毎日多くの料理と向き合い、数をこなしていく体力と食材や飾り付けにも気を配るデリケートな仕事内容と言えば調理師です。
そんな調理師は他の業務と比較しても転職が多いという特徴があります。
調理師に転職が多いのはどうしてなのでしょうか?
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調理師の主な転職理由5選
まずは調理師の転職理由の主なものを把握しましょう。
厳しい上下関係など人間関係が辛い
調理師の仕事とは職場によって業務内容や手順が変わります。
他えば多くの常連客を持つ老舗料亭であれば、
料理を出す相手によってアレルギーや消化のしやすさを考慮しないといけません。
また、味付けが少し違うだけでも残念がられることもあります。
つまり、調理師という仕事において、その職場に勤めている年数というのは非常に重要ということです。
そのため、キャリアが長い職場の先輩の立場が非常に高いということになります。
職場の発言権が大きいことから上下関係が強く、人間関係が辛いことになりがちなのが調理師と言えます。
給料が低い
また、調理師という仕事を必要とする食堂は数多くありますが、平均賃金は高いと言えません。
火や刃物を扱い、責任も大きいのに仕事の厳しさに対して給料は低い傾向にあります。
新人調理師の手取りは約15万円〜18万円とされていて、一人暮らしをするのも厳しいほどの収入です。
また、調理師の資格を取るのに必要な労力や時間もあるので、それらを考慮すると「この仕事は割に合わない」と判断しがちです。
男性は結婚を機会に安定を求めて、一流調理師になる修行を辞めることがあり、女性は産休や育休で調理師の仕事を引退することも多くあります。
ホテルのシェフ・一流調理師・自分の店のオーナーになれ給料は大きく上がりますが、そうなる前に安定のために学校・介護施設・病院などに転職しがちです。
休みが少なく労働時間も長い
サラリーマンと違って、調理師には土日休みや週休二日といった決まった休日サイクルはありません。
調理師はお店に来るお客さんや、食事を出す相手がいる限り、料理を作る必要があり、安定した休みというのが存在しにくくなっています。また年末年始、お盆、クリスマスなど世間がお休みのとき、盛り上がっているときは稼ぎときになるので勤務となっています。
そのため、気づけば長期に渡って無休で働いているということになりがちなのが調理師の業務です。
他の人とは違う働き方であることから、家族や友人とスケジュールを合わせにくく、休みが少ない上に労働時間も長いことで、仕事に嫌気が差しやすいものとなっています。
休みが少なく、労働時間が長い上に、基本的には立ち仕事ということが、調理師に転職が多い主な理由と言えます。
立ちっぱなしや重い調理器具など体力的に辛い
調理師は立ちっぱなしが多く、中腰で長時間の作業をすることも当たり前にあります。
これにより首や腰を痛めて、慢性的な腰痛を抱え、痛みに苦しむ調理師も多くいます。
さらに、調理場は火を多く使うことから、常に蒸し暑く、心身への負担が重くなります。
従って、体を壊して仕事を辞めるという調理師は多く存在します。
皿洗いや掃除など雑用ばかりやらされる
料理を作ることに適正があっても、調理師という仕事のすべてに適正があるかは別です。
調理師の仕事をやり始めたばかりという方は、料理をするよりも雑用をする方が多いことがあります。
それも修行の1つと考えることもできますが、あまりに雑用ばかりを押し付けられるとなると、調理師という仕事そのものに不満が出る危険があります。
その上で休みがなく、給料も安いとなると、調理師の仕事そのものを変えたくなってもおかしくはありません。
調理師の転職におすすめの職種・業種
それでは、調理師の仕事を辞めると決めた場合のおすすめの転職先を紹介します。
Web・IT業界
別の職種に転職することを決めた場合、重要なのは転職先が未経験者に対応しているかどうかです。
業界の急速な進歩によって、Web・IT業界は常に人手不足の状態です。
未経験者を積極的に採用していることから、転職先として有効な選択肢と言えるでしょう。
食品メーカー
転職先を選ぶ上で重要なのが、これまでの経歴をしっかり活かした選択をするということです。
調理師として専門的な知識と経験を積んできたということは、食品業界に関した独自の知識と経験を持っているということです。
そういったキャリアは、同じ「食」を取り扱う食品メーカーでも十分に役立ちます。
事務職
専門的な知識はあまり必要とされず、心身への負担が軽い転職先としておすすめなのが事務職です。
調理師の業務による肉体的な疲労で、すっかり疲れてしまった方や、体を壊した方は、座り仕事の事務職が合っていると言えます。
強い集中力を要する調理師という業務をこなしてきた経験は、集中力が重要な事務職の業務にも応用可能です。
営業職
調理師として培った「空気を読む」・「相手の意図を汲み取る」というスキルを活かすなら営業職がおすすめです。
また、営業職はとにかく歩きまわって業績を上げる仕事と言えますが、調理師の肉体的な疲労を乗り越えてきた経験が役立ちます。
接客業かつ体力仕事の調理師の転職先として、営業職はおすすめの選択肢です。
販売員
専門的な知識が必要とされる仕事ではなく、人柄重視の仕事をしたい方は販売員も選択肢に入ります。
食品ブランドの販売の仕事なら調理師の経験が、お客さんへも有効に働きます。
人の良さや誠実さが重要な仕事ですので、調理師の仕事で同僚やお客さんとのやり取りに慣れた方なら高い適性があります。
介護職
少子高齢化社会において需要が高まり続ける介護職は引く手あまたの需要を持っています。
そして、介護職はコミュニケーション能力と体力が必須な上に、入居者の健康を気遣う栄養面の知識も必要です。
介護士以外にも、介護施設の調理師の求人が出ていることもありますので、検討してみましょう。
調理師が転職する際の注意点
転職先が決まったら転職活動をすることになります。
調理師から別の職種に転職する、または調理師のままで別の職場に転職するのに抑えておくべきポイントをチェックしましょう。
ネガティブな転職理由を伝えない
「体を壊した」・「メンタルが限界」・「やりたいこととは違った」など、転職理由はさまざまなものがあります。
しかし、転職活動にて面接官に転職理由を伝える場合、ネガティブに聞こえる転職理由を伝えるのは控えるようにしましょう。
ネガティブな転職理由を伝えると、相手の気分を害してしまうだけでなく「前の職場を悪く言う」というマイナスな印象を与えてしまう危険があります。
本当はネガティブな理由で転職をするとしても、「キャリアを広げたい」・「自分を試したい」・「御社の業務内容に興味を持った」といった、ポジティブな内容に言い換えましょう。
嘘はつかないようにする
意図的に話すことを選ぶのは重要なことですが、ウソを付くのは絶対にやめましょう。
嘘をついたことで面接を通って採用されたとしても、働いてからもずっとその嘘を通さないといけなくなります。
それによって心身に負担がかかりますし、嘘がバレたことでクビになるということもありえます。
企業研究を徹底する
転職先を選ぶのに重要なのは、転職先で自分に何ができるのかということです。
そのことを面接で正確に伝えるためにも、転職先に検討している企業の研究を徹底して行うのは非常に重要です。
自分が興味を持てる企業、役に立てる企業は何なのか、しっかりと調べた上で求人に応募をしましょう。
自己分析を徹底する
企業研究とセットで行うべきなのが、徹底した自己分析です。
自分が調理師という仕事で何をしたのか、その結果、どのような能力が身についたのかを把握するのは、転職の鍵になります。
これは学生時代のアルバイトでの経験も含まれます。
自分だけで自己分析をするのは難しいという方は、周りに相談をしたり、転職エージェントに登録して、キャリアコンサルタントの力を借りたりしましょう。
【転職理由別】調理師の志望動機の回答例
転職活動にして志望動機をネガティブにしないようにするのが重要なのは解説しました。
それでは、調理師が転職をするという場合に、具体的にはどのようにネガティブな転職理由をポジティブな転職理由に言い換えるのか、その回答例を解説しましょう。
給与面や労働条件の不満
転職の理由でメジャーなものに当たる、給与や労働条件の不満の言い換え方について紹介します。
この職場の労働条件で働きたくない
前の職場で働くには労働条件が合わなかったという理由から次の職場で働くのを目指すという場合は、自分のこれからを重視する言い方を意識しましょう。
「この仕事でキャリアアップをしたい。」という理由なら、前の職場の労働条件が嫌で転職をしたというより、転職先で自分の可能性を育てられると考えたように伝わります。
給料が安すぎて嫌になった
転職先にお金の話題を出すのは絶対に避けましょう。
転職先では給与が改善されるということは、それだけ新しい環境で働くということです。
「これまでとは違う、新しい環境でチャレンジしたい。」と伝えるだけで、言葉のイメージが大きく変化します。
人間関係の悩み
仕事を辞める理由に人間関係は大きく関わります。
それでは、人間関係で辞めて転職したことはどのようにポジティブに伝えるのかを解説します。
職場の人間関係に問題があった
調理師は上下関係が厳しく、人間関係の問題が生じやすいものです。
そんな職場から転職するという場合、「仕事仲間と気持ちよく働きたいと思いました。」という風に言い換えましょう。
上司やお客さんからの要求に耐えられなくなった
職場で発生した命令や要望に応えるのも立派な仕事ですが、行き過ぎると心身に無理が出てきます。
そういったケースは、周りの声に振り回されることのない「仕事に集中できる環境で働きたい。」という意思を伝えましょう。
閉店や会社都合による退職
自分ではどうしようもない問題である、閉店や会社の人員削減によって転職せざるを得なくなった場合、
転職先には「自分がこれから何をしたいのか」・「この職場で自分に何ができるのか」ということを伝えましょう。
先を見据えた言い方を意識
ネガティブな言い方をポジティブな言い方に変える例を紹介しましたが、共通するコツは「前の職場ではなく、これからの職場を重視する」ということです。
転職先へ自分のキャリアを伝える上でも、自分が前の職場でどう成長して、何ができるようになったのかを伝え、自分がこれから何をしていきたいか、何ができるようになりたいかを伝えるように意識しましょう。
異業種に飛び込むのは勇気のいることです。今までの調理師という立場が違うものになるからです。でも、やりたい業種や職業があったり、興味が持てる職場を見つけたときは調理師にこだわらず挑戦してみるのも良いでしょう。なかには調理師だった立場やキャリアを活かして活躍できる職業もあるので諦めずに探してみてください。
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