通勤時間に往復2時間かけていると、なかなか疲れが取れにくいと感じることはありませんか?

片道の通勤時間で1時間というのは珍しいことではありませんが、1日の2時間を通勤で拘束されてしまうことは意外と体への負担が大きいものです。

とはいっても、「平均的な通勤時間」「通勤時間が長いことのデメリット」について詳しく知っている方は少ないでしょう。

そこで今回は、通勤時間について知っておくべき基本情報を紹介します。

平均的な通勤時間・理想の通勤時間は?

平均的な通勤時間

はじめに、平均的な通勤時間の長さをチェックしていきましょう。

総務省の平成28年社会生活基本調査によると、通勤時間の全国平均は1時間19分です。

都道府県別にみると、最も通勤時間が長いのが神奈川県で1時間45分、一番通勤時間が短いのが大分県で57分という結果でした。

全国平均はもちろん、最も通勤時間の長い神奈川県と比較しても、通勤時間往復2時間は長いと言えるでしょう。また、耐えられるであろう通勤時間の長さは片道で平均65分ですので、往復2時間以上の通勤は、理想とかけ離れていて通勤自体がストレスとなることも懸念されます。

ちなみに、通勤時間が長い上位3県はいずれも関東圏です。東京にアクセスがしやすく家賃相場が東京よりも安いことで、神奈川・千葉・埼玉の人気は年々高まっています。

首都圏では会社が東京に集中していることから、他の都道府県に住んでいても東京に電車通勤する方が多く、通勤時間の平均も自然と長くなっていると想定されます。

理想の通勤時間

アットホームが行った電車通勤実態調査によると、実際の片道の通勤時間は平均47分理想の通勤時間は平均29分です。多くの人が1時間以内の通勤時間を理想としているのに、それが実現できていないことがよくわかりますね。

同調査では、通勤時間短縮のために引っ越しをしたいと回答した方が全体の42.5%、通勤時間短縮を目的に引っ越し経験のある方が37.3%(短縮できた時間は平均29分)という結果も出ています。やはり、通勤時間の長さに悩む人は多いのです。

通勤時間が長いことにメリットはある?

通勤時間が長いことにもメリットはあります。ここでは代表的なものを2つ紹介しますね。

通勤時間を有効活用できる

通勤時間は、家族や同僚と一緒にならなければ、誰とも話すことなく過ごせる時間です。また、一度乗車してしまえば特にやることはないので、目の前のことに集中できる時間ともいえます。

このように考えれば、往復2時間の通勤時間は、自分がやりたいことに集中して取り組める時間と捉えられるでしょう。本を読んだり、音楽を聴いたり、勉強をしたり…と使い方は人それぞれですが、有効に使えれば、きっと充実したものになるはずです。

仕事とプライベートを切り替えやすい

会社と自宅の物理的な距離が離れているほど、仕事とプライベートの気持ちの切り替えが行いやすいです。

逆に会社の近くに住むと常に職場の近くにいる気持ちになるので、仕事のオンオフをしっかりしたい人はある程度会社から距離のある場所から通勤をするのがおすすめです。

通勤時間が長いデメリットは?

続いては、デメリットを紹介します。

通勤時間で疲れてしまう

通勤時間が長いことのデメリットとしてまず挙げられるのが、通勤だけで疲れてしまうことです。

席に座れないだけでなく、混雑し過ぎて身動きがとれない状態で通勤しなければならないとなると、どうしても肉体的にも精神的にも疲労が蓄積されてしまいます。

また「通勤中に体調が悪くなったらどうしよう。」「遅延やトラブルが起きたら絶対遅刻しちゃう…。」などの悩みを抱えることにストレスを感じ、通勤時間自体が苦痛になっている方も少なくありません。

睡眠不足や運動不足で健康面が不安視される

通勤時間が長いことで睡眠不足や運動不足に陥り、健康面が不安視されるのもデメリットの一つです。

通勤時間が長いと、どうしても「朝早く家を出て、夜遅く帰宅する」生活になりがちですよね。そんな生活の中では、睡眠時間や運動時間を確保するのも難しいと思います。

しかし、睡眠や運動は人間が生きていくために必要不可欠です。そんな大切なものを削ってしまっていると、いつかは身体が壊れてしまいます。

帰宅後にプライベートの時間を確保するのが難しい

通勤時間が長いと、プライベートの時間も少なくなります

趣味に没頭する時間や家族や恋人、友人と過ごす時間を確保できなくなってしまうと、ガス抜きをするオフの時間もなくなるので、仕事のストレスを溜め込みがちになるでしょう。

通勤時間はストレスや幸福度とどう関係してる?

通勤時間はストレスや幸福度とどう関係しているのでしょうか。複数の調査を参考に、一緒に確認していきましょう。

国土交通省が行った調査では、疲労を感じると低い値となるアシルカルニチンが、乗車時間が長くなるほど低下することから、通勤時間が長くなればなるほど、疲労が慢性化しやすいといわれています。

また、富山県T市の総合病院に勤務する看護師104名を対象に行ったストレスとコーピング(ストレスの原因に適切に対処すること)の関係についての調査結果からも、通勤時間が長くなるほど身体的不調・不安・うつ状態につながりやすいと考察されています。

さらにザイマックス不動産総合研究所の調査でも、「心身の健康」の健康についての評価基準として通勤時間(在宅勤務)を理由としている、つまり自身の健康について体感レベルで違いを感じている方が多いことから、通勤時間の長さと健康との因果関係は否定できないといわれています。

米世論調査会社ギャロップの調査でも、「通勤時間が長い人ほど幸福度は低い」という結果がでたようです。また、スイスの研究者も「通勤に1時間かかっている方が徒歩で通勤している方と同程度の幸福度を得るには、40%以上稼ぐ必要がある」という発表をしています。

これらのことから、通勤時間の長さはストレスや幸福度に大きく関わると言えるでしょう。

通勤電車の混雑率

誰だって「満員電車」よりも「空いている電車」に乗りたいですよね。

「満員電車に2時間揺られる」のと「座れる余裕のある電車に2時間揺られる」のでは、同じ2時間でも疲れ方がかなり違ってきますからね。

しかし、どうして混雑している電車に乗ると疲れやすいのでしょうか。ここでは、高い混雑率が与える影響を少し詳しく解説します。

高い混雑率が私たちに与える影響は?

国土交通省が平成15年度に行った電車の混雑度合いとストレスの関係の調査によると、ストレスを感じると上昇する交感神経活動(アミラーゼ活性)が、電車の混雑度合いが上がるほど上昇するそうです。

この結果から、通勤時間に関係なく車内が混雑していればストレスを感じると考えられます。ですので、通勤時間が長いうえに車内が混んでいた場合、より強いストレスを感じるといえるでしょう。

また、同省が平成14年度に行ったバス利用時のストレスに関する調査によると、混雑したバス乗車中は、乗車前よりも交感神経活動(アミラーゼ活性)が高まるうえ、自然免疫で重要な役割を果たすNK細胞の活性が低下するそうです。

これは、混雑した交通機関の利用はストレスを感じやすいだけでなく、免疫力も低下しやすいことを意味しています。

実際の混雑率は?

国土交通省は、平成30年7月に三大都市圏主要区間の平均混雑率を東京圏163%、大阪圏125%、名古屋圏113%と公表しています。

東京圏はピーク時の主要31区間の平均混雑率を150%、個別路線では180%以下にすることが目標とされていますが、180%を超える路線は11路線あります。

目標混雑率180%を超える個別路線(11路線)と混雑率

・東京地下鉄東西線     :199%    ・JR東日本京浜東北線:186%

・JR東日本総武緩行線   :197%          ・JR東日本埼京線  :185%

・JR東日本横須賀線    :196%   ・東急田園都市線  :185%

・JR東日本南武線     :189%   ・JR東日本中央快速線:184%

・JR東日本東海道線    :187%   ・JR東日本総武快速線:181%

・東京都日暮里舎人ライナー:187%

国土交通省では下記のような混雑度の目安もまとめています。

混雑率の目安

100%:定員乗車(座席につくか、吊革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる。)

150%:広げて楽に新聞を読める。 

180%:折りたたむなど無理をすれば新聞を読める。

200%:体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める。

250%:電車がゆれるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かせない。

平均混雑率と混雑率の目安から、東京圏は特にピーク時には満員電車で相当な圧迫感があると考えられます。

通勤時間が長過ぎる方の対処法

往復2時間ほどの通勤時間でなくても、混雑している電車やバスに乗って通勤しなければならないのであれば、通勤時間が長くて辛いと感じるでしょう。

ここでは、通勤に悩みを抱える方に試してほしい対処法を紹介します。

通勤時間を有効活用する

通勤時間を無駄な時間に感じてしまう方は、資格取得のための勉強をしたり、仕事に関する情報収集を行ったり、趣味に集中して取り組んだりと、自分なりに有効活用することがおすすめです。

オンとオフを完全に分けたくて、通勤時間を趣味のために充てることに抵抗がある方は、「通勤中は仕事に関することに集中する」と決め、仕事終わりや休みの日などプライベートな時間を趣味を楽しむ時間に充てると良いでしょう。

フレックスタイムを活用する

定められた総労働時間の範囲内に始業・終業時刻や労働時間を決めることが可能なフレックスタイムを採用している会社であれば、始業・終業時刻を通勤ラッシュを避けた時間に設定できます。

満員電車・バスを避けられれば、混雑による疲れやストレスを感じずに済むので、通勤時間もそれほど苦痛ではなくなるでしょう。

自宅に近い支社へ異動願いを出す

自宅近くに支社があれば、通勤時間を短くするために異動願いを出すことも有効です。

会社と自宅の距離が縮まることで、従業員には「通勤時間の悩みが解消され、パフォーマンスが向上する」といったメリット、会社側には「交通費の負担が少なくなる」といったメリットがもたらされます。

会社近くへ引っ越す

支社がない、支社があっても自宅近くではないといった場合で、通勤時間の長さにストレスを感じているのであれば、会社近くに引っ越すのも良いでしょう。

現在住んでいるエリアが気に入っていて、エリアを変えての引っ越しに抵抗がある方は、現在住んでいる所には近いけれど、会社までの距離を縮められる駅の最寄りに住んだり、駅の近くに住んで電車以外にかかる時間を短くしたりといった方法がおすすめです。

通勤時間が長いと感じるなら対策をとろう

全国と都道府県別どちらの平均通勤時間を見ても、往復2時間は通勤時間が長いと言えます。

長い通勤時間には、オンオフの切り替えがしやすいなどのメリットがあるのも確かですが、心身の疲れやストレス考慮すると、やはりデメリットが大半であるといえます。

あなたが、通勤時間の長さや通勤すること自体に悩んでいるのであれば、ずっと我慢し続けるのではなく、働き方を変えたり、会社近くに引っ越したりといった対策をとりましょう。