近年は、メルカリやヤフオクなどネットフリマで簡単に商品を販売できるようになりました。中には、定期的に不用品を売却して、その利益をお小遣いとして使っている方もいるでしょう。
しかし、そこで気になるのは税金などの問題です。副業すると確定申告をして、税務署に報告しなければならないとよく言われています。
では、ネットフリマやオークションなどで得た利益も副収入としてみなされるのでしょうか。
またあなたの会社で副業が禁止されていた場合、副業に該当するのかボーダーラインも気になるところです。
そこで今回は、ネットフリマが副業とみなされるのか、そのボーダーラインと確定申告の有無について解説していきます。
ネット上のフリーマーケット、ネットフリマ(ネットオークション含む)は副業になるのか
あなた自身の不用品をメルカリなどで簡単に売れるネットフリマは、資産の譲渡に当たります。いくら不用品だからと言えど、他人にモノを譲れば全て譲渡になってしまうのです。
そのため、ネットフリマやネットオークションなどで得た利益は譲渡所得に該当します。
つまり、ネットフリマで売買する行為=副業となるわけです。
しかし、副業禁止の会社でも、全ての副業ができないわけではなく、ボーダーラインが存在します。どこまでがOKでどこまでがNGなのか、その部分は理解しておかねばなりません。
また確定申告が必要かどうかも決まりがあるので、その点も確認しておくと良いでしょう。
それでは、以降の項目で詳しく解説していきます。
会社員(正社員)の副業の可否について
まず、会社員が副業できるかどうかについては、あなたが務める会社の就業規則に委ねられてます。つまり、一言で会社員の副業の可否は問えないというわけです。
例えば、あなたの会社の就業規則に副業に関する項目があり、「禁止」もしくは「許可を得るなら良い」「無許可は禁止」などの文言が記載されているなら、その指示に従う必要があります。
「許可を得るなら良い」や「無許可は禁止」と記載されている場合、事前に届け出を出して許可されればネットフリマなどの副業が可能です。
ただし、「会社の承諾なく他の企業の役員を兼務する」と書かれている、または「会社の利益に反する業務に従事しないこと」などの記載がある場合は、副業の文字が無くても事実業副業が禁止されている内容なので注意してください。
ちなみに、会社が副業を禁止するのは、自社の運営に悪影響を及ぼすのを防ぐためです。そのため、運営に影響がしないようなブログやネットオークション、ネットフリマなどは個人の趣味の範囲として認められるケースが多くなっています。
とはいっても、取引金額が大きくなったり、業務の特性や本業の職種が副業と絡んでいたりすると、判断が変わる可能性があるのです。
ボーダーラインとしては、趣味の範囲でネットフリマを使ったり、自分が使っていた洋服が不要になったから売却したりする分にはOK、営利目的だとNGになる可能性が高くなります。
「どうしてもネットフリマを使いたいけど、会社にバレてトラブルになるのは嫌」という場合は、会社に確認してから始めるようにしてください。
副業禁止の会社の場合
前項では、就業規則に副業禁止と書かれていなければ、ネットフリマなどを使っても良いと解説しました。では、副業が禁止となっている会社の場合、自身の不用品を売るためのネットフリマ利用もNGとなるのでしょうか。
結論から言うと、本業と競合しない範囲であればOKの可能性が高いです。
そもそも、副業を禁止する理由は、本業がおろそかになるのを防ぐなど、運営に不利益となる恐れがあるからです。あなた自身の不用品をネットフリマで売る程度の行為なら、会社に不利益となるリスクは低いため、基本的には問題ありません。
もちろん、職業によっては本業と競合する可能性があるとして禁止されるケースはあります。例えば、証券会社で働く人が株取引などをするのはNGです。
しかし、製造業などの方がネットフリマで自身の不用品を売却しても、影響が出る確率はほぼゼロなので、副業禁止規定には触れないことになります。
公務員の場合
公務員の副業は、原則法律によって禁止されています。そもそも、公務員の労働基準法は一般の労働者と異なる規則のため、副業自体が法律で認められていないのです。
普通の会社員なら、各企業の就業規則で禁止されているだけなので、公務員の「法律で禁止」という点は大きな違いになります。
公務員の副業に関する条例は以下の通りです。
第百三条
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
第百四条
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する
以上のように、公務員の副業に関しては国家公務員法によって定められているのです。
ただし、国家公務員であってもOKとなる副業があります。それが農業です。農業は、自営業に該当する行為ではあるものの、所轄庁の承認を得た場合は行えます。
一方、同じ自営業であっても不動産の賃貸や太陽光電気の販売などはNGです。
このように、公務員の副業は一般の会社員よりも厳しく定められています。もし違反した場合は、免職・停職・減給・戒告などが課せられるのです。
確定申告の対象となるものは?
ネットフリマは譲渡とみなされるため、そこで得た利益は譲渡所得となります。そのため、条件次第では確定申告が必要です。
不要な洋服などは譲渡所得の対象外
あなた自身や家族の洋服などを売却しただけなら、譲渡所得に該当せず確定申告も不要です。
使わなくなった洋服を売っても、それは「生活用動産」と呼ばれて課税の対象にはなりません。
そもそも、国税庁では譲渡所得に該当する資産が明確に記載されていて、洋服などは含まれていないのです。
譲渡所得の対象となる資産とは
譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、株式等、金地金、宝石、書画、骨とう、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)などが含まれます。
なお、貸付金や売掛金などの金銭債権は除かれます。
所得税の課税されない譲渡所得
資産の譲渡による所得のうち、次の所得については課税されません。
(1) 生活用動産の譲渡による所得
家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。
ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。
このように、譲渡所得に該当する資産は土地や株式証券、宝石などです。洋服や家具といった通常の生活に必要なものは譲渡所得に該当しません。
ただし、上記にも記載がある通り、価格が30万円以上の貴金属や宝石は譲渡所得に該当します。アクセサリーを売却した場合は、課税の対象となる可能性があるので注意してください。
転売は生活用品でも課税対象
近年は転売目的で様々な商品がネットフリマにて販売されています。定番の有名アーティストのコンサートチケットから、人気漫画のフィギュアやプレミアの付いたファッションアイテムなど様々なものが転売の対象です。
前項では、生活用品は課税の対象外とお伝えしました。しかし、転売目的で生活用品を売った場合は課税の対象です。
例えば、リサイクルショップに行ってプレミアが付いたジーンズを見つけたとします。それを購入してネットフリマで転売、利益を得たとしましょう。この場合は明らかな転売とみなされて、いくら生活品の洋服であっても課税の対象となるのです。
ハンドメイド商品は課税対象
ネットフリマを使う理由が、ハンドメイド商品の販売という方もいるでしょう。実は、ハンドメイド商品を販売して得た利益も課税対象となるのです。
ハンドメイド商品を作って販売する方の中には、「作るのが好きで売却による利益を得るためではない」という方もいるかと思います。そのため、製作費を考えると利益がないケースもあるはずです。
それでも、ハンドメイド商品の販売で得た利益は課税対象になります。
製作にかかった費用がある場合は、それを必要経費として申告すれば、利益分から差し引いて税金が計算されることになります。
副業の利益が年間20万円以上なら課税の対象
ネットフリマやネットオークションによる利益は、20万円が課税対象のボーダーラインです。もし月2万円の利益が出ているなら、年間で20万円を超えるため確定申告が必要となります。
また、ネットフリマやネットオークションによる利益が年間20万円以下でも、その他にアフィリエイトやYouTubeなどで収益があるなら、その金額も合算して20万円というボーダーラインと照らし合わせなければなりません。
例えば、ネットフリマやネットオークションによる利益が年間10万円で、アフィリエイトなどの利益が年間15万円なら、合計は25万円となるため確定申告が必要です。
もちろん、確定申告が必要な利益に対しては必要経費が計上できます。
必要経費の申告は忘れずに
ネットフリマによる利益が20万円を超えて確定申告が必要な場合、必要経費の計上は忘れずに行いましょう。そうしなければ自分が損をしてしまいます。
ネットフリマやネットオークションの経費として、計上できる可能性があるものは以下の通りです。
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これらの支払いを証明するために領収書は保管しておいてください。もし領収書がない場合は、日付・店名・内容・金額が記載されたレシートがあればOKです。
副業のトラブルには注意しよう
このように、気軽に取り組めるネットフリマでも、確定申告が必要となるケースがあります。
また副業自体が禁止の会社だと、確定申告以外のトラブルが発生する恐れも出てきます。
もしあなたが副業するなら、月々の収入が数万円程度でも、本業である会社の副業可否を確かめてから開始するか、もしくは年間20万円以内の利益に納めることをおすすめします。