求人数が多いからと言って東京ですぐに仕事がすぐに見つかるわけではない

地域格差が問題として叫ばれる時代において、東京というのは仕事で溢れているイメージがあります。

「ここに住んでいたら、やりたい仕事がない。」

「将来は東京に出て仕事を見つけたい。」

「東京に行けば仕事なんていくらでもある。」

こういう言葉、地元を離れていく友人から聞いたりしませんか。

華やかな場所で、就職を目当てに上京するという人はあとを絶ちませんが、実際はどうなのでしょうか。

ここではそれについて解説します。

東京はすぐに仕事が見つかるのか

東京はすぐに仕事が見つかるのか

東京はそれほどに仕事が見つかりやすいのかについて、有効求人倍率に着目して見てみましょう。

この有効求人倍率というのは、ハローワークに申込された求人数÷求職者→有効求人倍率という計算式で算出されるものです。

有効求人倍率が高いということは「1人あたりの仕事の数が多い」ということです。

例を挙げると求人数が200件で求職者数が50人なら、200件÷50人→有効求人倍率4.00倍ということになり、仕事は多い!ということになります。

都道府県別有効求人倍率にて東京・神奈川・埼玉・千葉の求人倍率を比較すると2021年8月時点で東京が1.18倍、神奈川が0.84倍、埼玉が0.93倍、千葉が0.86倍、東京が最も高い求人倍率になります。

コロナ禍であることから正確な比較はしにくい時代でもありますが、関東の中では比較的高めなのはわかります。

都道府県別求人倍率トップ5(2021年8月時点)

それでは、都道府県別求人倍率の上位5つを紹介します。

  1. 富山県:1.46倍
  2. 長野県:1.41倍
  3. 新潟県・茨城県:1.40倍
  4. 岡山県・広島県:1.38倍
  5. 宮城県・宮崎県:1.37倍

以上が都道府県別求人倍率トップ5です。

富山県の有効求人倍率が非常に高く、一人あたりの求人数が多いことがわかります。

また、関東では茨城県が非常に高い有効求人倍率となっています。

仙台市のある宮城県も求人倍率が高い県であり、東京都と同じように非常に多くの仕事があることが伝わります。

都道府県別求人倍率ワースト5(2021年8月時点)

トップ5がわかりましたら、次はワースト5も見てみましょう。

  1. 沖縄県:0.72倍
  2. 神奈川県:0.84倍
  3. 千葉県:0.86倍
  4. 埼玉県:0.93倍
  5. 滋賀県・兵庫県:0.94倍

有効求人倍率が低いということは、それだけ1人辺りの求人数が少ないということです。

仕事の数だけで見ると、関東は有効求人倍率が低い県で固まっています。

求人数のみで判断すると、関東だから仕事を見つけやすいとは言えないということがわかります。

参考:労働政策研究・研修機構(JILPT)「職業紹介-都道府県別有効求人倍率:主要労働統計指標

東京はやはり仕事の数が多め

有効求人倍率が高いことからも、東京は非関東・関東含めても、比較的に仕事の数が多いと判断できます。

東京は人口も非常に多いので競争率も高いと言えますが、店舗数や企業数も非常に多いです。

上京してすぐに仕事に就けるとは限りませんが、仕事の豊富あるので、地元では仕事が無かった人が仕事に就ける可能性も高めと言えます。

しかしながら、仕事に就ける確率は高くても、正社員は難しいという見方もできます。それはどうしてなのでしょうか。

東京で正社員での就職となると難しいと言われる理由4つ

東京で正社員での就職となると難しいと言われる理由4つ

東京は正社員としての就職をするには難しいとも言われています。

東京に仕事を求めたのに話が違うということにならないために、正社員になるのが難しい理由を見ていきましょう。

ブラック企業が多い

企業の数が多いとどうしても「これって会社としてどうなの?」と思う仕事内容や勤務状況を続けている企業数も増えてしまいます。

つまり、いわゆるブラック企業も多くあるということです。

せっかく上京し、頑張って仕事に就いたのにブラック企業で働くというのは悲しい結果です。

劣悪な労働環境にいることで、お金はもらえても、一生消えない心身の傷ができる危険があるのを認識しましょう。

ブラック企業で働かないためには、東京へ行ったらどんな企業で働くかも考えないといけません。

良い会社ほど競争が激しい

東京は常に膨大な数の人がいます。

そのため、仮に良い企業があっても、そこに人が集中してしまいます。

ブラック企業ではなく良い企業で働きたいのはみんな同じですので、良い会社ほど競争が激しくなります。

競争を勝ち抜くチャンスや実力が無かった場合、正社員になれない可能性が出てきます。

就活にお金がかかる

東京都の企業に就職するために就活するとなると、就活にかかる出費が膨らんでいきます。

地方に住んでいる場合は、上京するたびに交通費や宿泊費などが必要となり、出費がかさむ要素を数えるとキリがありません。

オンライン面接などで対応してもらうという手もありますが、そうでない場合は地方住まいの方は遠方から東京に遠征しないといけません。遠方から来る方には移動が大きな頭痛の種になります。

東京都の就活は続けば続くほど地方者にとってはお金が飛んでいくので、注意が必要です

非正規の方が仕事が豊富

東京都は正社員になるよりもアルバイト・パート・派遣になる方がスムーズです。

それは正規雇用よりも非正規雇用の方が需要が大きいからです。

特に今は新卒で正社員を取り、中途採用はよっぽどのことがないと取らない企業も多く、アルバイト・パート・派遣の方が企業的には扱いやすためです。

社会保障やボーナスを除くと、派遣社員の方が賃金が高めになるものの契約更新・終了で人の入れ替えができるほか、管理は派遣会社になるので管理コストが抑えられるためとも考えられます。

東京は仕事が多いとは言っても、非正規雇用の方が多く正規雇用となると学歴やスキル、前職の経験が高く求められることを知っておきましょう。

そうはいってもたくさんの企業と人が集まっている都市です。地方に住んでいると魅力的に見えるのは当たり前とも言えます。正規雇用ではなくても東京で働きたいという人もいるので、東京で働くメリットについても見ていきましょう。

東京で働くメリット4つ

東京で働くメリット4つ

それでは、東京で実際に働く上でのメリとはどのようなものがあるのでしょうか。

仕事の選択肢が多い

日本の首都である東京は膨大な数の企業・団体があります。

このことから、東京でしかできない仕事、東京でしか稼げない仕事というものがあります。

例えば、自分が興味を持った新しい企業での仕事、大企業の本社勤め、師匠としたいパティシエの弟子、ずっと憧れていた劇団員などです。

「子供の頃からどうしてもやりたい仕事がある」・「将来は東京で一旗揚げたい」・「東京で色んな人と会いたい」という方は、東京で仕事を探しましょう。

数多くの仕事の選択肢を持ちたいという方や、ユニークな仕事をしたいという方は、東京で働くメリットが大きくなります

給与・福利厚生が手厚い

東京都の非常に重要なメリットに給与・福利厚生が他県と比べても優れているというものがあります。

特に、給料については厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、東京は47都道府県で最も平均年収が高い年収373.6万円です。

2番目に年収の高い神奈川の平均年収が335.2万円なのを考慮すると、東京都は非常に抜きん出た給与の高さを持っているとわかります。

老後の生活を豊かにしたいというのも含めて、給与・福利厚生が厚い東京の企業に就職するのは、至って普通の思考です。

大手企業にチャレンジできる

福利厚生が手厚い職場で働きたいという場合、大手企業で働くのが非常に有効です。

そして、東京は大手企業にチャレンジする機会が非常に多く存在します。

東京は人材と企業が集結する土地ですので、大企業と繋がりを持つルートが多いというのもメリットと言えるでしょう。

キャリアをステップアップさせ、大企業に就職したいという方は、東京で働きましょう。

経験を積める

仕事・人・企業の中心地と言えるのが東京都です。

したがって、東京で働くことで国内最前線の現場で働くことができ、キャリアを積み上げていくことが可能です。

東京で働くと、高品質の仕事ができるというだけでなく、さまざまな人との繋がりを育み、優秀な社会人として成長するチャンスがあります

東京で働くデメリット4つ

東京で働くデメリット4つ

メリットを紹介したので、東京で働くことで生じるデメリットも紹介します。

物価や家賃が高い

総務省の「小売物価統計調査(構造編)調査結果」によると東京都は物価指数が最も高い都道府県です。

特に、住居費が非常に高く、神奈川県の住居費の物価指数が116.5である一方で東京都の住居費の物価指数が134.5です。

日用品だけなら地方よりも安く購入できることが多いですが、外食・家賃の負担が非常に重いのが東京都で働くデメリットです。

給与は高い分、物価も高いということは忘れずに家賃は給与の1/3以内に収めるようにしておきましょう。

移動するにはマイカーより鉄道や地下鉄が便利なので交通費がかさむ

都市部は常に車が行き交い、渋滞が発生することも多いです。

そこで都市部で働く人は通勤などでも車の代わりに電車やバスなどの公共機関の乗り物を利用します。

生活するにはそれで問題ないことが多いですが、車移動に慣れていた方はやや不便に感じることもあり、車の運転が好きな方は物足りない日々を送ることになります。

就活が長期化すると生活費とメンタルを消耗していく

都内での就活というのはひたすらにお金を払っていくものになります。交通費にスーツ、靴の購入費、クリーニング代のほかに日用品と飲食代もかかります。

1つの企業で面接を受けるだけでも楽ではないのに、いくつもの企業の面接を受けているのに就活が終わらないとなると、生活費が圧迫されていきます。

お金が減っていくのに仕事が決まらないという状況は、お金だけでなく精神も追い詰められてしまいます。

一度は東京で働きたいならある程度の資金とスキルや技術力がある方が有利

一度は東京で働きたいならある程度の資金とスキルや技術力がある方が有利

東京というのは仕事が非常に多いイメージがあります。

そこに夢を抱くのは、地方出身の方には無理もないことです。

しかし、ブラック企業・競争率などの要素を考慮すると、東京にて良い環境での正社員になるのは困難でもあることがわかります。

裸一貫で東京での正社員就職にチャレンジするのは、出費の面でもブラック企業に当たる危険の面でも避けるのが適切です。

東京で仕事に就くには、地元でしっかりと就活のための資金と、新生活の基盤になる資金、そして就活で相手企業に評価されるだけのスキルと実績を積み上げましょう

準備をしっかりしてから東京での就活に挑むことで、賃金が高く、求人案件も多い東京の利点を活かすことが可能です