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会社の厳しい生存率
現在どれほどの会社が生まれ、消えていくかご存知でしょうか。
空前の起業ブームで立ち上げを志す若者が増える一方、1日に22社もの会社が倒産しています。メディアは成功している会社ばかり取り上げるため、ビジネスに不慣れな若者がリスクを過小評価する傾向にあると考えられます。
特に中小企業の生存率は過酷で、創業から10年で約3割、20年で約5割が倒産しています。
会社が安定するのは、創業25年を超えた辺りからだといえるでしょう。しかしこれは、不況や災害などの緊急事態を抜きにした場合の数字です。
不況による倒産も
リーマンショック、東日本大震災、感染症の流行による事業活動の停止を受け、倒産を余儀なくされた企業もあります。
その波は中小企業のみならず、上場企業さえも脅かしていきます。ごく最近では、外出規制による旅行会社・航空会社の倒産や、飲食店の閉店が挙げられるでしょう。また倒産まではいかなくても、合併などの可能性は大いにあります。
倒産は決して珍しいものではなく、いつ自分の身に降りかかってもおかしくないことなのです。
倒産しやすい会社の特徴
倒産の前兆をお話する前に、まず倒産しやすい会社の特徴についてお話します。
あなたの会社がいま倒産の目前にいなくても、特徴に当てはまればいずれ倒産するリスクがあります。ここでは社員・経営の2つの視点から見ていきます。
社員の特徴
時間や身だしなみにルーズな人が多い
会社は他社との関わりなしに生きてはいけません。ルーズなこと自体が問題にならなくても、その意識の低さが原因で、いつか取り返しのつかないミスを冒す可能性があります。
時間や身だしなみのだらしなさは、そのまま会社の信用へと直結していくのです。
長時間労働やパワハラで疲弊している
「元気があれば何でもできる」と謳うプロレスラーがいたように、社員の元気は会社の原動力です。社員が疲弊していると生産性が上がらず、社内の雰囲気もどんよりしたものになります。
特に長時間労働に見合う給料が得られていない場合は、社員の士気も下がり業績悪化につながっていきます。
人の入れ替わりが激しい
人の入れ替わりが激しいということは、言い換えれば離職率が高いということです。私が以前勤めていた会社では、離職率47%を記録し問題視されたことがありました。
その数字の通り、社内では適応障害を発する人、帯状疱疹にかかる人、突然姿を消す人が多発していました。離職率の高さには、このような裏事情が潜んでいるのです。
また頻繫に人が入れ替わると、取引先の担当者もよく変わることになるため、相手への不信感を募らせることになります。
経営の特徴
数字の管理が甘い
民間企業は利益を生むことで成り立つ組織です。経営者には売り上げだけでなく、固定経費や粗利、将来に向けた投資など全てを管理する手腕が求められます。つまり杜撰な数字の管理は、会社の土台を壊すに等しい行為です。
また経理周りが雑だと会社のお金を私物化する社員も出てくるため、収支のバランスが悪くなってしまいます。
時代の変化に対応できていない
経営者は自社の商品や産業に限らず、経済や政治、最新テクノロジーなど様々な要素を勘案する必要があります。ヒット商品にいつまでも固執したり、同じ手法で企画を打ったりしていては、時代に取り残されることになるでしょう。
時代に合わせて進化していけるかが、不況時に生き残るためのカギにもなります。
何事も精神論で片付けようとする
数字やデータをもとに論理的に考えるのではなく、精神論や昔の経験則ばかりにこだわる傾向があれば要注意です。
「私が若手の頃はやってたんだから、文句言わずにやりなさい」、「熱意が足りないから上手くいかないんだ」などの発言がそれに当たります。
がむしゃらに社員を働かせて成り立つほど、会社は単純ではありません。結果として社員の疲弊につながり、心と体を壊してしまう可能性があります。
見逃せない9の前兆
組織運営に必要な要素は「ヒト・モノ・カネ・情報」といわれます。それにならって「社員・設備・お金・業務」の4つに分けて前兆をお伝えしていきます。
特にお金の動きに関しては顕著な変化が出るため、倒産の指標とするには最適です。
社員編
1.エース社員、経理担当者が辞めていく
エース社員や経理担当者は、会社の経営状況をよく理解している人たちです。そのため業績悪化をすばやく察知し、早めに退職していきます。
もちろん寿退社や単なる転職の場合もあるため、不信感を抱いたときに立て続けに退職者が増えていたら、倒産の確率は高いといえます。
またエース社員の退職は会社の利益が下げる要因にもなるため、その後に経営が悪化していく可能性も考えられます。
2.役員会議が増える
役員会議は、会社の方針など重要事項を決めるときに設けられる場です。これが増えるということは、何かしらの非常事態が起こっているといえます。
さきほどご紹介した離職率47%の会社では、「MYK(まじでやる会議)」という役員だけが集められる謎の会議がありました。一般社員には何をしているか全くわからず、社内では都市伝説のような存在でした。
設備編
3.設備投資しなくなる
PCやコピー機、社用携帯などのデバイスが、故障しても放置されたり徐々に無くなったりしていきます。これは倒産の前兆というより、経営状況が悪くなり始めたあたりから起こる現象です。
毎月の固定費の捻出に精一杯で、投資にお金を回す余裕がなくなっている証拠といえます。
4.清掃が行き届かなくなる
設備投資と同様、コスト削減のために清掃業者が来なくなることがあります。それだけでなく、ウォーターサーバーが解約されたり観葉植物が枯れたまま放置されたりと、目に見える形で職場環境が変化していきます。
経営コンサルタントや税理士が会社訪問するときは、このような変化を見て経営状況を推測するといいます。
お金編
5.給与の減額・手当の廃止・ボーナスが出なくなる
お次は怒涛の減給ラッシュです。労働基準法では大幅な給与の減額は禁止されていますが、倒産すると結果的に労働者の不利益となるので、それを避けるために一定の減額ができます。
またボーナスは給与と違い、業績が好調なときにその利益を社員に還元するというケースが一般的です。大きな投資がないにも関わらず、ボーナス額に大きな変化が表れた場合は警戒が必要です。
6.過剰な節約がはじまる
設備投資の削減に加え、さらに細かい部分での節約も起こります。例えばこまめな電気の節約、エアコンの使用制限、筆記用具が自前になることが挙げられます。物の制限に加えて、忘年会などの恒例イベントがぱたりと無くなることもあります。
経営が悪化すると、とにかく目の前にあるムダを無くそうと過剰なコストカットが入ります。ここまで来るとさすがに違和感があるので、確固とした危機感を持っていい頃です。
7.給料の支払いが遅れる
給与の支払いが遅れるのは末期状態です。会社の口座に現金がなく、取引先などからの入金がないと社員に給料を支払えない状況にあります。
この地点に来たら倒産を見届けるか早めに転職するか、最終決断を下しましょう。
業務編
8.ノルマが異常に厳しくなる
従業員に厳しいノルマを課す会社も少なくありません。到底達成できないようなノルマを与え、少しでも多くの利益を上げようと無茶を要求してきます。
それも論理性のない精神論ばかり掲げてくるのが特徴です。しかし会社には金銭的な余裕がないので、気づけばサービス残業をしていた、ということにもなり兼ねません。
9.取引を断られる
取引を行う場合、会社では危険回避のために与信を行い、支払い能力があるかの判断をします。そのため倒産の危機があれば回収が見込めないと判断され、新規の取引はもちろん、既存の取引業者からも今後の付き合いを断られるようになります。
自社の経営状況について良く知らない人でも、逆に取引先から心配されて間接的に知ることもあるでしょう。
転職のタイミング
まだ倒産するか定かではなくても、違和感を察知したときは保険として転職準備をしておくと吉です。
同時に有休を消化しておくことで、有休を残したまま倒産する事態を防げるとともに、その時間を転職準備にも当てられて一石二鳥です。
転職は倒産前・倒産後どっちが良い?
倒産の前兆があったらすぐに転職すべきかというと、一概にそうとはいえません。倒産前後のどちらにもメリット・デメリットがあります。
倒産前と後でどのような待遇の違いがあるか、下記の表に簡単にまとめました。
倒産前 | 倒産後 | |
履歴書に書く退職理由 | 自己都合になる | 会社都合になる |
給与 | もらえる | カット・未払いになる |
退職金 | もらえる可能性が高い | もらえる可能性が低い |
その他 | 職歴にブランクができない | 失業保険がすぐにもらえる |
倒産前に転職できれば、給与・退職金といった金銭面は安定する一方で、退職理由は自己都合になってしまいます。
対して倒産後に転職した場合、給与・退職金は保障できませんが、失業保険などを申し込むことである程度補えます。仕事のブランクについては、倒産が理由ならば特に言及されることもないはずです。
金銭面では倒産前、転職のしやすさでは倒産後のほうがメリットがあるといえるでしょう。自分の状況に合わせて、より良い判断をしてください。
倒産後の救済システム
最後まで会社に残るときは、ぜひ以下の制度を活用してください。
危険信号があったら
地震が来たときは、火を消したり机に潜ったりして身を守る行動をとるはずです。倒産も同じで、前兆を察知できれば身の安全と避難経路を確保できます。
自分の身を守るために、倒産で人生を壊されないために、ぜひこれらの情報を役立ててください。
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