ハローワークは「公共職業安定所」とも呼ばれ、略して職安とも言われる公的機関です。

転職を経験したことがある方や、パートや派遣の仕事を探したことがある方の中には、ハローワークを利用したことがある方もいるのではないでしょうか。

仕事を探すならハローワークも活用することがおすすめなのですが、ハローワークがどんなところなのか知らない方もいることでしょう。

そこでハローワークがどんなところなのか、登録方法や利用するために必要な手続きなどを詳しく解説していきます。

仕事を探すならハローワークもあり。でもハローワークってどんなところ?

ハローワークは仕事を紹介することをメインとしている行政の機関です。

国が運営しているため民間の職業紹介事業所とは区別されていることが特徴です。

厚生労働省からの指示を受けて、都道府県労働局が地域の雇用対策を展開するところとして存在し、雇用保険の手続きも担う窓口業務を行っています。

人材を探している企業に対して、企業を探している求職者を紹介することが主な業務で、就職困難者を支援するセーフティネットとしての役割も持っています。

民間で運営している転職エージェントとは区別されているものの、ハローワークの利用は民間と同じく無料人材を求める企業側にも利用料金がかかりません

そんなハローワークの具体的なサービスについて見ていきましょう。

ハローワークのサービスにはどんなものがあるのか

ハローワークでは、求職者と企業側の雇用関係が成立するための斡旋を基本のサービスとしています。

単純に求人情報を提供するのみではなく、そのほか転職に関わるサービスなども行っています。

求人紹介・相談窓口における相談

専門のスタッフが対面して相談に応じます。

条件に該当する求人の紹介のみではなく、ハローワークのネットワークを活用して求職者に最適な求人を提案しています。

詳しい求人情報や、応募状況、応募先への各種交渉などもサポートしてもらえます。

自己分析レポートの作成

給与や職種のみで求人に応募するのではなく、自分にはどんなことができるのかを探り、これからどうしたいのかを明確にする作業です。

まず、過去を振り返り、経験してきたことを整理して、自分にできそうなことをまとめます。

次に、過去の経験から自分がどんなことに対して喜びを感じてきたのか、何がきっかけになってどんなことに興味を持ったのかなど、自分自身についてまとめていきます。

現在の自分は、過去の積み重ねにより出来上がっているため、過去を分析することで自分がどうしたいのかを絞り込み、応募する仕事へとつなげる作業です。

職業訓練に関する相談

ハローワークの職業訓練は、就職に役立つスキルや知識を無料で学べる公的な制度のことを言います。

大きく分けて、失業保険を受給している求職者を対象とした「公共職業訓練」と、失業保険を受給できない求職者を対象にした「求職者支援訓練」に分かれています。

多種多様なコースがあり、短いものでは3ヶ月程度から長いものでは2年ほどかかるもの、中には有料のコースも含まれています。

働きたいと思っている方なら誰でも受けることができますが、在職者や学卒者が利用する場合は有料サービスとなります。

ハローワークの窓口では、こうした就職に役立つ職業訓練の相談も行っています。

履歴書の書き方・面接対策

専門スタッフによる履歴書やエントリーシートの書き方の指導・添削、面接のシミュレーションを行っています。

実際の面接に備えて、本番を想定した練習などさまざまな対策を行っています。働きたいけど面接が苦手、緊張してしまうという方にも利用しやすいサービスです。

紹介状の発行

ハローワークを経由して求人に応募するには「紹介状」が必要で、この紹介状は応募する企業の住所や面接日などが記載されています。

ハローワークから求人に応募したあとは、紹介状を受け取り、指定の日時に面接に向かう流れとなっています。

企業によっては面接の際に紹介状を必ず提示するよう指定しているところもあるので、紹介状を発行してもらった際には失くさないように注意しましょう。

職業紹介のほかに雇用保険の窓口として機能している

ハローワークのサービスは、求人の紹介やそれに関係するサポート業務が中心なのですが、雇用保険の窓口としても機能しています。

雇用保険の業務

  • 雇用保険の資格の変更等の手続き
  • 失業保険の受給の手続き
  • 事業主を対象とした各種助成金に関する手続き

 

求職者への求人紹介比べるとやや規模が小さくなる地域が多いですが、ハローワークには失業保険の窓口が設置されています。

雇用保険関連の手続きをするときは、ほぼこの窓口に案内されるので、必要書類などは前もって揃えておくと良いでしょう。

ハローワークにいくときはどんな格好や持ち物が必要?

いざ、ハローワークに行くときは、どんな格好や持ち物が必要なのでしょうか。

国が運営する公的機関ということもあり、どんな格好で行けば良いか迷う方もいれば、いきなり行って仕事を紹介してください! というのも不自然なため、身分証明書などの書類やどんな持ち物が必要になるかも気になります。

それでは、ハローワークに行くときの服装から見ていきましょう。

ハローワークに行くときの服装は普段着でOK

ハローワークに行くときは、基本的に普段着でOKです。

国が運営する公的機関などと言うと、かしこまった格好でなければならないように感じますが、スーツでなければだめというルールはありません。

ただ、良い求人が見つかり、先方の希望でその日のうちに面接が決まり、ハローワークから面接に直行しなければならないケースが稀にあります。

そのため、今日は求人を閲覧するだけにするなら普段着でOK、もしも、良い求人があったらすぐにでも面接を受けるというならスーツまたはジャケットなどを着て行くと良いでしょう。

持ち物は求職者と雇用保険の手続きで若干異なる

ハローワークに行くときの持ち物は、どんな目的で行くのかにより若干違ってきます。

求職者の場合と雇用保険の手続きの場合では、次のように持ち物に違いがあります。

求職者の持ち物

求職者として求人を探しにいくときは、特にこれといった持ち物はありません。

ですが、良い求人を見つけたときに求人番号をメモすることがあるのでメモ帳とペンがあると良いでしょう。

また、良い求人が見つかってその日のうちに面接となるケースもあるため、作成済みの履歴書もあるとなお良いです。

現在は携帯している方がほとんどだと思いますが、連絡先としてスマホも持っていってください。

ハローワークに行くのが2回目以降の方は、初回で発行されるハローワークカードを必ず持参するようにしましょう。

下記の筆記用具や資料を持っていくと手続きがスムーズです。

  • メモ帳
  • ペン
  • スマホ
  • 履歴書
  • 2回目以降の方はハローワークカード

雇用保険の手続きをする方の持ち物

雇用保険の手続きをする場合は、手続きに必要な書類を忘れないように気を付けてください。

離職届は1と2を、身分証明書類としてマイナンバーカードなどは重要な書類です。

なお、雇用保険を受給する場合、振込み先となる銀行情報も必ず持参するようにしましょう。

雇用保険の手続きもスムーズに進めるためには下記の資料などを揃えてからハローワークに行くようにすると良いです。

  • 離職届1
  • 離職届2
  • マイナンバーカード
  • 本人の印鑑
  • 写真2枚
  • 本人名義の通帳かキャッシュカード

ハローワークの利用手順をおさらい

ハローワークを利用するときは、はじめにどこのハローワークを利用するのか確認するのがおすすめです。

ハローワークは市区町村ごとに施設があるわけではなく、1ヶ所の施設で複数の市区町村の求人を取り扱っていることがあります。

それでは、どこのハローワークを利用すればいいのか、また、利用する際の手順について解説していきます。

1,管轄のハローワークに行こう

国で運営しているハローワークといっても、必ずすべての市区町村に設置してあるわけではなく、1ヶ所の施設で複数のエリアを管轄していることが良くあります。

そのため、自分が現在住んでいる地域を管轄するハローワークに行くのがベストで、最寄りのハローワークだからといって安易に行くことは避ける方が良い場合もあります。

自分の居住地を管轄するハローワークを調べるときは、都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧を利用することがおすすめです。

都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧にアクセスして、居住する都道府県を選び、公共職業安定所の見出しの右わきにある管轄一覧表から確認することができます

また、求人検索のみならインターネット上から探すことができますが、雇用保険の手続きは居住地域の管轄ハローワークでしか手続きできません

初めてハローワークを利用する際は、のちのち雇用保険を利用する可能性があることも含めて、管轄ハローワークを利用する方が良いでしょう。

2,求職申込書の記入と提出が必要

管轄のハローワークに行ったら、始め行うのが求職申込書の記入です。

求職申込書に記入する項目は次の通りです。

  • 氏名
  • 性別
  • 年齢
  • 生年月日
  • 電話番号・ファックス番号・携帯電話番号
  • 現住所・最寄り駅
  • 転居の可否
  • 家族構成
  • 就業上、留意が必要な家族の有無
  • 仕事をする上での身体上注意する点
  • 希望する雇用形態、産業、職種、賃金、終業時間、休日
  • 週休2日の希望
  • その他の希望
  • 学歴
  • 持っている免許・資格
  • 自動車免許の有無
  • 直近の仕事について
  • これまでに経験した主な仕事

全ての項目に間違いなく記入したら、窓口に提出します。

なお、インターネットからハローワークインターネットサービスを利用して求職情報仮登録をすることができますが、仮登録から1週間以内に本登録が必要となります。

この方法なら自宅にいても求職申込書を提出することができますが、忘れないで本登録する自信がない方は、管轄ハローワークに直接行く方が確実でしょう。

3,ハローワークカードをもらったら端末で仕事探しスタート

提出した求職申込書が受理されると、専用のハローワークカードを発行してもらえます。

ハローワークカードは、ハローワークを利用するときには必ず必要になるもので、施設内の端末で求人検索をするときにも使用します。

発行してもらったら失くさないように気を付けましょう。

実際に施設内の端末で求人検索をするには、端末の使用受付けを済ませてから案内された端末を使って検索します。

雇用形態・産業・職種・場所・賃金・休日・就業時間などいろいろな条件を指定することができます。

ハローワークに設置してある端末で指定できる条件

  • 就業場所
  • 仕事の内容(職種)
  • 応募条件(年齢、免許、資格、学歴、経験、選考方法など)
  • 労働条件(賃金、雇用形態、加入保険、休日、就業時間)
  • 福利厚生
  • フリーワード

自分が譲れないと思う条件や、理想とする条件をいくつか入れて検索してみてください。

ヒットする求人数に応じて条件をゆるくしたり、もっと詳細にしたり工夫することができます。

また、ハローワークの求人検索はインターネットサービスも利用することができます。

その場合は、

  • 求人情報の種類(フルタイム・パート)
  • 新着求人(前営業日に登録された新しい求人のみ検索する)
  • 就業する都道府県
  • 派遣や請負など(直接雇用以外の選択肢)

を指定して検索することができます。

4,気になる求人は窓口で相談可能! 応募書類や面接の準備までできる

求人検索を行い気になる求人が見つかった場合、ハローワークの窓口で直接相談することができます。

窓口で相談するときは、併せて次の項目を確認するようにしましょう。

  • 現在も募集しているか
  • (募集している場合)現在の応募数
  • 他の応募者について
  • その他、気になったことやわからないことなど

もしも、すでに応募者の中から採用が決まってしまった場合は応募することができないので、現在も募集しているかどうかは1番最初に確認するようにしてください。

気になる求人について窓口で相談した結果、応募する流れになった場合は、相談員が企業に電話をかけて応募の可否を確認します。

この電話で応募の許可が出ると、相談員から紹介状をもらうことができます。

書類選考がある場合は、企業にハローワークの紹介状・履歴書・職務経歴書などが送付されます。

書類選考をクリアするといよいよ面接へと進みます。

このときに必要になる履歴書や職務経歴書は、作成する際にハローワークでサポートを受けるのがおすすめです。

また、面接についてもシミュレーションをしてもらえるので、実際の面接までにしっかり練習しておくようにしましょう。

5,面接を受けたら結果を待とう! 結果の通知方法をチェック

ハローワークを通して面接を受けた後は、結果の通知方法が異なります。

採用の場合は直接企業から本人に連絡が入り、不採用の場合はハローワークに連絡が入ります

そのため、企業から直接連絡が来なければ、不採用だったと知ることになります。

ハローワークにはどんな求人が多いのか

ハローワークは利用する求職者も、求人を出す企業側にも料金がかからないため、求人広告に費用をかけたくない中小企業の求人も数多くあります。

地元の企業も多く、ハローワークと密接に連絡を取り合う企業も多いと言われています。

また、広告費用がかからないことに目をつけたブラック企業も多いと言われており、求人を検索する際には十分に注意することが必要です。

ブラック企業はそもそも広告費用を出す余裕がないため、無料で利用できるハローワークを好んで利用する傾向があります。

対して経営がしっかりしているようなホワイト企業は、優秀な人材を確保するために費用を惜しむことがありません。そのため、有料の求人誌や求人サイトに掲載することが多いとも言えます。

そもそも優良なホワイト企業ではあまり社員が辞めることがほとんどないので、求人を出す機会も多くはありません。

ブラック企業では働く環境が悪いので次々に退職していき、頻繁に求人を出さなければ成り立たないことから、ハローワークへの求人掲載が多いとも考えることができます。

とはいえ、ハローワークのすべての求人がブラック企業というわけではなく、優良な地元密着型の企業の求人もあるので、じっくり探してみるのが良いでしょう。