タクシードライバーという職業には残業が多く、体力的にも厳しい仕事というイメージがありませんか? たしかに以前はそうでしたが、現在はだいぶ様子が変わってきています。

今回はこのタクシードライバーという職業について、業務内容や勤務形態、そして必要な資格など詳しく紹介するので、転職や就職を考えている方はぜひ参考にしてください。

タクシードライバーの業務について

2019年の自動車免許の自主返納が60万件を超え過去最多になりました。75歳以上が半数以上にのぼり、高齢運転者によるアクセルとブレーキの踏み間違いなどの大きな事故が続いた影響があると考えられます。

このような状況で高齢者の足として重要さを増すタクシーですが、ドライバーの業務内容はどのようなものでしょうか?

タクシードライバーの業務内容

ここでは身近ですが意外に知らないタクシードライバーの業務について簡単に3つにまとめてみました。

業務1. 乗客を目的地まで運ぶ

タクシードライバーのメインとなる仕事で、乗車してくれた利用者を安全に目的地まで運びます。

出発地から目的地を聞き、タクシーを走らせますが、その間に会話を楽しむ方もいますので接客も必要となります。

業務2. 自動車運転前点検

当日の道路状況や天候によって見込まれる渋滞などがあれば迂回ルートを確認するなど、情報共有を行い、スムーズに運転できるよう下準備をします。

また、ブレーキ、ウインカー、ヘッドライトなどのランプ類やバッテリー、エンジンオイルの点検などタクシーが問題なく運転できるかのチェックも欠かしません。

利用者が安心して気持ちよく乗れるように社内の清掃もしっかりと行ないます。

業務3. 納金、洗車など

納金とは所属会社にその日の業務成果を報告することです。

売上金と共にその日の営業中に起きたことを記載した日報も提出します。

ただし自動で日報をとっているタクシー会社も存在しますので、ここの流れに関してはタクシー会社によって少し差があります。

また、仕事終わりに乗車したタクシーを洗車するのが一般的です。

多くの場合は自分が乗る車両が決まっており、二人一組となって1日交代で使用するので次に使用するドライバーのためにも洗車は大切です。

タクシードライバーが乗客を運んで会計をするだけと思っていると大間違いで、点検はもちろん洗車も自分でやらなければなりません。

ただしタクシー会社により洗車機があり使用できたり、会社が提携しているガソリンスタンドの洗車機を割安で使える場合など企業ごとに差があります。

タクシードライバーに必要な資格

それでは実際にタクシードライバーになるためにはどうすればいいのでしょう。

当然、タクシー会社に就職するのですが、人の命を預かる仕事なのでそれだけでは運転手になれません、専用の資格が必要なのです。

法人タクシーに必要な資格

タクシーは法人と個人で必要な資格が異なります。

まず、法人タクシーで必要な資格を確認しましょう。

必要な資格1. 普通二種免許

普通二種免許とは、運転代行、ハイヤー、そしてタクシーなど「人を乗せて運び、運賃をもらう」業務を行なうために必要な資格です。

普通自動車免許を取得して通算3年以上の運転経験があり21歳以上の方が取得可能ですが、タクシー会社への応募時に必須でない場合が一般的で、中には企業側が求める条件を満たしていれば二種免許取得の資金と習得中の賃金を援助してくれるところもあります。

必要な資格2. 地理試験(一部の地域のみ)

地理試験の合格が必要なのは東京、神奈川、大阪です。

法人タクシーで働く場合、都心近辺の一部地域では地理試験に合格する必要がありますが、あとは普通第二種免許があれば充分です。

しかも免許取得をタクシー会社で援助してくれるところもあるため、タクシードライバーへの転職はしやすいと言えます。

個人タクシーに必要な資格

個人タクシードライバーになるためには法人の資格に加え、さらに複数の資格や許可が必要になります。

新規許可もしくは譲渡譲受

新規許可とは、営業を希望する区域に許可を得て個人タクシー事業者になる方法です。

それに対し譲渡譲受は、個人タクシーの免許を持っている事業者から事業を譲渡してもらう方法になります。

年代別の条件

個人タクシーは65歳未満でないと申請できません。

35歳未満、35~40歳未満、40~65歳未満で条件が変わります。

35歳未満の場合はタクシー会社に10年以上勤務し、10年間無事故無違反であることが必要です。

次に35~40歳未満の場合ですが、2つの条件を満たすことが必要です。

1つは 申請する営業エリアで、自動車を運転する仕事を10年以上勤めた経験があることと、もう1つは5年以上ハイヤーかタクシーを運転する職業に勤務しており、3年以上継続して働いていることです。

40~65歳未満の場合も2つの条件を満たしている必要があります。 25年以内に10年以上、自動車を運転する仕事をした経験があることと、 ハイヤーかタクシーのドライバーを3年以内に2年以上していなければなりません。

年齢条件1条件2
35歳未満タクシー会社に10年以上勤務し、10年間無事故無違反であること
35~40歳未満申請する営業エリアで、自動車を運転する仕事を10年以上勤めた経験があること5年以上ハイヤーかタクシーを運転する職業に勤務しており、3年以上継続して働いていること
40~65歳未満25年以内に10年以上、自動車を運転する仕事をした経験があることハイヤーかタクシーのドライバーを3年以内に2年以上していること

35~40歳未満、40~65歳未満の条件である自動車を運転する仕事の期間は、タクシーやバスなどの旅客自動車以外のドライバーをしていた場合、実際の期間の50%で計算されます。

個人タクシードライバーになるには許可を取るだけではなく、かなり厳しい条件を満たさなければなりません。

条件を満たすためには時間もかかるので、個人タクシードライバーを目指すなら早めの転職がおすすめです。

参照サイト:個人タクシーの経営者になるには|一般社団法人個人タクシー協会

タクシー業界の勤務形態

終電を逃してタクシーを利用したことのある方も多いのではないでしょうか。

24時間乗ることができるタクシーですがドライバーの勤務形態はどうなっているのかチェックしてみましょう。

タクシー業界には、隔日勤務、日勤、夜勤の3種類の勤務形態があります。

それでは、それぞれの勤務形態について詳しく確認していきましょう。

隔日勤務とは

1度の勤務で2日分働くイメージで、タクシー業界で最も普及している勤務形態です。

1日おきに働くスタイルのため勤務時間は19~21時間程度で、この間に3時間の休憩を入れるのが一般的となります。

隔日勤務では1日の勤務が終わると翌日、つまり仕事明けから必ず1日休みとなります。

この休みを「明番」、出勤日を「出番」と呼び、1週間は出番と明け番を繰り返し、2度目の明け番の後、連続で1日休むという流れです。月の勤務回数は11~13回程度となります。

日勤とは

日勤は昼間だけ働く勤務形態です。

労働時間は1日8時間ほどで休憩が1時間なのが一般的となります。

勤務時間帯は午前7時~午後4時、あるいは午前8時~午後5時という場合が多く、月の勤務回数は22~24回程度です。

日中の勤務になるため女性や年配の方に人気の働き方です。

早朝にタクシーで通勤する方や病院などに向かう高齢者が主な利用者となります。

ただし日勤を採用しているタクシー会社は非常に少ないため、応募をする時は日勤を採用しているか、採用している場合は何人くらいが日勤なのかを確認しましょう。

夜勤とは

夜勤とは夜間のみ働く勤務形態です。

深夜帯は割増料金になり電車もなくなるので長距離の利用者が昼間に比べて多く、売上が上げやすい時間帯と言えます。

1日の労働時間は8時間ほどで稼ぎたい方には最適なのですが、こちらも採用しているタクシー会社は少ないです。

日勤と夜勤、そして隔日勤務の3つの勤務形態を紹介しましたが、タクシー会社の求人では隔日勤務が多く、日勤と夜勤は競争率が高くなります。

隔日勤務という勤務スタイルは警官や警備員などでもありますが、やはり一般的とは言いがたく勤務できるかと不安に感じる方もいます。

タクシードライバーはブラックなイメージがあるかもしれませんが、現在は法律で労働時間も決められており休憩もしっかり取れるため、なれればむしろ自由な時間が多い職業です。

タクシードライバーの仕事で大変な面(リスク)とメリット

タクシードライバーの業務内容や勤務形態、そしてタクシーの種類について紹介してきましたが、これからタクシー会社に就職や転職を考えているなら、さらにこの職業の大変な面とメリットも覚えておいてください。

タクシードライバー5つの大変な面

お客様の命を預かる仕事なので大変なのは当然ですが、他にどのようなリスクや苦労があるのでしょうか。

大変な面1. 1日の勤務時間が長い

隔日勤務が主流なので1日の労働時間が16~18時間、拘束時間は19~21時間とかなり長いのでなれるまで大変です。

大変な面2. 体(特に腰)を痛めるリスク

タクシードライバーは日常的に長時間同じ姿勢のままでいることが多くなるので体、特に腰に負担や疲労が溜まりやすくなります。

九州社会医学研究所が福岡市の某タクシー事務所を対象に行った「タクシー運転手の腰痛に関する要因の研究」によるとタクシー運転手の腰痛の有訴率は45.8%との結果を得ました。

大変な面3. ウイルスの感染リスク

新型コロナウイルスの流行で問題にもなりましたが、車内は密室となるため乗客がインフルエンザなどにかかっていると感染する可能性が高まります。

大変な面4. お客様とのトラブルなどのアクシデント

接客業ということもあり、中には理不尽なクレームを受けることがあります。

ただし、最近はドライブレコーダーを装着するなどの対策をとっているタクシー会社が増えてきました。

大変な面5. 地理に詳しくなければならない

タクシードライバーである以上その地域の道に詳しくなければなりません。

また、地域の主要な建造物や目印となるような建物もある程度覚えておく必要があります。

報道などでタクシードライバーが乗客とトラブルになり暴力を振るわれると言ったニュースが報道されることもあり、その点を不安に思っていた方もいることでしょう。

証拠という意味でもドライブレコーダーで録画するなど抑制する対策を取っているタクシー会社も最近は増えてきているので、そのあたりは安心さはありますが、座ったままでいる事になるので腰の問題は深刻です。

休憩の時や休日にストレッチをするなどケアを心がける必要があります。

しかし、このような話ばかり聞くと転職をためらうかもしれませんが、タクシードライバーにはメリットも多くあります。

タクシードライバー4つのメリット

今度はタクシーの運転手にはどのようなメリットがあるかを確認していきましょう。

メリット1. 様々な人との出会いがある

毎日様々な人との出会いがあり、その人たちと接していく中で自分自身を成長させることもできます。

また喜ばれたことにより、やりがいを感じられ、モチベーションアップもあります。

メリット2. 地理や土地に詳しくなれる

その土地の地理や交通状況に詳しくなれます。

また、毎日違う場所を走るため、オフィスワークとは異なり気分転換をしやすいでしょう。

メリット3. 頑張れば頑張っただけ収入がアップする

タクシーの運転手の給料は歩合制であるところがほとんどなので、乗客を乗せれば乗せるほど収入アップになります。

それがモチベーションにもなるのでやりがいのある仕事です。

メリット4. 休日が多い

以前は超過勤務が問題になったこともあるタクシードライバーですが、現在は国が厳しいペナルティを課しているので原則的に残業が禁止されています。

そして勤務体系の項目で紹介した隔日勤務が主流のため、1日働けば翌日が休みですし、月の勤務回数は11~13回程度です。

隔日勤務は一度の勤務時間が長いですが仮眠時間もありますし、働いているうちに体が勤務のリズムになれてきます。

大変な面で紹介した腰を痛めるリスクですが、特に隔日勤務だと休憩時間にストレッチをしたり、休日身体を休めるなどして対策を取りやすいです。

また、地理に詳しくなければならないという点は、実はメリットの地理や土地に詳しくなれるということと表裏一体になっています。

最初は誰でも地理に詳しいわけでないので、実際に走っているうちに詳しくなっていくという楽しさもあります。

タクシードライバーは決して楽な仕事ではありませんが、メリットも十分にあります。

タクシードライバーの転職事情について

ドライバーの大変な面とメリットを確認したところで、タクシー運転手の転職事情について見ていきましょう。

他業界からタクシー運転手に転職したい方

やはり気になるのは年齢や学歴、そして経験が必要かどうかです。

自分は当てはまるのかをチェックしてみましょう。

年齢や学歴、経験がなくても大丈夫!

転職する場合は経験が重視されることが多いのですが、タクシーの運転手はもともと他業種からの転職が多く、未経験からのスタートが珍しくない職種です。

むしろ未経験が優遇される場合も!

オリジナルの研修カリキュラムや方針がある大手タクシー会社などでは、経験者よりも未経験者のほうが教えやすいことも多いので未経験者を優遇することもあります。

タクシー業界は転職しやすい!

大手のタクシー会社の場合、未経験が優遇される場合もあるためタクシー会社は転職しやすい職種と言えます。

無事故、無違反で安全運転に自信があるならチャレンジしやすいでしょう。

タクシードライバーから他業界に転職したい方

今度は逆にタクシーの運転手を辞めて別の職種に転職しやすいかを考えます。

転職を希望する場合、現在の仕事に何かしらの不満や問題がある場合がほとんどです。

社内での人間関係が原因なら会社を変えることで改善される可能性があり、別のタクシー会社に転職しても上手く行く場合もあります。

しかし、業務内容に問題があるならそれを解決できる職種に転職が必要です。それでは原因別におすすめ業界を案内します。

接客の面でストレスが多いと感じた方

配送トラック運転手に転職がおすすめです。

運転手という職種は変えず、業種のみを変える方法です。

接客が苦手な方、ノルマが嫌な方、タクシー運転手時代の能力は活かしたいという方にピッタリです。

運転技術や地理の知識などのタクシー運転手時代に培った能力を活かせるうえ、ノルマも接客もないので実際タクシー運転手の転職先としてもよく選ばれます。

歩合制・ノルマの面でストレスだと感じた方

法人タクシーから個人タクシーへの転職がおすすめです。

法人タクシーは歩合制のところが多く、ノルマがある場合も少なくないですが、個人タクシーであればノルマもありませんし、勤務時間も厳しく規定されている訳ではないのでおすすめです。

また、現在勤めているタクシー会社でリピーターが付いているなら、個人タクシーを開業したとき引き続き利用してもらえれば収入を安定させるのに役立ちます。

タクシードライバーでつちかった運転技術は、通信販売が盛んな今こそトラックドライバーへの転職にピッタリのスキルです。

個人タクシーは条件が厳しいので大変ではありますが、だからこそ目標として仕事を続けるモチベーションにもなります。

タクシードライバーの需要は増していく

特に近年高齢者ドライバーの免許自主返納が増加し、特に地方では交通手段としてタクシーの需要が高まるのは間違いありません。

そんな中、経験が無くても転職しやすいタクシードライバーという職業は魅力的です。

さらに法人タクシーで実績を積めば個人タクシーの道も開けるのでモチベーションも上がります。

運転が好き、ドライブでも知らない道を通って開拓することが好き、人を乗せて人に喜ばれる仕事に繋げたい、誰かの為になる仕事がしたいと運転に絡んだ転職を考えているなら、ぜひタクシードライバーも検討してみてましょう。