退職の意志を上司に伝えるのは当然本人がするものと思っていませんか?
ところが最近は親が子供の退職を会社側に伝えることがあります。
今回は退職の意思を伝えにくい理由や親などの第三者に退職を伝えてもらうメリットやデメリット、そして退職代行サービスについて紹介します。
退職を上司に切り出せずに困っている方は是非参考にしてみて下さい。
どうして退職の意思を伝えにくいのか?
退職の意志を会社側に伝えるのはかなりのストレスになります。
どうして退職は伝えにくいのでしょうか? その理由を考えてみましょう。
辞めることを言いにくい理由
退職を言いにくいのには主に4つの理由が考えられます。
理由1)人手が足りていない
人手が足りていないのに辞めると他の社員への負担をさらに増やすことになるため、辞めると言い出しづらい。そしてまた会社へ行くと現場を見て、さらに言いづらくなり、決心がいつも揺らいでしまう。
理由2)しつこく引き止められそう
辞めたいけど強引に引き止められそうで怖い。そのたびに退職を留まってしまう。
押しが強い上司などに伝えなければならない場合、振り切ることができず結局辞めることができないということもあります。また辞められるにしても、精神力をかなり消耗してしまいます。
理由3)同僚や上司に非難されそう
一緒に働いてきた仲間に白い目で見られるのが嫌で辞めることを伝えにくいなど、同僚がらみの辞めにくさ。
また今まで退職した人が「無責任だ」「おまえを育てるためにどれだけ時間や金がかかっているか分かるか」など、激しく非難されていたことを身近で見たために、自分も非難されるのではと辞めにくさを感じていしまう。
理由4)会社が忙しい時期
年中会社が忙しく、バタバタした慌ただしい雰囲気のため、退職を切り出せないなど。
代表的な4つの理由を紹介しましたが、自分の置かれた状況により辞めることを伝えにくい理由は様々でしょう。いかなる場合でも退職は言いにくいものです。
周りのことを考えてしまう人は退職することに大きな負い目を感じてしまうため、さらに言えなくなってしまいます。
一般的な退職の伝え方
退職の意志を伝えにくい主な理由を確認したところで、今度は一般的な退職の意思を伝える方法を紹介します。
退職を伝える時期
民法によると期間の定めのない雇用契約は解約の申し入れ後、2週間で終了するとなっています。
つまり2週間以上前に会社側に伝えれば問題ないということですが、実際には仕事の引継ぎなどを考え、辞める1~2ヵ月前に上司に伝えることが一般的です。
だいぶ早い時期に伝えなければならないと思われるかも知れませんが、人員の調整や引き継ぎにかかる時間を考えるとやはり1~2ヵ月は必要になります。
ただし人事異動の前後や繁忙期、そして進行中のプロジェクトの途中での退職はできれば避けたほうが無難です。
周りに大きな負担をかけることになり、引き継ぎもスムーズに行かない可能性があります。
状況によっては2ヵ月以上前に退職を会社側に伝えたほうが良いです。
退職する方法
まずは直属の上司に直接伝えるのが原則です。
その際には業務中に声をかけて突然伝えるのではなく、メールや電話などであらかじめ時間を取って欲しい旨を伝えます。
この段階では今後のことを相談したいなど退職のことは伏せて、ぼかしておきましょう。
話をするのは他の同僚のいない会議室などの場所で上司と二人きりで話すのが望ましいです。
そして退職を切り出す前には感謝の言葉を伝えてください、その上で退職の意思はしっかりと伝えましょう。
退職理由
退職理由は必ず伝えなければならないというわけではありませんが、円満退社を目指すなら人間関係や給与面の不満、そして環境要因などの理由は避けたほうが無難と言われています。
ただし退職を自分で伝えるのが難しい方もいます。そういった場合は第三者に頼るのも1つの方法です。
退職の連絡を親にしてもらうメリット・デメリット
近年、退職の連絡を親にしてもらう人が現われています。
「退職する方法」でも記載したとおり自分で直接上司に伝えるのが原則ですが、自分で伝えることが困難な場合もあります。
ここでは親が伝えることの是非はともかく、メリットとデメリットを考えてみましょう。
退職の連絡を親にしてもらうメリット
親に退職の連絡をしてもらうことには2つのメリットがあります。
メリット1)自分で伝える勇気が必要ない
退職は伝えづらいので勇気がいりますが、親に伝えてもらうことでその負担が無くなります。
メリット2)人によっては退職しやすくなる
退職の理由が人間関係などで精神的に追いつめられているにも関わらず、会社に義理立てをして退職を言い出せないなど、そういった方は直接自分で言うのではなく親から伝えてもらうことで退職しやすくなります。
親に伝えてもらうというと非常識と思われる方もいるかも知れません。
しかし問題企業では退職を口にした途端に恫喝されたり暴力をふるわれたりする恐れもあり、直接本人が伝えることが危険な場合もあります。そのため一概に本人が直接伝えるべきとは言えません。
退職の連絡を親にしてもらうデメリット
今度は親に退職の連絡をしてもらうことのデメリット2つを確認します。
デメリット1)職場の人に非常識だと思われてしまう可能性が高い
退職は自分で直接上司に伝えるのが常識と考えられています。
それを第三者、しかも親に連絡をしてもらうというと社会人として失格だと思われる可能性は高いです。
デメリット2)結局本人が会社に行かないといけないケースが多い
親が退職を伝えても承諾してくれない会社がほとんどです。
会社が契約しているのはあくまで本人のため、いくら親でも本人の了承を得られていない状況で退職を受理するのはリスクとなります。トラブルを避けるためにも多くの会社では本人の意思確認ができなければ退職を認めていません。
このように親に代わりに退職の連絡をしてもらうと職場からは非常識と思われるだけでなく、本人の了承が必要なため結局自分で伝え直さなければならなくなる可能性が高いのです。
退職を親にしてもらうことにはメリットとデメリットがありますが、一番大きな問題は親からの連絡では退職を認めてはもらえず結局自分で伝える必要が出てくるということです。
しかし、問題がある職場の場合は本人が伝えることに危険がともなう可能性があるため、親からの退職願を受け付けてもらえなければ、退職代行サービスに頼むことも検討してみて下さい。
退職の連絡を自分でできない場合の対処法
問題がある企業に勤めている場合、直接上司に退職の旨を伝えると恫喝されるなどの危険があります。自分で退職を伝えずに済ませるためにはどうすれば良いのでしょうか?
本人が退職の連絡をできない正当な理由を親に伝えてもらう
対処法の1つは親に伝えてもらうことです。しかし親が退職の連絡をすると「非常識だ」などと言われ恥ずかしい思いをすることが多くあります。
それがどうしても嫌なのであれば、本人が連絡できない事情も合わせて親に会社側に説明してもらいましょう。
本人が連絡できない事情の例
「事故に遭った」「うつ病になってしまった」などがあります。
注意点
本人が病気などで直接伝えられないと言い訳をした場合は気を付けなければならないことがあります。
- 退職ではなく休職を求められる可能性が高い
- 診断書の提出が求められることもある
事実と違うことを伝えるとバレた時に大変なのでデメリットが大きいです。また本人ではないと退職を承諾してもらえない場合が多いので極力やらないほうがいいでしょう。
退職代行サービスを活用する
退職代行サービスとは、退職希望者の代わりに退職の意思や有給休暇の取得希望などを会社に伝えてくれるサービスです。
親が連絡しても退職を受理してもらえず、結局恥ずかしい思いをするだけになる場合がほとんどです。
そのため自分で連絡をしたくない場合は退職サービスを利用すするほうが良いでしょう。
退職代行サービスのメリット
退職代行サービスには4つのメリットがあります。
メリット1)即日対応してもらえることが多い
退職サービスは即日対応をうたっているところが多くあります。
ただし、即日退職ではないのでその点は注意してください。退職までには最低でも2週間はかかると法律でも定められています。
メリット2)自分で会社に行く必要はない
書類は自分で書く必要がありますが、それも郵送してもらうことが可能です。
直接上司に顔を合わせる必要もないので精神的負担がだいぶ軽くなります。
メリット3)脅しにおびえなくてもいい
ブラック企業の中には退職の意思を伝えると「賠償請求する」などの脅し文句を言って引き止めようとするところも存在します。
退職代行サービスを利用すればそういったものにおびえなくても済みます。
メリット4)退職理由を考えなくてよい
退職する際に退職理由を聞かれる場合がほとんどですが、間に退職代行サービスが入っているため理由を伝える必要がありません。
そのため上司を納得させるための退職理由を考える手間も発生しないのです。
退職代行サービスを利用することで退職を会社側に伝えることの多くのストレスから解放されます。
しかし退職代行サービスにはメリットばかりではありません、デメリットもあるので注意が必要です。
退職代行サービスのデメリット
退職代行サービスを利用する際のデメリット(注意点)3つを確認します。
デメリット1)依頼費用が発生する(3万~10万円程)
退職するので依頼費用の負担は軽くはありません。
デメリット2)会社側と退職に対する意見に相違ができた時に交渉してもらえない場合もある
あくまでも退職代行サービスは「連絡係」なので本人に代わって説得をしてもらえるとは限りません。
デメリット3)会社の違法行為に対処できない
給料の未払いやパワハラ・セクハラなどへの対応は弁護士でないとできません。
退職代行サービスは弁護士が行なっているところと、そうでないところがあります。弁護士がやっているなら会社の違法行為へも対処が可能です。
デメリットを3つ紹介しましたが、退職願をだしてもすぐに退職できるわけではなく最低でも2週間は手続きに時間がかかります。
有給などを消化してもう職場に行かないなら問題ありませんが、退職を受理された後も職場に行く場合は、退職に対する嫌がらせをされるケースもあるため、注意が必要です。
問題のある企業を退職する場合、退職金の支払い拒否、退職を理由に損害賠償請求などの違法行為の恐れもあり、このような状況に対処できるのは弁護士だけです。
そのため退職代行サービスを利用するなら弁護士が行なっている退職代行サービスを利用するほうが二度手間にならずおすすめです。
退職は直接自分で直属の上司に伝えるのが原則ですが、問題がある企業に勤めているなら本人ではなく第三者がやったほうが良い場合があります。
しかし親に言ってもらっても拒否されることがほとんどなので退職代行サービスを使うのも1つの方法です。
そして違法行為があった場合は弁護士がやっている退職代行サービスを利用するほうが二度手間になりません。
非常識と思われてでも退職連絡を第三者にやってもらったほうが良い人
非常識と言われるのが恐くて退職を上司に伝えられないという方もいます。
しかし自分が置かれた状況次第ではそんなことを言ってはいられない場合もあるのです。
どんな方が第三者に退職連絡を任せたほうが良いのでしょうか?
1. 精神的・身体的に限界が来ている人・押しに弱い人
精神的にも身体的にも限界が来ているのであれば一刻も早く辞めたほうが良いですが、押しに弱く、なかなか断れずにそのまま働き続けてしまう人もいます。
そういった方は親や代行者にやってもらいましょう。
限界を超えると今度は入院の必要性も出てくる可能性がありますし、最悪の場合は命の危険もあります。
精神的・身体的に限界が来ているのであれば第三者を頼ることは非常識ではありません。
2. 問題のある職場に勤めている人
退職の話をすると罵倒される、あるいは「辞めさせない」などの言葉で退職をさせてくれないという会社にいる場合も第三者に退職を伝えてもらうほうがいいでしょう。
このような場合は第三者が絡んで「場合によっては法的な手段も使います」ということをちらつかせると素直に退職を受け入れてくれるケースも多くあります。
いわゆる「ブラック企業」と呼ばれる問題のある会社に勤めている場合、本人が直接上司に退職を伝えても恫喝されるなどして受理されないことがよくあります。
親が言っても素直に受理してくれることは稀で、最悪の場合は会社に損害を与えるという理由で損害賠償を持ち出される恐れもあるのです。
そのためそのような危険性を感じる場合は費用が発生しますが弁護士の退職代行サービスを利用するほうがいいでしょう。
退職を伝える際には細心の注意を
退職の意志を上司に伝えるのは誰でも気が引けます。自分が抜けることで周りに迷惑をかけるのは間違いありませんし、雇ってもらった恩もあります。
だからこそ退職する場合はちゃんと手順を踏んで自分で伝えなければなりません。
しかし、パワハラやセクハラなどのハラスメントが原因で辞めたい場合や給料の未払いやサービス残業の強要をする問題がある会社を退職する場合は別です。
自分で言うことで恫喝されたり、嫌がらせが加速したりする可能性があります。そういった場合は第三者に頼るのも1つの方法です。
退職は基本的には自分から上司に伝えるのが常識ですが、状況によっては柔軟な対応が必要になります。