40代で転職を考える方の中には、これまでの経験を活かして定年まで勢力的に仕事ができそうという理由で、ベンチャー企業を視野に入れる方もいるでしょう。ベンチャー企業は求人数が多いので、働きたいと思える仕事を見つけやすいというメリットがあります。

しかしベンチャー企業は成長途上にあるので、これまでの仕事の進め方や考え方が通用しないことがあり、自分で考えて仕事ができる人でなければ、納得のいく転職にはなりません。

ベンチャー企業に転職することが向いている人はどんな方なのか。40代だからこそベンチャー企業で求められることはどんなことなのかについて確認し、40代でのベンチャー企業への転職を成功させましょう。

40代でベンチャー企業に転職するメリット

ベンチャー企業は設立年数の浅い企業が多いので、継続年数に関係なく実力が評価されると実感できる環境にあります。

結果を出せばすぐにキャリアアップできる

設立年数の浅いベンチャー企業は経営陣を含め若い人材が多いので、年功序列が根付いていません。年齢や継続年数ではなく売上に貢献したか、仕事で他の社員に良い影響を与えたかなどが評価されるので、会社にメリットとなる仕事をする方ならすぐに重要なポストを任せられる可能性が高いです。実力のある方なら、大手企業よりもスピーディなキャリアアップを期待できるでしょう。

高収入を期待できる

実力が評価されていると実感できることとして、収入アップがあります。設立年数の浅いベンチャー企業は業界経験者が少ないことも珍しくない中で、ニーズのある事業を展開しながら発展していくことが求められます。

業界に関する知識や経験が豊富、新規顧客の開拓を見込めるほどの人脈があるといった方は、企業の急成長に貢献してくれそうと判断されて重宝されます。企業のスピーディな発展を推し進めることのできる方は、ベンチャー企業が強く求める人材なので、高い評価が得られて収入にも反映されやすいです。

40代の人がベンチャー企業に求められるスキルやポジションとは?

これまでの経験を活かしてさらに活躍したいと考える方は、経験してきた業界・業種への転職を考えるでしょう。しかし、同じ業界や業種であっても、企業が成長途上にあるのか、業績が傾きはじめた企業が業績を回復させるために事業を展開したいのかなど、企業の置かれた状況によって求められるスキルは異なります。

ベンチャー企業は新規事業を次々と考えられる方や高い技術力を持つ方がいても、アイデアやスキルを実行するためのプロジェクトを作って指揮したり、出来上がったサービスを売り出したりする人材を確保できていないことも多いです。そこで、企業のビジョンに共感して、実行できる人材が求められます。

実務もこなせるリーダー

40代であれば新規事業を立ち上げる、責任者となる経験を持つ方が多いと考えられるので、ベンチャー企業からは共に事業を作り上げて発展させることができる、事業拡大のための戦略を考えて実行できることを期待されるでしょう。

一から立ち上げた事業や作り上げた新サービスは必ずしも成功するとは限らないので、転職活動でアピールしにくいと思う方もいるはずです。しかし、予想と異なる結果になった時に原因を分析して軌道修正を図ることは、積極的にチャレンジが求められるベンチャー企業では必要な力なので、失敗も貴重な経験と考えられます。

ベンチャー企業は従業員が少ないことも多く、営業やプロジェクトに参加するなど実務をこなす経営陣もいるほどです。チームリーダーなど重要なポストを任せるために採用されたとしても、他のメンバーの管理や指示しかせず実務をしないとなると会社を共に発展させられるメンバーとして受け入れてもらえないことが懸念されるので、実務を通して若手の手本となることも求められます。

40代でベンチャー企業への転職が成功する人の特徴

社会経験豊富な40代の方は、企業で働くことや仕事に対する考え方は明確になっているでしょう。

しかし、若手社員が多くて発展の途中段階にあるベンチャー企業には、自身の考え方が当てはまらないことも多々あります。これまでの企業とは仕事のやり方や考え方などが異なるということは、ベンチャー企業で成功する人の特徴も異なることが想定されます。

そこで、40代でベンチャー企業への転職が成功する人の特徴を見ていきましょう。

仕事を楽しみながらできる

ベンチャー企業は事業拡大と企業発展の土台づくりの段階にあるので、こなさなければならない仕事は多く、時には残業や休日出勤しなければならないほど忙しいこともあります。そのため、一日中仕事のことを考えられるほど楽しいと思いながら仕事をこなせる人でなければ、ベンチャー企業の仕事量に耐えらません。

また、すぐに結論を出して実行に移し、結果を出すことを求められる環境にあるので、スピード感を持って次々と仕事を進めることができるのも重要です。自分の決断に責任感を持てる人はベンチャー企業のスピード感と合いますが、仕事の進め方や方針が詳しく決められてからではないとできない人は、仕事をこなすのを難しく感じるでしょう。

臨機応変に対応するのが得意

若手が多いベンチャー企業は、業界の常識や成功事例に捉われることなく、新しいことに積極的に挑戦しようと考える方が多いです。業界での経験が長くて成功例も失敗例も多く知っている40代は、新たなことを始めようとする際、リスクを最小限にするためにこれまでの事例を参考にすることを考えるでしょう。

一方、固定概念に捉われていない若手社員は、これまででは考えられなかった方法を取り入れたり、これまでにない事業を展開することを考えたりする方が多いので、若手と一緒に会社も自分たちも成長していくには、その時々で相応しいやり方や考え方を吸収できる柔軟性が必要です。

これまでの方法や常識にこだわり過ぎて、転職先で新しいことを否定し続けると、他の社員からの印象が悪くなるばかりか、潜在的ニーズがあってヒットする可能性の高い事業をいち早く展開するチャンスを逃しかねません。スピード感を持って新しいことを生み出していきたいベンチャー企業は、試行錯誤を恐れる方は合わないと感じるでしょう。

理解しておきたいベンチャー企業に転職するリスク

ベンチャー企業に限りませんが、理想と現実のギャップが大き過ぎると転職を後悔しやすいです。社会経験の長い40代は特に、仕事や会社の仕組みに対して自分なりのイメージを持っているので、これまでの常識が通用しないことも多いベンチャー企業に馴染めない方もいます。しかし、ベンチャー企業で働くリスクを受け入れた上で転職すれば、後悔のない転職となるでしょう。

必ずしも理想の働き方を実現できるとは限らない

ベンチャー企業で働く方の中には、年齢や経験に関係なく今の実力が認められれば大きな仕事に携わることができそう、将来が期待される企業を発展させる力になりたいといった高い志を持ってベンチャー企業を選んだ方もいます。

でも同年代が多いこともあり友達を作りに来ているような感覚で仕事をする方もいるので、勢力的に働き続けることを目的に転職すると意識の低さに戸惑うことも考えられます。

若手が多いということは、10歳以上も年下の社員からアドバイスを貰ったり、慣れているやり方や考え方が時代に合わないと否定されたりということもあり得ます。自分と異なる感覚を受け入れられない、実力がある若手を素直に認められないという方は、ベンチャー企業内のチームワークを強めることができず、転職して力を発揮するのは難しいでしょう。

 

その他にも創業間もないベンチャー企業はネームバリューがあまりない状態なので、他社と取引をする際には、会社の名前ではなく、他社が取り引きしたいと思えるサービスを作る、互いにメリットがあることを営業できる提案力など、自分の力で仕事を生み出すことも必要です。自分にできることを考えて実行できなければ、ベンチャー企業に転職しても重大な仕事をしている実感は抱きにくいでしょう。

仕事が増える場合がある

ベンチャー企業は実力が認められれば収入アップを期待できますが、事業が軌道に乗る前の企業は基本給が抑えられていることは珍しくなく、評価されなければ収入が減るリスクがあります。

評価を得るには売上に貢献できる仕事を積極的にこなしていく必要があるので、人手が限られているベンチャー企業では、経費の計算や社内清掃なども自分たちで行わなければならないことも多く、仕事が多岐にわたり、業務量の増加が想定されます。

高収入が保証されていないにもかかわらず、細かい業務も含めて多くの仕事をこなす必要があるので、収入の割に仕事が多くて大変と感じる可能性があります。ベンチャー企業は仕事の大小に関係なく、できることは全て自分でやるくらいの気持ちで仕事に臨むことが求められるのです。

手当や福利厚生が不十分なことがある

勢力的に仕事がしたいからだけではなく、高収入を得ることを目的に転職を検討する方もいるでしょう。基本給は特別高くなくても、実力をシビアに評価するベンチャー企業であれば、評価と比例して基本給も上がっていくことを期待できます。

しかし、会社の資金に余力のない企業であれば、インセンティブや住宅手当などを支給するのは難しいでしょう。資金の問題だけでなく、創業したばかりで社内の制度を整える余裕がないというケースもあります。

 

福利厚生には、雇用保険や労災保険など法律で義務付けられた「法定福利」の他に、バースデー休暇といった特別休暇、レジャー施設などをお得に利用できる制度など、会社独自の「法定外福利」も挙げられます。

会社で定めることのできる法定外福利は会社によって内容も種類も様々で、売上が順調に伸びている企業や大手企業ほど充実している傾向にあります。

発展途上のベンチャー企業は事業の展開を優先していて、法定外福利を制度化する余裕がないということもあり、大手企業と比較すると福利厚生は期待できないでしょう。

ただし、資金力の問題も相まって家賃補助や社員旅行など会社側の金銭の負担の大きい福利厚生を提供することは難しくても、人材確保やワークライフバランスを向上させてモチベーションアップにつなげることを目的に、「アニバーサリー休暇」のようなユニークな福利厚生を設けるベンチャー企業が増えています。

これまで働いていた企業で当たり前だった手当や福利厚生がないことを知らないで転職すると、モチベーションの低下につながるリスクがあります。手当や福利厚生が転職先を決める際にポイントとなる方は、自身が納得できる制度のある企業を選ぶためにも内容を確認することをおすすめします。

40代は転職に最適な年代! 下準備をしっかりしてチャレンジしてみよう

ベンチャー企業は結果を出すことが求められるので、年齢や経験に関係なく企業の発展に貢献できる実力があればキャリアアップも収入アップも望めます。企業の新規事業の拡大も引っ張っていける人材を必要とするベンチャー企業にとって、仕事の経験が豊富で、新規事業に携わったことも多いと考えられる40代は戦力となることが期待されます。

ただし、創業間もないベンチャー企業は基本給が抑えられていること、手当や福利厚生が十分でないことも珍しくありません。高収入が保証されていること、手当や福利厚生が充実していることを目的に転職する方には、理想的な企業を見つけることは難しいでしょう。

発展途上のベンチャー企業は多くの仕事をこなしていく必要があるので、スピード感を持って自ら考え、次々と仕事を進められる環境を求める方に向いています。