大手化粧品メーカーの資生堂の平均年収はいくらなのでしょうか? 今回は資生堂の平均年収を全体・年代・性別ごとに調べるだけではなく、どのような企業か歴史をたどって確認していきましょう。

また日本の平均年収も年代別や性別で確認し資生堂と比較しどれぐらいの差があるか分析します。

同業の大手メーカーとも比較するので、就職や転職を考えている方は参考にしてみてください。

日本の平均収入はどれぐらい? 年収中央値、性別・年代別でも確認

源泉徴収票を見て自分の年収を確認したとき「自分の収入は日本の平均より多いだろうか」と考えたことはありませんか。

今回は資生堂の平均年収を年代別、性別などで見ていきますが、まず先に日本の平均年収だけではなく年収中央値も確認して詳しく日本人の収入を分析します。

平均年収・年収中央値とは

平均年収とは

調査対象となる年収データすべてを足し合わせて、そのデータの個数で割って出された値です。

 そのため、極端に数値が低いデータや逆に極端に高いデータが混在している場合は平均値のデータが実態とかけ離れるということが生じます。

年収中央値とは

年収データを低い順、または高い順に並べ、真ん中に来る金額です。データの数(n)が奇数なら(n+1)/2番目の値、偶数ならばn/2番目とn/2+1番目の値の平均値で表します。

収入に大きな格差がある場合、平均すると実際にはもらっている人数が極端に少ない数値になってしまう可能性があります。

それに対し、年収中央値なら少なすぎる金額や多すぎる金額が含まれていても、真ん中のデータを採用するためデータの個数が変わらなければ数値に影響はありません。

つまり中央地の方が平均値よりもより実態に近い数値というわけです。

平均年収と年収中央値の違いを理解したところで、国税庁の『平成30年分民間給与実態統計調査』を基に確認してみましょう。

調査の対象

この調査は、平成30年12月31日現在の源泉徴収義務者(民間の事業所に限る)に勤務している給与所得者(所得税の納税の有無を問わない。)を対象としている(下図網掛け部分)。

国税庁:平成30年分民間給与実態統計調査結果について

この調査対象はあくまでも民間の事業者に限っているので少し平均値は高く出る傾向がありますが、会社員での平均年収を比較する際には参考になる資料です。

この調査対象で実際に調査した結果が下のグラフになります。

国税庁:各種世帯の所得等の状況

この表から民間企業の日本の平均年収が551万円となっており、中央地が423万円ということがわかります。

平均年収の方が中央値より18万円高くなり、格差が広がっていることが見て取れます。少数の人数が非常に多額の年収があり、圧倒的に多い人数の収入が少ない状況が生まれているのが分かります。次に男女ではどのような違いがあるか調べてみましょう。

2018年度日本の男女別平均年収

性別

平均年収

男性

545万円

女性

293万円

男女間で252万円もの差があります。労働時間、雇用形態などの影響も考えられますが、それも含めて職場や給与などにおける性差の問題が見て取れます。

2018年度の年代別平均年収

年代

平均年収

19歳以下

137万円

20~24

267万円

25~29

370万円

30~34

410万円

35~39

448万円

40~44

476万円

45~49

502万円

50~54

523万円

55~59

520万円

60~64

416万円

65~69

325万円

70歳以上

305万円

 

年代別で見ると19歳以下と20代前半、そして20代後半のそれぞれの差額が100万円以上です。

19歳以下と20代前半は非正規の割合が多いのと学歴が低い人数が多いことが原因ともいえ、平均収入のピークは50代前半となっており、60代が大幅に下降していきます。

こちらは退職し再雇用される割合が増えているのが一因と判断できます。2018年度における日本の平均年収を男女別、年代別で確認してきました。

ではこれらを基に資生堂ではどうなっているのかチェックしましょう。

参考サイト

国税庁:平成30年分民間給与実態統計調査結果について

厚生労働省:平成30年国民生活基礎調査の概況

資生堂の年収を確認する前に、そもそも資生堂とはどのような企業なのでしょうか。

化粧品メーカーの老舗として有名ですが、さらに詳しく確認してみましょう。

資生堂について

資生堂の年収の紹介をする前に簡単に資生堂とはどのような会社なのかということをおさらいいたします。

資生堂の歴史

洋風調剤薬局として創業

1872年、日本初の洋風調剤薬局として東京の銀座に創業し、当時はまだ日本にはなかった医薬分業システムを確立しました。

化粧品事業へ転換

1916年、薬局から化粧品部門が独立し、化粧品部が開店。三階建てのビル一階には、店舗、あらゆるデザインワークを担当する意匠部、商品の品質や安全性を担い製品の開発と改良を行う試験室ができました。

ここで高品質の資生堂化粧品が開発されていきます。資生堂が本格的な化粧品メーカーとなる分岐点です。

全国展開し、独自の宣伝活動も拡大

1927年、株式会社資生堂が発足。資生堂化粧品の取扱店が全国各地にでき、製品や美容に関する知識やライフスタイル情報を発信しました。1934年に、現在の「ビューティーコンサルタント」の前身ともいえる「ミス・シセイドウ」の宣伝活動が開始。1937年には、会員組織「花椿会」が発足しました。

海外進出と新たな消費者層の開拓

1957年、台湾を皮切りに資生堂化粧品の海外販売がスタート、販売会社も次々に設立しました。また高度経済成長期のまっただ中、1961年に国内初のメーキャップキャンペーン「キャンディトーン」を実施し、新たな消費者層を開拓。

さらに広がる顧客とのコミュニケーション

2012年、ワタシプラス、Beauty & Co.が開始。Web上での新たな顧客開拓を開始しました。

参照:5分でわかる資生堂の歩み|SHISEIDO

会社概要

正式名称株式会社資生堂
所在地東京中央区銀座七丁目五番五号
グループ会社数84社(本社除く/非連結子会社及び持分法非適用会社含む)
資本金645億円
従業員数38,640名〔8,109名〕※従業員数は就業人員数であり、臨時従業員数は〔〕内に年間平均人員数を外数で記載しています。
平均年齢41.1歳
平均勤続年数17.3年

参考サイト:会社案内|SHISEID

資生堂の平均年収はどれくらい? 性別・年代別でも確認

資生堂がどのような企業かわかったところで、平均収入と役員報酬を確認していきましょう。

2018年度資生堂の役職者の平均年収

取締役員報酬 5億4700万円

監査役 6500万円

参照ページ 2018年度有価証券報告書

取締役員報酬はプロ野球選手の年俸(2019年推定)でいうと、2位のソフトバンク柳田悠岐に近い金額です。大手だからこその報酬額とも言えます。

この役職者などの年収と日本の平均年収などのデータから年収を推定をします。

2018年度資生堂の推定平均年収

計算をしたところ平均年収 731万3,000円となりました。

やはり大手企業、かつ業界でもトップランナーとなる会社なので、入社できれば平均年収よりもかなり高い金額の報酬がもらえる可能性は高そうです。

資生堂の男女別推定年収

性別

平均給与

男性

903万7千円

女性

485万8千円

男性が女性より420万円近い差があり、女性向けの化粧品が多い資生堂でさえ男女格差が目立ちます。

ただ上の表はあくまでも独自に計算をしたものとなります。

資生堂は女性社員の割合も多いため役職者も一般的な企業よりも女性が多い傾向があります。

そのため、実際の男女年収格差は少ないと想定されます。

資生堂の推定平均年収

年代

平均年収

20~24

442万円

25~29

613万円

30~34

679万円

35~39

742万円

40~44

789万円

45~49

832万円

50~54

867万円

55~59

862万円

60~64

689万円

65~69

538万円

70歳以上

505万円

20代前半から20代後半の間が非常に給料の上がる時期で、40代後半から50代後半までは800万円以上とかなり高額といえます。

※資生堂の性別、年代別年収は日本全体の平均年収をもとに作成しているためあくまでも推定値であることを留意してください。

資生堂と日本の平均年収を全体・性別・年代別で比較

日本と資生堂の平均年収を確認すると一目で資生堂の金額が高いことがわかります。

これは化粧品メーカーであり、大手の資生堂に就職・転職したい方にとってプラスになイメージになります。

全体平均の比較

資生堂の平均年収は約731万円、それに対し日本はおおよそ441万円です。比較すると290万円ほどの差となり、資生堂の平均は日本の1.66倍とかなり多いといえます。

性別の比較

日本の男性の平均年収が545万円に対し資生堂の男性平均は904万円ほどと359万円の差があります。それに対し女性は日本平均295万円で資生堂が486万円ほどのため、191万円と男性に比べ大分少なく感じます。

しかし割合で見ると男性が約1.66倍、女性が約1.65倍となり、それほど差がありません。

ここで問題となるのは、企業ではなく国レベルでの性差による年収の違いです。

年代別の比較

どの年代でも平均年収は日本平均のおおよそ1.66倍あり、年代別では全体の平均と特に大きな違いは確認できませんでした。

共通しているのは50代までは年収は増え続けており、年功序列の体質が資生堂にもあるということです。

日本の平均年収と資生堂を比較した場合、性別・年代別にかかわらず、資生堂の年収はおおよそ1.66倍あると考えることができます。

では同業者と比べ資生堂の平均年収は低いのか、高いのかについてチェックしましょう。

同業者との比較、資生堂の順位は?

資生堂と日本の平均収入を比較しましたが、同業者と比較した場合どうなるのでしょうか。今回は大手化粧品メーカーである、花王、コーセー、ポーラ・オルビスHD、マンダムの四社と比較します。

大手化粧品メーカー5社比較

社名

2018年度平均給与

コーセー

854万円

マンダム

838万円

花王

822万円

ポーラ・オルビスHD

817万円

資生堂

731万円

比較した5社の中で平均給与が1番高いのがコーセーで資生堂は5位です。

しかもこの中では資生堂は唯一700万円台で4位のポーラ・オルビスHDとの差が86万円あります。1位のコーセーと4位のポーラ・オルビスHDまでの差が37万円であることを考えると大きく差が開いてしまいました。

もし資生堂にこだわらず「化粧品メーカーに勤めたい」というのであれば、ほかの4社を検討するのも良いでしょう。

自分が今使用しているお気に入りの化粧品、思春期の頃の肌質を改善してくれたものなど自分を変えてくれたきっかけを与えてくれた商品や手放せない商品がある化粧品メーカーを選ぶと面接でイキイキと話せたり、愛情が持てたりして長く勤めることができます。

資生堂の平均年収は高いといえる

同業の花王、コーセー、ポーラ・オルビスHD、マンダムと比較したところ5位になってしまいましたが、それでも資生堂の平均年収は731万円あり、日本の平均年収よりかなり高いといえます。

全体・性別・年代いずれも1.6倍以上です。今回は2018年度のデータを基に比較しましたが、今後さらに上がることも考えられるので注目の企業であることは間違いありません。

化粧品メーカーに就職や転職を考えている方は今回のデータを役立て就職や転職に活かしてください。