辛く長い時間をかけることになる不妊治療。夫婦で望んだことだからこそ、最後まで頑張りたい気持ちでいっぱいのことでしょう。
ただ今の職場でなかなか理解を得られずに、もっと理解と協力のある職場を探すために転職をしなければならないこともあります。
また不妊治療には多額のお金がかかります。そのためもっと余裕をもって妊活をしたいということもあり、そうなると、不妊治療中に転職活動をすることになってきます。
不妊治療中に転職する人は多い
不妊治療などの妊活と転職というのは相性があまり良くないのでは、と思われる方もいることでしょう。
仮に転職が成功しても、妊活をしているということは妊娠したら産休・育休という長期休暇に入る可能性があるからです。
しかし、実際は晩婚化・晩産化の傾向が強まっていることから、不妊治療中に転職をするという方は決して珍しいものではありません。
妊活する女性を応援するSNS「妊活ボイス」が2017年に実施した調査によると、妊活中に転職や社内異動・業務変更をした人は16.1%いるということがわかっています。
ほぼ6人に1人は妊活中の転職活動をしているということです。
そして、不妊治療などの妊活によって仕事を辞めたという方は18.2%にもなります。
不妊治療によって退職・転職をするという人は珍しくもなんともないということがよくわかります。
参考:妊活ボイス「妊活中の退職・転職などの経験者は3人に1人以上!正社員の半数は仕事との両立が困難と感じる」
不妊治療中の人にピッタリの転職先を選ぶポイント5つ
不妊治療を受けながら転職活動をするとなると、適した転職先を選ぶことが重要になります。
妊活への理解がない転職先を選んでしまうと、結果としてまた退職・転職せざるをえなくなるからです。
有給休暇が取得しやすい会社を選ぶ
不妊治療なといった妊活は仕事との両立が非常に困難なものとなっています。
妊活・妊娠でのホルモンの変化は心身に大きな影響を与えますし、診察後の体調が芳しくないときにも、無事に出産したあとでも子供の体調不良でお休みをしないといけなくなることもあります。
つまり「理解も得られたうえで有給休暇を取れるのか」というのが、妊活と仕事の両立には重要です。
女性の多くが活躍している企業や職場を選ぶというのも方法です。
残業の有無
妊活をしている間に加え子供を無事に授かった後でも、変わらず重要なのが残業の有無です。
労働時間が長すぎると、不妊治療に耐える体力をキープできません。出産をした後は子育てのためにも、なるべく残業を避けたいのが心情です。
妊活や子育てと残業の両立は心身に非常に大きな負荷がかかります。
転職先は、できるだけ定時退社も可能な残業が少ない会社を選ぶようにしましょう。
柔軟な働き方ができる
また、さまざまな働き方を会社が認めているというのも重要な要素になります。
どうしても出社して働くということができなくなった場合や、他の人と同じ時間帯には働くことができなくなることがあります。
そういった場合に、始業・終業の時間を選ぶことができるフレックス制度や、自宅で仕事をこなすリモートワークなどを企業が射止めているかどうかによって、仕事を続けることができるのか決まります。
妊活と仕事を両立するには、さまざまな働き方を導入している企業を選びましょう。
育休復帰して活躍する社員が多い
企業が妊活や子育てについてどう考えているのかについては、育児休暇から復帰した社員がどれだけいるのかを目安にすることがおすすめです。
長期に渡って仕事から離れる育休は、そのまま仕事を辞めるきっかけにもなりがちです。
その育休から無事に復帰し、また働き始めた人たちが多いということは、その企業が育休などへの理解が深いということです。
有給申請・育休申請をしやすいのはもちろんのこと、長期の休みからの復帰をしやすいかどうかも、転職先を選ぶ上での重要な要素です。
不妊治療中の転職活動における注意点
次は、不妊治療をしながらの転職活動を行うというシチュエーションで、注意すべきことを紹介します。
不妊治療とは関係ない転職理由を考える
転職理由を尋ねられた場合、本当の答えとは違っていたとしても、不妊治療とは違う答えを伝えるようにしましょう。
実際の妊活中の転職理由は「精神的負担が大きかった」・「時間確保が難しかった」・「体力的負担が大きかった」といった理由です。
つまり、転職活動にて伝える理由は「気分良く働ける職場が良い」・「時間に余裕のある仕事をしたい」・「ゆとりのある働き方が良い」といったものが有効ということです。
面接で子供の予定を聞かれたら「出産後も仕事を続けたい」という意思を伝える
なお、転職活動仲の面接などで質問されなければ、こちらから不妊治療中だと伝える必要はありません。
それはそれとして、答えたら「妊活中・不妊治療中であるため、子供を持つ意思はある」ということを伝えましょう。
嘘を付くのはいけないことですが、答え方には気をつけるのが有効です。
「子供を持つ意思があり、子供ができても仕事を続けたいです」と伝えれば、相手も妊活中だから、どうせ就職してもすぐに辞めるとは考えにくくなります。
面接などの選考フェーズに入ったら転職活動を優先させる
不妊治療は非常に重要ですが、転職活動にて面接や研修などの選考段階に入った場合は、その時点で一旦は転職活動を優先しましょう。
妊活は継続的にお金がかかるものなので、十分な不妊治療を受けるためにも、転職の成功というのは非常に重要です。
妊活が実って子育ての時期になった後でも、子育てにはお金が必要であることから、転職活動を成功させる重要性が非常に高いと言えます。
妊娠中や出産後は身体も時間も制限されることが多いため、選考フェーズに入ったら内定を獲るために転職活動を優先しましょう。
不妊治療中は無理に転職せず現職に留まるのも選択肢の1つ
妊活中はホルモンバランスの変化によって心身が不安定になりがちです。
経済面・労働時間面で在職が難しいという場合はともかく、精神面での負担などが理由の場合、「本当に転職すべきなのか」をよく考えるのも重要です。
また正社員の方は心身の負担を減らすために、契約社員やアルバイト、パートといった雇用形態を変えてもらうのもひとつの方法です。
お給料は減りますが、何を優先すべきかを考えてみてもいいでしょう。
家族・友人・配偶者にそのことを相談し、助けになってもらうのも冷静にな判断を下すのにおすすめです。
妊活への理解度が高い職場を選び、在職の意思を強く示して転職しよう
転職することを決めた後は、有給休暇を取りやすく、育休への理解も深い職場を選ぶようにしましょう。
- 年齢層が幅広く女性がたくさん働いている職場を選ぶ
- 女性スタッフがメインとなる職場(病院・保育・アパレル等)を選ぶ
- 地方自治体の関連会社を選ぶ
女性が多く働いている職場は、結婚、出産、育児など女性のライフスタイルに理解をしていることが多いため長期で働けているとも取れます。
また女性スタッフの活動がメインとなる病院関係や保育関係、アパレル関係も体制が整っている風潮があり、行政として対応をしっかりとするという観点からも地方自治体関連の職場を見つけるのも良い方法といえます。
転職活動の際は不妊治療のために転職をしたのではなく、あくまで転職先の職場で働きたいのだという意思をアピールすることが転職成功のコツです。
転職をしてすぐは有給休暇がありません。なので、不妊治療で有給を認めてくれるのかどうかよりも、この職場でしっかり働きたいということを見せ、職場になじみながら夫婦や家族で頑張っていくというのが良いでしょう。
もしも、そこまでして転職をする必要性が薄いと思った場合は、無理に新たな環境に入ろうとするのではなく、長く働いた現職に留まるのも選択肢の1つだということを覚えておきましょう。
不妊治療で現職場でストレスを感じ転職以外の選択肢はないという方へ
勤めながら不妊治療を続け、どうしても理解が得られない、陰口を言われ続けて心が壊れそう、休むたびに人間関係が壊れていく、と強いストレスを感じている方は、転職をすると心に決め転職エージェントに登録をして「不妊治療中だけれどしっかりと働いてく意思があることを見せる」という選択もあります。
担当となる方も女性であれば、時間は多少かかるかもしれませんが理解を得られながら転職先探しのサポートをしてくれるでしょう。
また、転職と強い意志を持つことで、心と体のバランスを崩してしまう方もいます。
そのときは、絶対転職をする! というよりも退職をして自宅近くの職場でパートとして働いてみたり、不妊治療に集中するために専業主婦になるというも良い方法です。何より心と体のバランスが大切なのです。
何を一番に優先するのかを話し合ってみよう
不妊治療は決して安い医療費ではありません。そのため、夫婦で共働きしなければ治療を続けられず「どうしても働きにでなければならない」というケースもあります。でも仕事を優先してしまうと治療の後に体調を崩してお休みをしてしまい、同僚がカバーとなると悪いことをしてはいないのに、辛く感じてしまいます。
お金は必要だけど不妊治療は大事なのは分かるところですが、今は「転職」と「不妊治療」どちらを最優先するのかを話し合ってみましょう。赤ちゃんを身ごもる体をいたわってみてください。
お金に不安があるときは自治体に相談してみよう
住民票を置き、その地区を管轄している行政では不妊治療に対し、補助金を出しているところもあります。
また現在では厚生労働省にて「不妊に悩む方への特定治療支援事業」も行なっています。各自治体ではこのほか相談窓口や担当者を置いているところもあるので、夫婦やひとりで悩まずに相談をしてアドバイスを受けてみるのがいいでしょう。