転職における自己PRをしっかりと書けば、書類選考が通りやすくなるうえに、面接などでも会話が広がりやすくなるので、採用試験に通りやすくなります。
転職を考えているあなたは、自己PRの書き方を理解していますか?
転職活動で一番頭を悩ませるといっても過言ではないのが自己PRでしょう。中には、自己紹介や趣味などを簡単に書くだけという方もいるほどです。
しかし自己PRは、あなたの魅力を最大限にアピールできる部分なので、何となく書くのは勿体ないでしょう。おまけに効果的な自己PRの書き方には、フォーマットもあるので、それに沿って書けば誰でも良い内容が書けるのです。
そこで今回は、企業が自己PRを求める理由、自己PRを書く際のポイントなどを解説します。加えて、自己PRを簡単にかけるようにする構成も伝えますので、ぜひ参考にしてみてください。
企業側が自己PRを求める理由
企業が応募者に対して自己PRを求める理由としては、会社でどのような活躍をしてくれるのか確認する目的があります。
もちろん、あなたがどのような人物なのか知るためでもありますが、一番の目的はそこではありません。会社にとってあなたがどのような役に立つのか知るために、質問しているのです。
具体的に把握しようとしている内容としては、以下が挙げられます。
✔ 企業風土と合う人材なのか?
✔ どのぐらい働きたい意欲があるのか?
✔ 応募者のスキルが会社にどのように役立つのか?
✔ どのような人物像で、どんな経験をしてきたのか?
✔ コミュニケーション能力はどのぐらいなのか?
✔ 会社で良い人間関係を構築できるのか?
これらの点を把握するために、自己PRを求めています。これは言い換えると、応募者はこれらの内容に答えるだけの自己PRを作る必要があるというわけです。ポイントを押さえていない自己PRでは、あなたの魅力をアピールするには不十分ということになります。
NGな自己PR
企業側は応募者が持つ特長や会社で活かせる能力などを知りたいと考えています。その人が会社に適した人物なのか知るために自己PRを求めているので、以下のような内容はNGです。
✖ 他社で使った自己PRの使いまわし
✖ 根拠や具体性がない内容
✖ 書籍の例文などをそのまま使ったような文章
✖ 客観的な視点がなく自己満足な内容
✖ 書類の内容と口頭で伝える内容に矛盾がある
上記のような自己PRは、会社側が知りたい内容とは違ってしまうのでNGとなります。書類選考などで落とされる可能性が高くなるでしょう。
企業側が転職者に求めること・雇う目的
続いては、企業側が採用者に求めることや雇う目的から、さらにどのような自己PRが良いのか考察していきましょう。
そもそも企業が転職者を採用する理由としては、以下のようなものが多くなっているのです。
【管理的な仕事】
「経験を活かし即戦力になるから」:62.3%
「専門知識・能力があるから」:40.7%
【専門的・技術的な仕事】
「専門知識・能力があるから」:52.7%
「経験を活かし即戦力になるから」:66.1%
参考:厚生労働省「令和2年度転職者実態調査の概況」
このデータを見ると企業側は、職種に関わらず即戦力として活躍できる人材を求めているのが分かります。
つまり、自己PRとは言いながらも、あなたが即戦力として活躍できる人物だとアピールすることが重要だというわけです。
しかし、転職先が必ずしもあなたの経験がある業界とは限らないでしょう。そこで次の項目では、経験の有無別に見る企業で求められることを解説します。
【経験の有無別】企業に求められること
あなたが転職しようと考える業種における経験の有無によって、企業側に求められる条件は違ってきます。
求められること:経験あり
経験がある場合は、当然即戦力としての活躍が求められます。そのため、あなたが今まで経験してきた仕事の内容や、具体的な実績などをアピールすると効果的でしょう。
また、経験があると教育に時間がかからないのが利点なので、覚えが早い点や自分で考えて行動できるといった点は大きなアピールポイントとなります。ただし、転職の際は前職場の考え方ややり方を持ち込まないなどの考えを持つ人も優遇されるので、しっかりと伝えましょう。
求められること:経験なし
経験がない場合は、働く意欲や熱意があるかどうかを求められます。新しい仕事でも積極的に覚えようとする心構えや、自分で考えて行動する姿勢が高評価となるでしょう。
また、経験がないからこそ会社に新しい風をもたらすのではと期待されています。今までの経験がないからこそ、新しい観点や吸収力を求められるのです。
【経験の有無別】転職における自己PRのポイント
続いては、経験の有無別における自己PRの作成のポイントを解説します。
経験ありの自己PR
経験がある業種に転職する場合は、以下の2つのポイントを意識して自己PRを考えましょう。
今までの経験を具体的にアピール
経験者の方は、即戦力としての活躍を期待されているので、今までの経験や実績などをアピールしましょう。特に具体性を持たせるという点が最大のポイントです。数値化できるような実績があるなら、必ず数字を入れるようにしてください。
柔軟性をアピール
経験者は、今までの経験をアピールするあまり柔軟性にかけると見られがちです。そのため、実績などはアピールしながらも、新しい職場ではその職場のやり方や考え方に順応できるといった点も、しっかりとアピールしておきましょう。経験を活かせる部分と新しい考え方を受け入れた方が良い部分を明確にしてください。
経験なしの自己PR
経験がない業種に転職する場合は、以下の2つのポイントを意識して自己PRを考えましょう。
ポータブルスキルをアピール
経験がない場合は、ポータブルスキルをアピールしましょう。ポータブルスキルとは、あらゆる業種・職種に活かせる汎用スキルを意味していて、最も分かりやすいのはビジネスマナーなどです。また、業種や職種は変わっても、前職のスキルが活かせるポイントがないか考えてください。
例えば、「営業職で培った問題解決力があれば、新しい企業でサービスの問題点を見つけるスキルとして使える」などの考え方ができるでしょう。
学ぶ姿勢をアピール
経験がないからこそ、新しい分野の知識をどんどんと吸収できるとアピールできます。もしも、あなたが独学で次の仕事のジャンルを勉強しているなら、その点は必ず伝えましょう。学ぶ意欲の高さに加えて、少しでも知識があるという部分のアプローチに繋がります。
自己PRの書き方・構成
ここまで、経験の有無に合わせてどのようなポイントをアピールすべきか解説しましたので、いよいよ具体的な自己PRの書き方と構成についてお伝えします。
自己PRを3ステップに分けて書く
ここでは以下のステップに分けて書く方法を解説します。
ステップ1.前職での経験を洗い出す
ステップ1では、前職での経験を洗い出しましょう。
経験を洗い出す際は具体的な内容を見つけてください。
【具体例】
新規顧客の獲得
新規プロジェクトの立ち上げ
戸建て注文住宅の営業職
このように、採用側が具体的な仕事の内容をイメージできるように洗い出す必要があります。
ステップ2.数字で表現できる実績を見つける
ステップ2では、数字で表現できる実績を見つけましょう。
具体的な数字が示されると人間は、強烈な印象を受け付けられます。そのため、とにかく数字を入れることを意識してください。
【具体例】
✔ 5年で100件の新規顧客獲得
✔ 30%売上を向上させた
✔ 年間の売上を1,000万円アップさせた
このように、あなたの実績を具体的な数字で示されると、企業側が実績の凄さを実感しやすくなるのです。
数字を入れるというテクニックは、自己PR以外のアピールでも有効なので、とにかく何を伝えるに際しても、数字の挿入は意識しましょう。
ステップ3.企業が求める人物像の整理&アピールする能力の選定
ステップ3では、企業が求める人物像や能力の整理をして、あなたがアピールできる能力やスキルの選定をしていきましょう。
まずは、企業が求めるスキルや能力を整理しましょう。そして企業が求めるスキルや能力と、あなたの持つスキルや能力を選定して、マッチしているか確認してください。
マッチしていなければ、マッチするようにアピールポイントをずらすか、選考に応募する企業自体を変更するかしましょう。
分かりやすい文章の作成
前の項目の3ステップで必要なパーツが集められたら、そのパーツを使って、自己PRを組み立てていきましょう。
自己PRの構成としては、以下のものが使いやすくなっています。
1.アピールするテーマの選定
自分の受ける企業で役に立ちそうなスキルや能力の中から、一つにテーマを絞って書くと起承転結のメリハリができるので相手に伝わりやすい文章になります。
また、その業種が未経験であったとしても、社会人としての経験や役割、そこから学んだことなどをアピールすると良いでしょう。
2.根拠となる経験・エピソード
1で考えたテ―マの根拠となる自分の経験、エピソードを書きましょう。具体的な経験やエピソードなどが入ると説得力が増すので、最も重要なポイントと言えます。またこの項目では、擬態的な数字を入れるとより効果的です。
3.スキルを使ってどのように会社で活かしたいか説明
そのスキルや能力を使って、どのようにその会社に貢献できるのかしっかり説明できると、企業側に入社後にどう活躍してくれそうか、イメージしてもらいやすくなり、採用率がグッとアップします。
以上の手順で自己PRを作成すれば、あなたの魅力が正しくアピールできるうえに、企業側とのミスマッチも防げるので、有意義な転職活動が実現できるのです。
ちなみに最も重要な経験・エピソードでは、ストーリー調にして文章を作ると、さらに伝わりやすい自己PRが完成します。
【具体例】
- 問題点:○○という点が問題だった
- 転機:しかし、ある出来事をきっかけに解決のヒントが見つかった
- 行動と結果:ヒントを基に○○のような対策を講じた結果、○○のような成果が挙げられた
- 展望:今後はこの経験を活かして貴社で○○のような仕事をしたい
以上のフォーマットは、自己PRだけでなく志望動機にも当てはめて使えるので、ぜひ活用してみてください。
コツがわかれば自己PRで強みを伝えることはできる
今回は自己PRについて解説しました。
企業がどのような内容を知りたくて自己PRを求めるのか、そして、その求める内容に合わせて作成する必要があるという点が確認できました。
その結果、自己PRはただ自己紹介を書けば良いのではなく、あなたの持つスキルや能力をアピールする場だと判明したのです。それには、今回解説した構成やフォーマットを使えば、簡単に効果的な自己PRが作れるとも分かりました。
今回の内容は、自己PRだけでなく志望動機を書く際や面接であなたの魅力を伝える際にも応用できるポイントが多々あるので、これから転職活動をする方は参考にしてみてください。