銀行員に転職をしたいけど経験もなく、無理だとあきらめていませんか?

たしかに銀行は中途採用が少なく未経験者を採用することが稀なのは事実です。

しかし、銀行には様々な職種があり、なかでも営業職やシステムエンジニアは需要があったり、ファイナンシャルプランナーや簿記など、採用に有利に働く資格もあるのです。

今回は銀行への転職に有利な職業や資格を紹介していきます。

銀行員への転職

銀行員への転職は難しいと言われています。

銀行はお金を扱う仕事なので覚えなければならないことが山のようにあり、必然的に研修も多くなっているため、銀行では独自の教育がしやすい新卒を好む傾向があります。

この状況の中でどうすれば有利に銀行員へ転職できるのでしょうか? ここではどうすれば銀行員への転職がしやすくなるかを考えていきましょう。

銀行員への転職が有利な職種

せまき門の銀行員ですが、銀行のなかには銀行の顔となる窓口のほか、いろんな職種の方が働いています。

その中でも有利に転職できる職種があります。

1. 銀行員

銀行勤めを経験しているなら同業種への転職となるので有利になります。

また自分が経験した業務ではなく、違う業務が合っていると感じての転職だった場合も銀行勤めの経験があるということで有利になるでしょう。

2. 個人営業

銀行のノルマは非常に厳しいと言われており、銀行では個人の顧客に金融商品を勧めなければならない個人営業の手腕は強い武器となります。

営業に関してある方や銀行商品に興味がある方にはおすすめです。

3. 法人営業

銀行では企業に対し融資や預金などの営業を行うため、法人営業職に就いていた方は有利といえます。

4. システムエンジニア

近年FinTech(フィンテック)などのITと金融を融合させた技術開発が普及し各銀行も対応しているため、インターネットバンキングやシステムに強いエンジニアが採用されるケースも増しています。

銀行からの転職以外だと個人・法人を問わず営業が転職しやすいでしょう。

またインターネットバンキングに対応するためにシステムエンジニアの需要も増しています。

狭き門の銀行員ですがこの4つの職業からの転職は比較的可能性が高いです。

銀行員には資格が必要なのか?

特定の資格がないと銀行員になれないということはありません。

しかし持っていると採用に有利になる資格は存在します。

特に転職希望で未経験者の場合は、ある程度の素養があることをアピールするためにも資格は取得しておくのがベストです。

さらに銀行で上の地位を目指すなら、監督官としての知識と法令遵守を理解している必要があります。

銀行員の採用に有利になる資格

銀行員の採用時に必須とはされていませんが、少しでも自分を有利にしてくれる3つの資格を取得しておきましょう。

銀行員の中途採用は少ないため、特に未経験者の方は取っておかないと採用の可能性がさらに遠のいてしまいます。

その3つの資格とは、『ファイナンシャルプランナー』『簿記』『銀行業務』です。それでは具体的にこれらの資格の内容をチェックしていきましょう。

資格1. ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー(FP)とは、投資、住宅ローン、不動産、教育、そして老後や相続など、ありとあらゆるお金のエキスパートです。

国家資格の「FP技能士」と民間資格の「AFP、CFP」があり「FP技能士」を取得している銀行員が多いです。

顧客に資産運用の提案をしたり、ローンに関したことを聞かれたりすることが多いので、安心してもらいやすい資格とも言えます。

FP技能士

FP技能検定に合格すると国家資格を取得することができます。

1~3級があり、ライフプラン、金融、証券など幅広い知識が問われます。取得難易度は高めです。

AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャルプランナー)

日本FP協会が認定する民間資格です。

受験資格を得るには、AFP認定研修の受講修了者、3級FP技能検定合格者、そしてFP実務経験2年以上のいずれかに該当しなければなりません。

さらに2級FP技能検定の合格とAFP認定研修の修了、そして日本FP協会へ登録することで、初めて付与される資格です。

AFP認定者は、プラン実行援助のためのさまざまな知識や提案書の作成技術、そして基本的なインタビュー技術を身に付けています。

2年ごとの資格更新と所定の継続教育が必要です。

CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)

AFPと同じく日本FP協会認定の民間資格。

受験資格は、AFP認定者、協会指定大学院の所定課程修了、どちらかに該当する必要があります。

CFPは上級資格で、世界水準のファイナンシャル・プランニング・サービスを提供できるプロフェッショナルであることを証明するものです。

AFP資格と同様に2年ごとの資格更新と所定の継続教育の義務があります。

資格2. 簿記検定

簿記は経営活動の記録と計算、そして整理をして財政状態と経営成績を明らかにする技能です。

試験自体は日本商工会議所が行っております。

簿記を学ぶことで会計知識や財務諸表の読解力、そして基礎的な経営管理と分析力を身に付けられます。

簿記検定にはいくつか種類がありますが、日本商工会議所が主催する日商簿記が社会人の受験者が多く最もメジャーです。

資格3. 銀行業務検定

銀行業務検定試験とは、保険や証券、そして銀行など金融機関の業務遂行に必要な技能・応用力・実務知識をどれだけ修得しているかを測定するための検定試験です。

試験の運営は銀行業務検定協会が行っています。

保険会社や証券会社の社員、銀行員を対象にしていますが、とくに受験資格などはないため誰でも受けることができます。

外国為替・証券・金融経済・信託実務・年金アドバイザー・融資管理・金融商品取引・相続アドバイザー・事業承継アドバイザーなど23系統36種目の試験を実施。銀行員が主に入社後に受験する検定です。

いずれも取得自体が難しい資格ですが銀行員経験者に少しでも近づくために、そして他の未経験者と差を付けるためにも取得しておくのがおすすめです。

国際部門・外国為替部門に有利になる資格

金融業界では国際化が進んでいるため、英語力が重視されているので都市銀行の国際部門や外国為替部門に配属希望の場合は上記で紹介した3つ以外にも、TOEIC(R)テストや英検の取得が求められます。

TOEIC(R)テスト

TOEIC(R)テストは、英語によるビジネスでのコミュニケーション能力を測定するためのテストです。

特徴は、合否を判定するのではなくリスニングとリーディングの2つを足した点数で評価されることと、問題文だけでなく説明文も英文で書かれていることです。

実用英語技能検定

『英検』の略称で親しまれ、学生にも人気の検定。

年3回実施され、5級、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級(上級)に分かれており、それぞれ、「読み」「書く」「聞く」「話す」の技能を測定しています。

国際部門や外国為替部門を目指すなら2級以上が必要です。

国際部門・外国為替部門以外の職場でも英語は役に立つ場面が多いため、取得して損はありません。

取得していると更に有利になる資格

採用で有利になる資格としていくつか紹介させていただきましたが、それ以外にも持っていると実務的なスキルがあると評価されやすい資格もあります。

銀行員を目指す方で持っているとかなり有利に働く可能性が高く、銀行員になった後からでも取得を目指すことをおすすめします。

それは『宅地建物取引主任士』『証券アナリスト』『中小企業診断士』『証券外務員1種・2種』『税理士』の5つの資格です。

資格1. 宅地建物取引主任士(宅建)

不動産の取引に関わるプロフェッショナルの資格です。

人気が高く主に宅地建物取引業者で働く場合に必須です。

宅地建物取引業者とはいわゆる「不動産屋」「不動産会社」のことで、土地や建物などの賃貸物件の斡旋、不動産の売買などを行います。

一般の方で不動産取引の経験が豊富な方は少数で、多くは専門的な知識もありません。

そのため業者の方が有利な立場になることが多く、中には不当に値段をつり上げる悪質な者も残念ながら存在します。

そういった業者から顧客を守り、安心して契約をできるように助けてくれるのが宅地建物取引士です。

資格2. 証券アナリスト

証券アナリストとは「証券投資分野において高度の専門知識と分析技術を応用し、各種情報の分析と投資価値の評価を行い、融資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナル」のことです。

日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)の資格は、証券アナリスト通信教育講座第1次・第2次レベルの通信教育を受け、それぞれの試験に合格、さらに証券分析の実務経験が3年以上かつ認定を受けなければ取得できません。CMAに認定されるまでには5つのステップを踏む必要があります。

ステップ11次レベルの証券アナリスト通信教育講座を受講します。
ステップ21次試験『経済』『証券分析とポートフォリオ・マネジメント』『財務分析』の3科目を受験し合格しなければなりません。
ステップ32次レベルの証券アナリスト通信教育講座を受講します。
ステップ4『証券分析とポートフォリオ・マネジメント』『コーポレート・ファイナンスと企業分析』『市場と経済の分析』『職業倫理・行為基準』の4科目を受験し合格しなければなりません。
ステップ5実務を3年以上したことを認定される必要があります。

このようにCMAを取得するには、講座と試験を繰り返し知識を身に付けていかなければなりません。

証券アナリストが活躍する場所は、銀行や保険会社などのファンド・マネジャー、資産運用会社や証券会社で企業や産業を調査・分析しているリサーチ・アナリスト、ポートフォリオ・マネジャーなど非常に多いです。

参照サイト:資格・教育体系|日本証券アナリスト協会

資格3. 中小企業診断士

ファイナンシャルプランナーが個人へのコンサルティング業務に対し、中小企業診断士は企業へのコンサルティング業務が中心となります。

中小企業診断士を取得するまでのステップとして3つ段階があります。

ステップ11次試験は『経済学・経済政策』『財務・会計』『経営法務』など7科目から出題されます。
ステップ22次試験は筆記口述試験及び実習が行なわれます。
ステップ3実務補習と実務従事が必要です。

この3つのステップを踏まなければ中小企業診断士になることはできず、銀行員が取得する資格の中でも一番難易度が高いと言われています。

参照サイト:中小企業診断士試験|J-SMACA

資格4. 証券外務員1種・2種

証券外務員とは、銀行や証券会社が扱う金融商品のプロフェッショナルです。

外務員資格は、日本証券業協会が主催する外務員資格試験の受験に合格し、外務員登録を行い、日本証券業協会員となっている会社・団体に所属しなければ取得できません。

外務員試験には、『1種外務員試験』と『2種外務員試験』があります。

2種外務員

株式・国債・公社債・投資信託などを扱うことができます。

1種外務員

2種外務員が扱える金融商品も含め、全ての金融商品を取り扱うことができます。

証券外務員受験のメリットは、試験自体は得に資格が必要なく誰でも受けられることです。

参照サイト:外務員資格試験制度|JSDA

資格5. 税理士

税理士とは、税務代理、税務書類の作成、税務相談、会計業務など税金に関する仕事や相談、そして代行をする職業です。

以下のいずれかの条件に該当すると、税理士となる資格があります。

税理士試験に合格租税か会計に関する事務に従事した期間が通算2年以上あることが必要です。
税理士試験を免除租税か会計に関する事務に従事した期間が通算2年以上あることが必要です。
弁護士弁護士となる資格を持つ方も含みます。
公認会計士公認会計士となる資格を持つ方も含みます。

この4つの条件のいずれかに該当すれば税理士になれるのですが、条件1の税理士試験は誰でも受けられるわけではなく、受験のためにも資格が必要です。

税理士試験を受けるための資格は以下の3つとなります。

学識による受験資格大学か短大を卒業しており法律学か経済学を1科目以上履修した方や、公認会計士試験の短答式試験に合格した方(平成18年度以降の合格者に限られます)などが該当します。
資格による受験資格日商簿記検定1級合格者と全経簿記検定上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限られます)の方が該当します。
職歴による受験資格銀行・信託会社・保険会社などで資金の貸付や運用に関する事務を2年以上経験した方などが該当します。

税理士になるための条件に該当しない方は、先ずこの3つの資格のどれか1つを満たす必要があり、どれも簡単とは言いがたく、税理士試験を受けること自体がかなりハードルが高いと言えます。

銀行では様々な金融商品を扱うため多くの資格が役に立ちます。

いずれも難易度が高いため、銀行員になる前に時間があるなら『ファイナンシャルプランナー』『簿記』『銀行業務』以外にも取得しておくと後々有利です。

銀行員の転職に有利な各資格の受験者と合格率

銀行員の転職に有利な資格と銀行員が取得したほうがいい資格を案内してきました。

ここではそれらの資格の受験者数や合格率などの情報を紹介するので、そこから難易度などを感じ取ってください。

ファイナンシャルプランナー2級以上

3級は基礎のため、転職に有利になる2級以上が必要です。

学科・実技

受検申請者数受検者数受検者数合格率
学科試験25,80620,9359,09043.42%
実技試験22,09617,25810,80962.63%

参考サイト:2019年9月実施2級FP技能検定試験結果|日本FP協会

実技試験は6割以上が合格していますが学科が5割に満たず、合格率が高いとは言えません。

日商簿記2級以上

3級では学生でも取得できるような簿記の基礎のため転職の際に有利にはならず、2級以上が必要です。

受験者数

実受験者数合格者数合格率
153回(19.11.17)62,206名48,744名13,195名27.1%
152回(19.6.9)55,702名41,995名10,666名25.4%
151回(19.2.24)66,729名49,776名6,297名12.7%

参考サイト:受験者データ|商工会議所の検定試験

2019年に行なわれた3回の試験でいずれも合格率は3割以下で、特に151回は12.7%とかなり低くなっており、日商簿記2級はレベルの高い資格と言えます。

ただ試験は年間数回実施されるのでその意味での取得チャンスは多いです。

宅地建物取引主任士

銀行では融資や資産運用に関わる部署で役立つ資格です。

在宅ローン・不動産の担保評価など、不動産の専門知識があれば相当有利になります。

申込者数受験者数

合格者数

格率
276,019人220,797人37,481人17.0%

参考サイト:令和元年度宅地建物取引士資格試験実施結果の概要

宅建士試験も合格率が2割に満たずかなり難しい資格と言えます。

証券外務員1種・2種

最低でも2種を取得していると転職に有利になります。

また、1種と2種では、試験時間と問題数も異なりますので、ここも要チェックです。

1種試験

試験時間2時間40分。合計100問出題され、440点満点中7割の308点以上の得点で合格です。

2種試験

試験時間2時間。合計70問出題され、300点満点中7割の210点以上の得点で合格です。

受験者数合格者数合格率
4,782人3,160人66.1%

ここで紹介する資格の中で一番合格率が高いのが2種外務員資格試験です。

6割以上が合格しており、確実に押さえ1種へのステップにしましょう。

税理士

専門性が高いため評価されやすく、特に証券会社・投資銀行など企業の買収や合併の仲介を担当する際に役立ちます。

受験申込者数受験者数

合格者数合計

合格率
36,701人29,779人5,388人18.1%

参考サイト:令和元年度(第69回)税理士試験結果|国税庁

合格率が2割に満たないのもさることながら、税理士試験は受けるだけでも資格が必要となり非常にハードルの高い資格と言えます。

証券アナリスト

資産運用のアドバイスや投資情報分析、そして投資価値評価を行えます。

受験年受験者数合格者数合格率
2019年2,596名

1,169名

45.0%
2018年2,520名

1,241名

49.2%

参考サイト受験データ|日本証券アナリスト協会

取得までには複数の講座や試験を受ける必要があり合格率も5割を切っているため取得しやすいとは言いがたいですが、それでもここで紹介した中では合格の可能性が高い資格です。

試験は全体的に難易度が高い

特に資格取得の難易度が高いのは『宅地建物取引主任士』と『税理士』ですが、その他の資格も合格率が半分を切っているものばかりのため、銀行員への転職が有利になる資格は全体的に難易度が高いと言えます。

その中で撮りやすいと言えるのが、証券外務員2種で6割以上が合格しています。

ここで紹介した資格では最初に取得しておくのがおすすめです。

次に取得しやすいのが証券アナリストですが、こちらは複数の講座を受け数種類の試験をパスしなければならず時間や費用はかかります。

資格取得から銀行員への転職は困難ですが、他の未経験の転職希望者に差を付けるためにもチャレンジしてみてください。

銀行員に転職するなら資格取得をして有利に進めよう

銀行員の転職に有利な前職や資格、そして資格の合格率のデータなどを紹介してきました。

採用を有利にしてくれる資格も決して簡単に取得できるものではありませんが、難易度が高いからこそ強い武器となるとも言えます。

資格自体は取っておいて無駄にはならないのでぜひチャレンジしてみてください。

特に未経験者にとって銀行員への道は険しいですが、あきらめずに夢に向かって突き進みましょう。