「転勤」と聞いて、あなたはプラスイメージを持ちますか?マイナスイメージを持ちますか?

多くの人が「面倒くさい。嫌だ」とマイナスの言葉を頭に浮かべていることと思います。

転勤には多くの苦労が伴いますが、その分得られるものも用意されています。

この記事を読み終わったとき、あなたの「転勤」のイメージが少しでもプラスに傾きますように。

豊富なメリット

マイナスイメージの強い転勤ですが、意外にもメリットはたくさんあります。働く側のメリットと一緒に、会社側のメリットもご紹介していきます。

働く側の5つのメリット

新鮮な気持ちで仕事ができる

仕事をする上で、環境は良くも悪くも大きな影響をもたらします。今の職場環境や人間関係に不満がある場合、新しい場所に移動することで全てリセットすることが可能です。

また同じ環境下で偏ってしまった思考や仕事の進め方が、転勤によって変わり仕事の可能性が広がるかもしれません。

人間関係を広げられる

人間関係をリセットすることは、同時に新しい出会いを生みます。社内の人脈が増えることはもちろん、それまで縁がなかった地域での出会いもあり、全国に頼れる人や友人を増やすチャンスといえるでしょう。

転勤手当がもらえる可能性がある

会社の制度にもよりますが、遠方へ転勤になった場合は赴任手当・家賃補助・帰省手当などがもらえます。転勤したことで、金銭的に余裕が出てくる場合もあります。

その土地でしか得られない体験がある

旅行とは違い、その土地に住んで気づく魅力があります。名産品を手軽に食べれたり、穴場を発見したり、持ち帰る話のネタ作りには困りません。本場の味に慣れてしまってはもう戻れない、なんてこともあるでしょう。

持つものが減ってスッキリする

転勤がきっかけでミニマリストになった人もいます。次の転勤を考え、段ボールのまま放置していたものが「不要なもの」と気づいたそうです。

余談ですが筆者も持ち物が少ない方で、備え付けの収納に納まる程度のものしか置いていません。「置けない」という理由で無駄遣いもしなくなり、部屋もすっきりして一石二鳥です。

会社側の3つのメリット

組織の活性化になる

他エリアの社員が入ることで新しい価値観が加わり、マンネリ化した社内環境に刺激を与えることができます。全国に営業所をに持つ企業の場合は、転勤によって特定の社員と顧客の癒着を防ぐという目的もあります。

人間関係のトラブルをリセットできる

同じ部署内でトラブルがあった場合、転勤によって人員の入れ替えをすることができます。もし人間関係が原因で辞めようとしている社員がいたなら、転勤も一つの有効な手段になるはずです。

一通りの業務を経験させられる

本社より人数の少ない支社の勤務なら、転勤者に一通りの仕事を経験させられます。

転勤者側からすると、成績や評価が良いときに転勤を命じられた場合、将来的に会社の幹部候補として期待されてるといえるでしょう。

避けられないデメリット

マイナスイメージの要因になっているデメリットについてもお伝えします。こちらもメリットと同様に、働く側と会社側の両視点から見ていきます。

働く側の3つのデメリット

家族や恋人と離ればなれになる

家族や恋人がいると、自分ひとりの問題ではなくなります。不本意にも子供の転校やパートナーの転職を伴う場合は、相手との関係の悪化につながる可能性があります。

もちろん「単身赴任」の選択もありますが、物理的な距離は心の距離に比例するともいわれます。愛しい人と離れることは、互いに大きなストレスを生む原因になり得ます。

引っ越しや手続きの手間がかかる

引っ越し作業はもちろん大変、その後はライフラインや住所変更の手続きもしなければなりません。特に引っ越しに慣れていない人にとってはかなりの負担になりますが、郵便物などが届かないともっと困りますので、避けられない作業になります。

新しい環境が苦手な人は大変

引っ越しの整理や住所変更は数日で終わりますが、環境に慣れるにはさらに数週間、人によっては何カ月もかかります。ただでさえ新しい職場環境で疲れているのに、家でも落ち着かないと心の休まる隙が生まれません。

極端な例ですが、海外転勤をした人が生活環境の違いのあまり、円形脱毛症を患ったという話もあります。

会社側の2つのデメリット

転勤が原因で辞めてしまう社員が出る

以前の日本企業では滅私奉公の風潮が強く、辞令が出れば問答無用で引っ越しするのは当たり前のことでした。しかし最近は、終身雇用制度の崩壊により転職しやすい環境ができたため、転勤を命じられるとあっさり辞めてしまう人が少なくありません。

新卒社員が集まらない

実際に新卒者の多くが、全国転勤に否定的な考えを持っています。この傾向は、就活生を対象とした職業観とライフスタイル調査の結果から見て取れます。

「転勤は考えない」が68.5%、「転勤はイヤ」が67.6%と7割近い数字が出ています。

採用条件に「全国転勤可」の文字を見つけて逃げる学生もいれば、選考中は「全国転勤できます」と言っていたのに、いざ入社すると「職種はなんでもいいので関東で」と手のひらを反す人もいるでしょう。

全国転勤を掲げる企業は、募集を集めるだけでも骨が折れるうえ、やっと採用した新卒者をうまく配属できないリスクも抱えているのです。

向いてる人・向いてない人

メリット・デメリットについてはお伝えしましたが、どんなことにも向き不向きはあります。転勤に対して前向きになってきた人もそうでない人も、適正があるかここで一度確認してみましょう。

向いてる人

飽きっぽい人

同じ土地に住み続けると飽きてしまう、同じ場所で働き続けるとだらける、同じ人ばかりといるとつまらない、という飽き性さんには転勤がもってこいです。転職でコロコロ職を変えるよりは、同じ会社で転勤をした方が手間も時間も省けます。

チャレンジ精神が旺盛

新しい土地の生活は、右も左もわかりません。そこで怖気づかず、むしろ楽しみながら挑戦できる人には向いています。チャレンジ精神を活かして、ぐんぐん経験値を稼いでいきましょう。

お1人様が好き

遠方の場合は、これまでの友人と気軽に会えなくなってしまいます。必然的に休日は1人でいる時間が増えるため、寂しがりやな人には不向きといえます。逆に1人でラーメン、映画、旅行、何でもどんとこいという人の方が、転勤先でも充実した生活を送ることができます。

向いてない人

エン転職の実施した「転勤」に関する意識調査によると、転勤拒否の理由に20代は「新天地への不安」、30代は「子育て」、40代は「介護」が最も多く挙げられます。

向いてない人へのキーワードは「環境」「家族」です。

環境の変化に敏感

20代の拒否理由にあげられる通り、環境の変化にストレスを感じやすい人には向いていません。

さらに同じ枕じゃないと眠れないなど、生活環境に左右されやすい人は要注意です。職場環境は給与を貰っていると思えば我慢できるかもしれませんが、生活環境までとなるとメンタルのコントロールが難しくなります。

家族の縛りがある

デメリットでも述べた通り、家族がいる場合は本人だけの問題ではなくなります。30代に多い「子育て」、40代に多い「介護」を背負っている場合、それを放っての転勤も、抱えながらの転勤も身が重いものです。家庭の事情がある場合は、その旨をきっちりと伝えて断りましょう。

逆に独身子なしで親も元気なら、フットワーク軽く転勤を受け入れやすいといえます。

 

ここで付け加えておくと、転勤の有無は会社の制度や風土によるものが大きいです。

最初から転勤の意思がない人は、辞令を受けるより前に保険をかけましょう。面接の段階で転勤の可能性があるかの確認や、転勤したくないことを事前に伝えておくと、後になってギャップが生まれにくくなります。

転勤は無くなる?

ここまで転勤があること前提で話を進めてきましたが、もしかすると近い将来に転勤がなくなるかもしれません。なぜなのか、転勤の生まれた背景にその理由は隠されています。

欧米に転勤はない

そもそもの話になりますが、転勤は日本特有の文化です。

長らく終身雇用制度が続いた日本では、ビジネスの中身や拠点が変化する中でも、雇用を保障するために社内で人員を補う必要がありました。会社側も終身雇用を守るために、転勤は避けては通れない道だったのです。

しかし終身雇用制度がほぼ崩壊している今、その必要性は無くなってきているといえます。 昨今では部分的に地域限定正社員が導入されはじめ、転勤がない働き方も増えてきました。

既に本格導入を始めている企業もあります。

外資金融大手AIG損害保険がいち早く廃止へ

「転勤そのものが嫌、環境を変えたくない」という学生の声や、「全国転勤して昇進することに興味がない」という社内の声を受け、AIG損保が2019年から全面的に廃止を始めました。

社員が少しでもライフプランを立てやすいよう会社がサポートする仕組みをつくり、社員の満足度を上げることが目的です。結果的に採用の競争力を上げ、入社後の離職率を下げることに繋がるといいます。

AIG損保の取り組みはSNSでも話題となり、おおむね好意的な評価を受けています。これを引き金にして、今後はさらに転勤制度の見直しが進むことも考えられます。

参考:BUISINESS INSIDER 「できれば誰も転勤したくない」損保大手AIGが全国転勤を廃止する理由

転勤は楽しんだもの勝ち!

ここまで転勤を取り巻く全てをお伝えしましたが、イメージに変化は起きましたか。

転勤にはデメリットを超えるメリットがたくさんあります。もし自分がいま身軽な立場なら、思い切ってチャレンジしてみる価値があるはずです。

今後どのように転勤制度が変化していくかはわかりませんが、急な転勤になっても焦らずに済むよう、転勤の楽しみ方を知っておくと良いでしょう。