 | 137万円 |
20~24 | 267万円 |
25~29 | 370万円 |
30~34 | 410万円 |
35~39 | 448万円 |
40~44 | 476万円 |
45~49 | 502万円 |
50~54 | 523万円 |
55~59 | 520万円 |
60~64 | 416万円 |
65~69 | 325万円 |
70歳以上 | 305万円 |
参考サイト:平成30年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省
年代別で確認すると100万円以上の差があるのが19歳以下と20代前半、そして20代後半です。
大きな原因は19歳以下と20代前半は非正規の割合が多いのと学歴が低い人数が多いとされ、50代前半は平均収入のピークはとなっており、60代から大幅に下降。こちらは退職し再雇用される割合が増えているのが一因と判断できます。
2018年度における日本人の平均年収を確認すると女性よりも男性のほうがかなり高く、年代では50代が最も高いことがわかりました。
電通とは?
電通は“Good Innovation.”をスローガンに掲げています。
公式ホームページの企業理念には「innovationとは技術革新だけを指す言葉ではない。人へ、社会へ、新しい価値をもたらす幅広い変革を意味している」と書かれており、『企業家精神』『アイデア』『技術』がその『innovation』を生み出すとしています。
電通は明治から約120年続く老舗でまさに広告代理業のパイオニアです。また近年はマーケティング事業にも力を入れており、それが東京オリンピック・パラリンピックのマーケティング専任代理店にも繋がっていると考えられます。
電通の平均年収はいくら?
それではいよいよ電通の平均年収を確認していきます。全体の平均、性別、年代などでどう違うのか分析してみましょう。
2018年度電通の平均給与
・平均年収 1,179万8千円
2018年の有価証券届出書で報告されている情報では平均年収は1179万8,000円となります。
日本人の平均年収が441万円なので738万8千円の差があり、電通の平均年収は約2.7倍です。取締役の報酬総額は4億3,100万円でした。
次に日本人の平均年収に対する男女別・年代別の比率を簡単にですが、電通の平均年収に当てはめて当サイト独自にそれぞれの平均値を算出した結果が下記の年収です。
2018年度電通の男女平均給与
性別 | 平均給与 |
男性 | 1,458万円 |
女性 | 783万9千円 |
日本人の男性平均年収が545万円なので金額差が913万円あり、約2.7倍の年収があると考えられます。女性に関しても平均年収293万円のため差は490万9千円とやはり2.7倍ほど高いです。
2018年度電通の年代別平均給与
年代 | 平均年収 |
20~24 | 714万円 |
25~29 | 989万円 |
30~34 | 1096万円 |
35~39 | 1198万円 |
40~44 | 1273万円 |
45~49 | 1342万円 |
50~54 | 1399万円 |
55~59 | 1391万円 |
60~64 | 1112万円 |
65~69 | 869万円 |
70歳以上 | 815万円 |
男女平均同様どの年代でも約2.7倍の金額が平均年収になっています。
この結果から2018年度の電通の平均給与は日本平均の約2.7倍ということが判断でき、そのことからも電通の給料は高いと言えます。また25歳から29歳の平均給与が989万円なので高い実績があれば20代後半で1,000万円を稼ぐことも夢ではありません。
広告代理店の仕事内容とは?
電通は日本で最大手の広告代理店ですが、そもそも広告代理店とはどのようなことする職業なのでしょうか?
簡単にいえば、広告を出したい企業と広告を掲載する媒体の仲介をする仕事です。
テレビ、Web、ラジオ、雑誌や新聞などの媒体側に対しては広告を掲載する空間や枠を確保し、その一方でクライアントが希望する広告を制作することが多いです。
広告代理店の担う役割をまとめてみます。
広告代理店の3つの役割
役割1.プランニング
広告主(クライアント)の要望にそって広告のプランニングを行い出稿までを推し進めます。
役割2.企画・発注
テレビ・ラジオのCM、新聞・雑誌の広告などを企画し、必要があれば制作会社に発注します。
役割3.広告枠の販売
ホームページやSNSなどのWeb媒体、テレビ・ラジオの放送媒体、そして新聞・雑誌といった紙媒体の広告枠を、その媒体に代わって販売します。
このような役割を果たす広告代理店ですが、大きく2つの種類に分けられます。
広告代理店の種類
種類1.総合広告代理店
・あらゆる種類の広告枠を扱えるのが特徴。ホームページなどのWeb媒体、テレビなどの放送媒体、そして雑誌などの紙媒体とあらゆるメディアに対応できるため、複数のメディアを連動させることが可能です。
・テレビのCMでよく使われた「つづきはWebで」というのは、テレビとWebを連動させた広告といえます。
・代表的な総合広告代理店は、電通、博報堂、ADK、東急エージェンシーなどがあります。
種類2.専門広告代理店
・1つの媒体に特化しているのが特徴。Web広告専門、新聞の広告枠専門、屋外広告の専門など媒体ごとに専門広告代理店も存在。それぞれ専門的なノウハウがあり、総合代理店よりも専門分野に非常に特化しています。
・特にWeb広告(インターネット広告)が最近急成長しています。
・代表的な専門広告代理店はサイバーエージェント、オプト、セプテーニなどがあります。
それでは最大手の総合代理店である電通について掘り下げてみましょう。
同業他社との比較
電通の平均年収が日本平均と比較してもだいぶ高いことがわかりました。では同業他社と比較してみた場合はどうでしょう。今回は3つの企業と比較します。
比較する3つの企業
電通と同じくらい広告業界で規模が大きい企業を3つ紹介します。
1.博報堂
1895年(明治28年)創業。電通より長い歴史を持っています。
博報堂生活総合研究所をはじめ様々な研究所やシンクタンクがあり、調査結果や研究成果を公開などもしている企業です。
大手広告会社として「電博」と称されるほどで電通との双璧となっている広告代理店です。
2.ADK(アサツー デイ・ケイ)
業界3位に位置する広告代理店がADKです。
「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「ワンピース」といったアニメ、特撮などの有名作品に携わっています。
3.サイバーエージェント
1998年の創業以来インターネット広告事業を展開しており、国内トップシェアを誇っています。
インターネット広告事業以外に「AbemaTV」をはじめとするメディア事業、「プリンセスコネクト!Re:Dive」などのスマートフォン向けゲームの提供などもしている企業です。
近年ではインターネット広告の伸びは著しいため、同じ広告業界でもネット中心の広告に興味がある人はサイバーエージェントの方がおすすめできます。
4社平均年収比較
企業 | 平均給与 |
電通 | 1179万8千円 |
博報堂 | 1064万8千円 |
ADK | 756万9千円 |
サイバーエージェント | 681万7千円 |
同業他社と比べても電通が一番です。
博報堂とは僅差に見えますが115万円の開きがあり、日本人の平均年収が441万円であることを考えると少ないとはいえません。
またADKとサイバーエージェントには大きな差をつけています。
電通の平均年収は広告代理店トップ
今回、電通の平均年収は日本人の平均はもちろん同業他社と比べても高いことがわかりました。
2020年純粋持株会社制に移行し、マーケティング専任代理店に指名された東京オリンピック・パラリンピックも開催され、さらなる成長も期待できます。
ただし電通の高い給与は、その金額に見合うだけの実績と残業がもたらすということを理解しなければなりません。
その上で自分の実力を試すならこれほどのステージはないでしょう。