辞めたいけど辞められない、そんな人の助け舟が退職代行サービスです。

2017年頃からネットで話題になり、ここ2~3年で急激に利用者を増やしています。

このページに辿り着いたということは、退職代行を利用するか検討しているところでしょうか。

今すぐの予定がない方も、いずれお世話になるときが来るかもしれません。

新しいものは未知です。メリット・デメリットを知って、賢く使えるようになりましょう。

退職代行の誕生

筆者がこのサービスを初めて知ったとき「退職くらい自分でやれないのか?」と疑問を抱いていましたが、その背景には相応の理由がありました。

主な要因は2つです。

1.人手不足による引き留めが起きている

厚生労働省調査の総合労働相談で受けた相談件数によると、自己都合退職の際に起きたトラブルの相談件数は平成30年度に4万件以上、これは10年前の1万6000件に比べて2.5倍にのぼります。

空前の人手不足のため、退職は企業にとって大打撃です。退職希望者にあれこれ理由をつけて、引き留めようとすることも頷けます。

筆者も数年前に引き留めをされ、「採用にいくらお金が掛かると思ってるんだ」「ここでやれなきゃ、どこへ行ってもやっていけないぞ」と脅し文句を言われました。その上退職書類をいつまでも送ってもらえず、会社にゲリラ訪問してその場で書類を用意してもらう、という苦い経験をしました。

「引き留めにより思うように退職できない」という事態が増加しているのです。

2.若者の合理的な傾向

現代の若者には合理性や効率を追求する傾向があり、「困ったらググる」の精神が染み付いています。今まさにこのページを見ていることも、手軽に情報収集をしようとしている証拠です。

あまり退職経験のない若者にとって、退職の手続きは未知で面倒なものに感じられます。まさにググる感覚で、退職代行という合理的な手段を利用しているのです。

実際に年代別のサービス利用者ランキングでは、男女ともに20代前半~30代前半の若手が上位を占めています。

 
1位20~24歳 43.1%20~24歳 43.1%
2位25~29歳 29.2%25~29歳 29.2%
3位30~34歳 10.3%30~34歳 10.3%

特に20代前半の割合が40%を超えており、若者たちの新しい退職方法として、退職代行サービスが人気を集めていることが窺えます。

また若者に次ぐように、最近の傾向として40代以降の利用も増えてきています。

そもそも安全なサービスなのか?

結論から述べると、退職代行自体は違法なサービスではありません。しかしサービスの中に、以下のような「交渉」を含む場合は注意が必要です。

  • 有休消化の交渉
  • 未払い給与・残業代の支払い交渉
  • 退職金の請求
  • ハラスメントに対する慰謝料請求
  • 損害賠償の請求

これらの行為は弁護士の仕事となるため、弁護士資格のない業者が行った場合は違法になります。つまり正確には「適正な範囲での退職代行であれば問題ない」が答えになります。

メリット・デメリット

退職代行サービスについて知識をつけたところで、利用のメリット・デメリットを確認していきましょう。

メリット

一切顔を合わさずに退職できる

ブラック企業だったり高圧的な上司がいたりすると、退職を告げた途端に嫌味やパワハラに遭うかもしれません。その中で退職手続きをしていくのは、かなりの精神的苦痛を伴います。ストレスを最小限にするために、退職代行を使うのは合理的といえるでしょう。

「辞められない」という状況を打開できる

筆者の体験にもある通り、辞めさせないよう上司が様々な文句をつけてくる可能性があります。毅然として押し切れば良いですが、離職率の高い会社は手慣れているため、まんまと言いくるめられ兼ねません。「辞められない」のループに入ってしまったときは、退職代行は突破口になります。

即日の退職が可能

退職する場合、通常は2週間前に申し出をする必要があります(民法627条)が、退職代行ではその必要がありません。その2週間を有休消化に当てたり、有休がなくても退職日まで欠勤扱いにすることで即日退職ができます。会社にもう出勤せずに済むのは、退職代行ならではのメリットです。

業者によっては、残業代の請求や有休消化、貸与物返却の対応もしてくれる

業者のサービス内容によりますが、全て丸投げで頼めることもあります。特に自分からは言い出しにくい給与の請求や有休消化は、業者がビジネスライクに対応してくれるため、自分で交渉するより得ができるかもしれません。

デメリット

費用がかかる

相場として3万~5万円の費用がかかります。そもそも退職自体にお金はかからないものなので、人によっては高いと感じることもあるでしょう。また業者によってはオプションで追加料金が発生するため、事前によく確認しておく必要があります。

退職代行に理解のない人がいる

まだ始まってから日が浅いサービスであり、上司などの親世代には理解が難しいものだといえます。また即日退職のときは仕事の引継ぎも充分にできないため、悪い印象を会社に残すことになるでしょう。もっとも、顔も合わせたくない程の上司が相手なら、あまり気にすることではないかもしれません。

悪質な業者もある

「安全なサービスなのか」の項目でも触れましたが、サービスに「交渉」が含まれるときは弁護士資格が必要になります。資格を持たない者が営利目的で「交渉」を行った場合、非弁行為にあたり違法となります。

逆に資格のない業者でも「交渉」ではなく「希望」という形で伝えられるので、目的に合わせて業者を選んでいきましょう。

業者の選び方

サービスが広がるとともに、業者の差別化も広がっています。

悪質な業者に引っかからないよう、ここからは評判の良い5つの業者をご紹介します。それぞれ値段・弁護士資格・サービス面に注目して比較しています。

ちなみに下記項目に出てくる弁護士監修とは、「社員は弁護士の指導を受けているが、弁護士本人が代行をしているわけではない」という意味です。

業界最多1万6000人の実績をもつ「ニコイチ」

  • 業界最安値の一律27,000円(追加料金なし)
  • 弁護士監修のため「適正な範囲」のサービスが受けられる
  • 書類の受け取りから有休消化などの「希望」、貸与物の返却まで丸ごと対応してくれる

ポイント:創業以来14年、成功率100%を維持する実力派

総合評価の高い「SARABA」

  • 業界最安値の一律27,000円(追加料金なし)
  • 会社ではなく、労働組合のため「交渉」ができる
  • 弁護士ではないので賠償請求など法律への関与はできないが、未払い給料や残業代の請求はできる

ポイント:24時間365日、いつでも相談可能

心理カウンセラーのサービスがある「Jobs」

  • 一律29,800円(追加料金なし)
  • 弁護士監修のため「適正な範囲」のサービスが受けられる
  • 書類の受け取りから有休消化などの「希望」、貸与物の返却まで丸ごと対応してくれる

ポイント:セラピストによる無料カウンセリング特典つき

メディアで話題の「EXIT」

  • 正社員・契約社員50,000円/アルバイト・パート30,000円(追加料金なし)
  • 「交渉」はできないが、有休消化などの「希望」は伝えられる
  • 貸与物の郵送は自己負担だが、転職エージェントと提携しており無料で転職サービスを受けられる

ポイント:連携の転職エージェントで決定した場合、全額キャッシュバック(条件あり)がある

余談ですが、代表取締役の1人は別名「刺青社長」と呼ばれており、キャラクターの濃さでも有名です。コーポレートサイトの自己紹介もかなりユニークで、思わず笑ってしまいます。

弁護士が対応する「弁護士法人みやび」

  • 一律55,000円(交渉の成功報酬として、追加料金あり)
  • 代行業務を弁護士が直接行うため「交渉」ができる
  • 請求と交渉のすべてが可能で、他社にはできない慰謝料や賠償金の請求にも対応できる

ポイント:他社と比べて依頼費用はかかるが、安全で確実なサービスを受けられる

自分に必要なサービスと価格を比較して、最適な業者を選びましょう。また相談だけなら無料なので、依頼時の対応で判断するという手もあります。

最後の逃げ場として

退職代行サービスは、辞めたくても辞められない状況に追い込まれた人の手助けになります。

若者の利用を筆頭に、この合理的で新しいサービスは徐々に浸透しつつありますが、ここで1つ警鐘を鳴らしておくべきでしょう。

冒頭で述べた通り、筆者も「辞められない」の被害者でした。しかしその異様な状況を、私は自分の力で解決しました。退職代行サービスが当たり前になる社会が理想かというと、それは果たしてどうでしょうか。

体調不良や精神的理由など、やむを得ない場合はもちろん必要なものになりますが「面倒だから」という安易な理由で利用することは勧められません。 手当たり次第人に頼っていては、自己解決ができない人間になってしまいます。

サービスを利用する際は、そんなことも判断材料の1つに入れてほしいです。