大学卒業後、何気なくフリーターをしているなか「やっぱり正社員になりたいな」と思っては、自分は就活に出遅れ、チャンスを逃してしまったからと諦めていませんか?
正社員は新卒が優先されて採用されるから自分にチャンスがないとあきらめているなら、ちょっと待ってください。
実は卒業後3年以内なら新卒と同じ扱いが受けられ、20代なら未経験でも就職先が多くあります。
今回は大卒フリーターが何歳までなら正社員になりやすいのか、フリーターの転職等について色々調べてみました。
正社員を目指したい方はぜひ参考にしてください。
まずは面談をして自分の市場価値を確認しよう 自分のスキルや年齢を考慮した年収の目安を知りたい方はまず面談をしてみましょう。 転職サイトに登録するだけでも情報は確認できますが、面談をすることでより市場価値の把握が正確になります。 自分は年収が上がらないと思っていても、面談を通じて自分の市場価値の高さに気がつけるかもしれません。 リクルートエージェント マイナビAGENT 就職カレッジ ※リクルートエージェント・マイナビ・就職カレッジのプロモーションを含みます。おすすめの無料転職エージェント 公式
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フリーターとは
『フリーター』と聞くとどんなイメージを抱きますか? 「定職に就かずフラフラしている人」「就活に失敗した人」、中には「夢に向かってがんばっている人」と人それぞれ思い浮かぶでしょう。
フリーターになる理由は様々あり、ミュージシャンになりたい、シナリオライターになりたいなどの夢がある、それでは生活できないため副業としている方やあるいは就活に失敗しやむなくフリーターになった、やりたい仕事に就くための勉強や修業の期間として非正規で働いている、そして自分のやりたいことが見つからないため何となくフリーターをしているという方もいます。
自分の働き方に合っているのが正社員ではなくフリーターという方もいますが、上記のように何かしらの目標が別にあるけど今はフリーターをしているという割合が比較的多いです。
フリーターの定義
実はフリーターという言葉には厳密な定義は存在しません。
そのため「労働力調査」では若年のパート・アルバイト及びその希望者を、『フリーター』と便宜(べんぎ)上呼ばれています。
若年のパート・アルバイト及びその希望者
年齢が15~34歳で男性は卒業者、女性は卒業の者のうち次の者をいう。1. 雇用者のうち勤め先における呼称がパート・アルバイトの者
2. 完全失業者のうち探している仕事の形態がパート・アルバイトの者
3. 非労働力人口で、家事も通学のしていないその他のうち、就業内定しておらず、希望する仕事の形態がパート・アルバイトの者
引用:『総務省統計局 16A-Q09 フリーターの人数』より
定義としてこうなっていますが、35歳以上でフリーターの方もいるため年齢は特に関係ありません。
正社員ではなく、パートやアルバイトのみで生計を立てている人をフリーターとしています。
フリーターの現状
フリーターが何なのかを確認したところで、現在の大学卒業生がフリーターになる割合、正社員との給与の比較、そして非正規雇用の年代ごとの人数などを確認してみましょう。
大学卒業者の就職状況
それでは2017年3月に卒業した大学生情報を参考に大卒の就職状況を分析します。
2017年3月
人数(人) | 割合(%) | |
大学院等 | 62,261人 | 11.0% |
専修学校・外国の学校 | 5,403人 | 1.0% |
臨床研修医 | 9,313人 | 1.6% |
就職(正規社員) | 413,971人 | 72.9% |
就職(非正規社員) | 18,362人 | 3.2% |
一時的な仕事 | 9,183人 | 1.6% |
進学も就職もしていない人 | 44,182人 | 7.8% |
不詳 | 5,088人 | 0.9% |
参照サイト:『2 就労等支援の充実 第2-51図』内閣府 |
正規社員が72.9%と圧倒的に多く、非正規社員は3.2%で大学院などへの進学の11.0%よりも低いです。
その一方で進学も就職もしていない卒業生のほうが7.8%と2倍以上いるため、こちらの問題も深刻です。
この結果から人数で考えるとフリーターになったのはわずか1万8千人ほどで、人数をみるとそこまで深刻には思えません。
時期によってこの数値は変動はありますが、実際にフリーターを経験した割合がどれぐらいあるか学歴と年代別に比較してみましょう。
フリーター経験者の学歴構成(25~29歳層)
ここでは2006年と10年後の2016年で高卒と専門・短大・高専卒、そして大学・大学院卒のフリーター経験者の割合を比較します。
学歴構成 | 割合(2006年) | 割合(2016年) |
高卒 | 30.5% | 18.7% |
専門・短大・高専卒 | 33.4% | 24.0% |
大学・大学院卒 | 21.1% | 40.6% |
参照サイト:『1.フリーター経験者の高学歴化が進展 図表1』内閣府 |
2006年は大学・大学院卒はフリーター経験者の割合が2割ほどで3割以上の高卒と専門・短大・高専卒より少なかったのですが、2016年では4割を超えて最も多い値になりました。
割合から考えると10年で2倍近く増えており状況の変化が感じられます。
フリーターの年齢階級別男女比
今度は年代と性別でフリーターの人数を比較します。
年齢階級別非正規職員・従業員
2019年(万人) | 総数 | 15~24歳 | 25~34歳 | 35~44歳 | 45~54歳 | 55~64歳 | 65歳以上 |
男女計 | 2,165 | 285 | 260 | 359 | 437 | 436 | 389 |
男 | 691 | 132 | 83 | 63 | 62 | 143 | 206 |
女性 | 1,475 | 153 | 177 | 295 | 375 | 292 | 182 |
参照サイト:『労働力調査(詳細集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の概要』 |
フリーター(非正規雇用労働者)の人数自体が女性は男性の2倍以上おり、特に45~54歳では男性が62万人と一番少ない年代なのに対し、女性は375万人と一番多くなっています。
ただし65歳以上のみ男性が女性の数を上回っており、これは定年を迎えた方が非正規で再雇用されたためと推察できます。
フリーターと正社員の年収の違い
次にフリーターと正社員の年収の違いについて紹介します。
男女計 | |||
正社員(月収) | 正社員以外(月収) | 雇用形態間賃金格差 | |
2015年 | 321,100円 | 205,100円 | 63.9% |
2016年 | 321,700円 | 211,800円 | 65.8% |
2017年 | 321,600円 | 210,800円 | 65.5% |
こちらのデータの正社員以外という中には契約社員なども含まれているので正確な数値は出せないですが、給与は契約社員の方が高いことが多いため、フリーターの月収は表の平均月収より2~3割低いと予想されます。
2017年は正社員の平均月収が321,600円、正社員以外が210,800円で、正社員以外の給与は正規の65.5%もあります。
これを1年間に換算すると以下のようになります。
2017年の場合
月収 | 年収 | |
正社員 | 321,600円 | 3,859,200円 |
正社員以外 | 210,800円 | 2,529,600円 |
差額 | 110,800円 | 1,329,600円 |
2017年の正社員の年収は約386万円、正社員以外では約253万円となり、その差額は約133万円になります。
ではこれが生涯通じてとなると、どれぐらいの差になるのでしょうか?
生涯年収
22歳で就職、65歳まで43年間働いたと仮定して計算します。
年収 | 生涯年収 | |
正社員 | 約386万円 | 約1億6,598万円 |
正社員以外 | 約253万円 | 約1億879万円 |
差額 | 約133万円 | 約5,719万円 |
43年間で正社員と正社員以外とでは5,719万円の差が生まれます。
ただ、この正社員の年収は43年間年収が変動しなかったという計算をしていますが、実際には正社員であれば昇給などもありますので、年齢を重ねるごとに年収の差は広がっていきます。
そのため、正社員とフリーターの生涯年収は5,000万円~1億円ほど差が生まれるでしょう。
大卒のフリーターは何歳まで就職・転職に影響がないのか?
フリーターと正社員とで収入に大きな差が生じます。このことを改めて確認し、やはり正社員になりたいと思った大卒フリーターの方もいることでしょう。
それでは大卒の方は、何歳までに就職すれば年齢が採用に影響しないのでしょうか?
現在は大学卒業後3年までは新卒として扱われる場合が多く、また20代なら未経験でもそれほど問題になりません。
大学卒業後3年まではあまり影響がない
厚生労働省が発表した『若年者雇用対策の現状等について』の項目にある『新卒一括採用について』に、以下のような一文があります。
「新卒一括採用」とは:企業が計画的・継続的に、卒業予定の学生・生徒に対象を限定し(*近年は概ね既卒3年以内の者を対象に含む場合も多いもの)募集・選考を行い、卒業時(通常春季)に一括して採用を行う慣行。
引用:『若年者雇用対策の現状等について』より
大学卒業後3年までを厚生労働省は新卒とみなしており、大学卒業後3年以内であればフリーターでも新卒者として扱ってもらえる場合が多くなっています。
20代は未経験でも求人が多い
大学卒業から3年を過ぎてしまうと新卒としては扱われなくなりますが、20代のうちは未経験での求人が多くあります。
ところが30歳を超えると未経験で正社員になるのが難しくなり、40歳を超えると正社員として採用してくれる企業は極端に少なくなってしまうので転職を考えるなら、1日でも早い方が良いでしょう。
正社員を目指すなら大学卒業から3年以内に、遅くても20代の内に採用されるように企業のランクを落としたり、希望の職種を増やしたりするなど妥協も必要です。
大卒フリーターから正社員になるのは不利なのか?
採用担当者から見ると大卒フリーターはどのように見られるのでしょうか。
大卒フリーターは採用担当者にどう見られる?
採用担当者は先ず履歴書からその人物像を分析します。
自己アピール欄も大切ですが、まず職歴から以下のように判断される可能性が高いです。
大学卒業後の職歴がパートやアルバイト
会社に勤めた経験がないため、「社会経験が乏しいのではないか」と判断されやすいです。
しかし、未経験で求人をしている場合は経歴だけではなく人柄やポテンシャルの部分が採用に大きく関わってきます。
フリーターをしていた目的をしっかりと伝える
履歴書の自己アピール欄や面接でフリーターをしていた目的や理由、そしてその経験が今どのように役立っているか、あるいは今後どのように役立てたいかを伝えます。
特に面接では直接面接官と会って話をするため、表情や口調、そして態度などアピールする手段が多いです。
フリーターの期間、何をしていたか、なぜフリーターになったのかはっきりしていれば一概に不利とは言えません。
特に応募した職業に役立つ内容があればプラスに働くこともあるので、しっかりとアピールできるよう準備しておきましょう。
アピールの例として下のような言い方を参考にしてください。
- 人と話すこと苦手で協調性も乏しいと思っていたため、接客業をしながら自治体のボランティアに参加して人間性を高めて御社に応募したかった。
- パソコンによるデザインスキルを高めたかったので、卒業後デザインスクールに通いながらバイトを続けてきました。
大卒フリーターから正社員へ転職するために
大卒でフリーターをしていて、正社員になりたいと少しでも思ったら、急いで就活を再開するのがおすすめですがそれでも不安は残るものです。
まずは大卒フリーターが正社員へ転職するためのポイントをチェックしてみましょう。
大卒後3年以内の転職が有利!
大卒フリーターは大学卒業後3年以内でなければ就職できないわけではありませんが、歳を重ねるにつれて経験値を見られる割合が多くなります。
そのためできるだけ早く正社員への転職を目指した方が比較的採用されやすいです。
第二新卒枠を狙う
第二新卒とは明確な定義はなく、「新卒で入社して3年未満の求職者」を指すことが一般的です。
夏以降に募集が始まることもあるため、スケジュールを把握し、計画を立て、面接で聞かれそうなことをシミュレーションするなど準備をしておきましょう。
他者からのアドバイスなども積極的に聞く
転職は自分ひとりだけで進めていくと次第に考えが凝り固まってしまいます。
特に転職経験が少ない人であればあるほど動き方やどのようにアピールをすれば良いのかとか、会社の選び方を知らないまま進めてしまいます。
そのため、両親や友人、キャリアアドバイザーなどの方からのアドバイスを積極的に聞き入れながら転職をすると成功しやすいです。
キャリアアドバイザーは通常の転職サイトではなく転職エージェントという形態の転職サイトに登録をする必要がありますが、細かいサポートをしてくれるので転職活動が不安な人は利用することをおすすめします。
フリータータイプ別で見る正社員への転職方法
フリーターも年齢や職歴など人によりタイプが分かれます。
ここではそれぞれのタイプごとに正社員への転職を成功させるためには、どうすればいいのかを考えます。
タイプ1:20代で正社員歴が無い場合
実績やスキルが浅いため、転職エージェントを利用してサポートしてもらいます。
転職エージェントとは登録すると転職相談ができ、企業の求人紹介から面接のセッティング、給与交渉など転職のサポートをしてくれるサービスです。
転職サイトとの違いは、担当者が付いてくれるのでこちらのことをより理解してくれたうえで、転職先を提案してくれたりアドバイスをくれたりするところです。
ひとりでは不安な就職活動にパートナーが付くため、冷静に探すことができます。
タイプ2:20代で1度正社員歴が有る場合
20代ならばまだ採用される可能性は高いのですが、20代後半になると実績やスキルが求められるため未経験の職業への転職が難しくなります。
ただ、一度でも正社員になっているのでその経験はアピールポイントとしてしっかり伝えましょう。
正社員を辞めた理由や再度正社員になりたいと思った理由を整合性が取れる形で説明すれば正社員ではない期間への質問もさほど厳しくならないでしょう。
タイプ3:30代以上の場合
30代を中途採用する場合、経験者を求めていることが多く、一度も正社員経験が無い30代以上の方は選択肢が限られてしまいます。
そのため地元の求人や中小企業の求人、そして未経験でも応募可能な求人を取り扱うハローワークも並行して利用しましょう。
20代は正社員歴の有る無しに関わらず転職エージェントを利用するのがおすすめです。
もしいきなり正社員への転職が厳しいと感じた場合は一度契約社員を挟んで実務軽々を積んでから正社員を狙うという方法もあります。
未経験からでも入りやすい業界
大卒フリーターが正社員になりやすい年齢を中心に考えてきましたが、ここでは逆に未経験でも正社員として採用されやすい職種を紹介します。
職種1:営業職
20代前半は専門スキルよりもコミュニケーション能力が重視されます。
しかし20代後半からはコミュニケーション能力に加えて、実績もないと採用が難しくなっています。
また、取り扱う商材が特殊なものだと業界知識が深いレベルまで求められるので20代後半~30代の未経験で営業職に転職を考える場合はなるべく身近な業界を選ぶのがポイントです。
フリーターで販売をしていた方で、販売実績が良かった、ある商品を飛びぬけて売ったことがあるという経験があるときはしっかりとアピールしておきましょう。
職種2:事務職
アルバイトや派遣からでも始められます。
また男性が採用されにくいと言われますが、経理の男女比は男性が54%、女性が46%とそれほど差はありません。(参照サイト:経営企画・管理部門全般 経理|まいなびマイナビAGENT)
性別に関係なく採用の可能性がある職種です。
Office製品や各種ソフトの扱い、データの扱い方などいわゆる事務スキルというものは会社が変わったとしてもそのまま利用できることも多いです。
また、事務職は派遣なら仕事が比較的多いため、まずは派遣で経験を積んでそれから経験者として社員を目指すのが良いでしょう。
大卒フリーターが公務員を目指すなら
不景気に強く安定している公務員は、非常に人気の高い職業です。
はたして大卒フリーターが公務員になることは可能なのでしょうか?
公務員になるための条件
職種や自治体にもよりますが、公務員は基本学歴などに制限はありません。
しかし公務員に採用されるためには2つの条件があります。
- 公務員になるためには筆記試験や面接を通過する必要がある
- 国家公務員の場合は大半が30歳まで、地方公務員は各自治体によるが30歳前後が上限年齢
公務員になるためには公務員試験と面接に受からなければなりません。
つまり試験勉強と面接の準備が必要になります。
また面接ではフリーターの期間が長いと、正社員からの転職に比べ不利になってしまいます。
そして公務員もやはり30歳までの募集がほとんどなので、公務員への転職を検討している場合は早く転職をすることがおすすめです。
フリーターの奨学金問題
2019年の大学生の約3割が奨学金を利用しています。
それにも関わらず就活が上手く行かないなどの理由からフリーターになってしまった場合、返済はどうなるのでしょう。
ここでは現在社会問題にもなっている奨学金に対する解決策を考えます。
制度的な解決策
奨学金には『奨学金返済猶予』と『減額返還制度』という2つの制度があります。
これを利用して解決を考えてみましょう。
奨学金返還猶予とは
災害、傷病、経済困難、失業など返還困難な事情が起きた際、一時的に返還期限の猶予をしてもらえる制度です。
猶予期間は1年ごとに申請をする必要がありますが、最大で10年間分の猶予が可能です。
失業だけではなく給与が少なく返済に回すお金がないという理由でも申請を通すことが可能です。
減額返還制度
毎月の返還額を減額して返還できる制度です。一定期間、最初に約束した返還月額を減額して、減額返還適用期間に応じた返還期間を延長できます。
注意が必要なのはどちらも返済を免除してもらえる制度ではないので、安定した収入を得るために早く就職する必要があります。
参照サイト:独立行政法人 日本学生支援機構
大卒フリーターから正社員になるのは可能
大学卒業後フリーターになる理由は人それぞれです。
将来のことも考えた上でフリーターをするならそれは個人の判断です。
しかし、就活に失敗した、もしくはやはり正社員になりたいというなら早めに転職をしたほうが有利になります。
何度も本文で繰り返していますが、大学卒業後3年以内なら新卒と同じ扱いをしてくれる企業がほとんどですし、20代なら未経験でも採用してくれるところが多くあります。
しかし、30代になると一気に未経験での採用が少なくなります。
時間は巻き戻すことができないので、20代で迷っている方は後悔する前に就活を再開することがおすすめです。
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