証券営業マンが成功しやすい転職先。スキルを活かせる業界・業種を紹介

証券会社の営業から転職する前に考えるべきこと

証券会社の営業から転職する前に考えるべきこと

証券会社の営業は、まず日経新聞を読んだり、5:45から始まるモーサテを見たりと朝が早いのが特徴です。

また、他業種より残業は少ないものの、飲み会等の付き合いも多くなっています。年齢が上がっていくほど課される目標も大きくなっていき、手数料ではなく資産額を増やしていく流れから新たな資金や新しい顧客を開拓していく必要もあります。

そういった中、寝る時間が遅くなってしまう上朝は早いことから体調を崩してしまう恐れがあること、与えられる目標が重く達成できないとストレスを感じてしまう等、転職を考える方は多いでしょう。

 

ネット専業証券会社の手数料競争、今までの顧客基盤となっていた高齢者の方の高齢化等、証券営業の環境も日々厳しくなっています。

 

大学卒の新卒で就職し3年以内に退職した離職率は平成28年3月で32%と、年々平均30%程度で推移しています。業種別でみると、金融・保険業は23%と平均より低いものの(厚生労働省 新規学卒者の離職状況)、うち証券会社の内訳がないもの、銀行に比べると3年目までに同期がほとんどいなくなることから、かなり高いことが予想されます。

 

ただ、転職したいと考える前にいったん転職によるデメリットも考えておきましょう。

 

1.3年以内の退職はマイナス評価となる

企業は、先輩社員とのOJT制度や研修、日々の業務等で3年たつと1人前と考えています。3年以内で退職すると、証券会社の営業としてのキャリアがキャリアとして認められず、新卒と同じようなレベル感で比較されます。

3年以内に辞めるということは入社前に抱いていたイメージと入社後の実際の働き方に差異があったため、辞めることになったと考えられます。しかし、入社前のイメージと入社後の差異は当然どの会社にも生じるもので、次に転職したときも、ちょっとした差異で辞めてしまうのではと思われてしまいます。そのため、同じようなレベルの採用希望者がいれば長く続いいている人を選ぶのは当然でしょう。

 

2.ネガティブな転職理由をポジティブな内容に言い換えられるか?

実際の転職理由は、証券会社の営業が大変で辛くなり転職したかった等あるでしょう。しかし、その理由では辛いことがあるとすぐ辞めてしまうのかと判断されてしまいます。

そこで、会社を辞めることにした理由を本音のまま伝えるのではなく、転職希望先で前向きに働く理由にして、ポジティブな内容に言い換えることが必要です。

 

3.自分の市場価値の把握

新卒の面接を受けるときに自己分析を行うことを必要とされましたが、自分の価値を客観的にみることは難しいものです。日本は新卒採用がメインの企業が多いため、新卒ブランドを失った自分は客観的にみてどのような価値があるのかを考えなければなりません。

証券会社の営業として成績を残していたからといって、違う業種に転職したいなら全く違う見方になりますし、逆に営業成績を残していなくても他業種で活躍できるかもしれません。

 

4. 証券会社は給与水準が高い

結局は給与が高いから続けられるということもあるでしょう。

証券会社の大手3社の平均年収は1,000万円超となっており、月給は定期昇給で毎年自動的に上がり、役が付けば役職分月給が上がります。また、他の業種に比べると役職が上がるのが早く、会社の業績が良ければ大きなボーナスが得られます(逆に悪ければ非常に下がる)。役職が付く4年目以降は特に月給が上がり、ボーナスは安定しないものの、月給は他業種に比べて高い水準となっています。

同じ証券会社や外資系証券会社に転職すれば別ですが、他の業種等に転職すると給与水準は下がる可能性が高いです。

 証券会社の営業から実際に転職した人の転職先

 証券会社の営業から実際に転職した人の転職先

デメリットを考えても転職を考えるなら、どんな転職先があるのかについてチェックしていきましょう。

証券会社の営業をしていた方で多い転職は、証券会社とは限らないですが同じ金融機関が多いです。

それは、経験はもちろんですが、証券会社で取得するFP(ファイナンシャルプランナー)、証券外務員資格、生命保険一般・変額保険、証券アナリスト、内部管理責任者資格等の資格が生かせるからです。また、そういった資格があることで企業側は即戦力として使えるため、就職もしやすくなっています。

一方で、入社3年以内の転職なら全く別分野への転職比率も高くなります。まだ、経験や資格も少なく、他の分野への挑戦もしやすいでしょう。

 

具体的な転職先としては以下のような業種があります。

 

他の証券会社

証券会社で必要とされる資格もあり、さらに実績を残していれば、もっと高い報酬を得られる証券会社でステップアップすることもできます。また、外資系等実力次第でさらなる報酬額が期待できる証券会社へ転職する例もあります。

ただ、今の実績が認められて就職できる可能性が高いため、今の証券会社の営業が辛くて転職する場合はまた同じ業務となり、さらに求められる目標も高くなる可能性があることからおすすめできません。

 

コンサルティング業界

証券営業で培われたコミュニケーション能力を生かして、顧客が抱える課題を分析、提案する力を大いに発揮できます。

証券会社での営業は好きだったけど、顧客資産を損失させるのがストレスに感じたという方に最適でしょう。

 

独立系ファイナンシャルアドバイザー、IFA

FP資格を保有していれば、どの証券会社にも属さず自営業で資産運用の相談に乗ることができます。また、資産運用に限らず、相続、ライフプラン、住宅ローンなどお金の悩みに幅広く対応します。相談だけに乗り相談料を受け取るだけでなく、IFAとして保険会社やネット専業証券会社と提携する、または他の大きなFP事務所に籍を置くことで、保険販売や投資信託・株式取引等で得られる手数料を一部受け取ることができます。

相談業務だけなら顧客のために中立的な提案ができ、販売等で手数料を受け取る場合は自分の頑張りが報酬に直結します。

不動産業界

証券会社で取得した資格は生かせないですが、営業で培われたコミュニケーション能力を生かすことができます。

証券会社では証券外務員の資格がないと株式取引ができませんが、不動産影響では、資格がなくても仕事はできます。宅地建物取引士の資格があればよいですが、入社後に取得しても良いでしょう。また、最近では不動産取得時、不動産運用に対して、顧客の全体の金融資産、ライフプランに合わせた提案ができることが求められるため、証券会社で取得したFPの資格を生かすこともできます。

銀行、信託銀行

銀行で株式取引はできませんが、投資信託や保険の販売が行われています。

証券会社ほど目標が厳しくなく、証券会社では顧客の自己申告がないと資産がどれだけあるかわかりませんが銀行なら預けている預貯金で資産額が分かるので提案もしやすくなっています。

銀行側も資産運用の提案ができる人材を求めているため、実績があるなら採用されやすいでしょう。

トレーダー

トレーダーには、証券会社や保険会社等の機関投資家として債券等を売買し、運用益により評価される会社員としてのトレーダーと、個人で売買し運用益はそのまま自分の報酬となる個人型のトレーダーがあります。

前者は大きな金額で運用し、損は自分で被らず会社の損失となりますが、その重責は重いものとなります。後者は自分の資産で運用するため、損は自分が被らなければなりませんが、自己責任で会社に縛られることはありません。

証券会社等のトレーダーは、東大、早稲田、慶応などの難関大学の新卒入社の人が総合職採用され配属されます。証券会社によっては入社前に希望してそのまま配属されることもありますが、多くの証券会社はまず営業を経験してから3年目以降に配属されます。中途で採用されるためには、トレーダーとしての実績が必要とされるでしょう。

 証券会社の営業が転職でアピールすべき5つのポイント

 証券会社の営業が転職でアピールすべき5つのポイント

証券会社の営業として働いた経験をせっかくなら、転職時のアピールポイントとして伝えたいものです。証券会社の営業がアピールできる5つのポイントを紹介します。

1.具体的な営業実績

同じ営業職として転職をするなら、過去の営業実績を具体的に示すことが重要です。

同じ証券会社への転職なら、手数料は〇円、預かり資産純増額〇円、会社のキャンぺーンで〇位に入った等具体的に示すことで、入社後どれだけ実績を残せるかイメージをもってもらえるでしょう。実績を残していない場合でも、前職で頑張っていた過程を具体的に説明することでイメージが良くなります。また、証券会社で取り扱いしていた商品について説明することで、金融機関であればどんな商品に対応できるのか判断してもらえるでしょう。

2.経済、マーケット動向の知識、資格

同じ金融機関に転職するなら、株式市場、経済ニュースなど毎日目にしながら仕事をしてきているため、経済動向、マーケット動向を把握しています。そのような知識を持っていることで、金融機関の転職なら有利に働きます。

また、証券会社では株式取引を行うことから、投資信託の基礎知識はもちろんですが投資信託は株式で運用されているため投資信託への知識が深く、今や保険会社、銀行、信託銀行等でも投資信託販売に力を入れていることから即戦力として求められるでしょう。

そして、資産運用できる保険の販売も行っているため、保険会社の営業だと医療保険には詳しい人材は多くても、資産運用できる終身保険や外貨建終身保険等の知識、為替動向に強い人は少ないため重宝されます。

証券会社に勤めていれば、保険の一般・変額、FPの資格を持っていることが多いことから、転職先でも資格を生かすことができます。

3.コミュニケーション能力の高さ

証券会社は特に富裕層に営業することが多いため、企業の社長、地主の方たちを相手にしています。そのため、どんなに地位がある方にも、物怖じしない度胸とコミュニケーション能力が身についています。また、大切な資産を預かる金融機関であることから、マナーが徹底されており、顧客に対する接し方、手紙の書き方などきめ細やかな気配りができる能力が身についています。

4.忍耐力

証券会社ほど営業目標が高く、上司から目標の達成度合いの突き詰め方が厳しい業界はないでしょう。つまり、証券会社に勤めたことがあれば、どこでもやっていける忍耐力があるといえます。

目標を達成するために何をするべきかを考え、必ず達成しようとする目標達成力も高いはずです。

5.営業力の高さ

証券営業マンはコミュニケーション能力が高い人が多いため、契約、購入までのプロセスであるセールストークが上手で、実際に契約成立、購入してもらうための最後の押しが強いところも長所です。相手の反応をうまく見ながら、営業できるところは大きな強みでしょう。

転職活動を成功させる秘訣

転職活動を成功させる秘訣

まず、営業という仕事が好きなのかを自己分析しましょう。

営業職は売上目標など個々に振り分けられます。また、売上目標がない場合でも他の部署または他の会社との間に立って仲裁をする役目になります。人とのコミュニケーションが好きでそれを仕事にしたいとまだ考えていればよいですが、営業目標を達成できないことや人と人との間に入ることが苦手だと感じたのであれば、前職の経験が生かされないかもしれませんが営業以外に転職して長く続けることが大切です。

 

次に、今度は入社前のイメージと入社後の働き方にミスマッチを起こさないために、転職先のリサーチを綿密に行いましょう。

新卒時には、企業名を聞いたことがある、CMで見たことある、そのグループ会社など名ばかりで選んでしまったこともあるでしょう。次の転職なら、会社名、知っている商品を取り扱っているなどに惑わされず選びたいところです。自分が求める働き方、給与体系、自分の経験が生かせるか、向いているか等で慎重に選びましょう。

 

ただし、それには情報収集が欠かせません。

会社側が好意的に教えてくれることもありますが、悪い面に関してはこちらが積極的に聞く必要があります。転職フェアや会社説明会などで採用担当者、実際希望部署で働く人に直接聞いて、ミスマッチを防ぎましょう。

 

最後に、就活エージェントを利用するのもおすすめです。

就活エージェントとは、就活のプロが就職活動を内定までサポートしてくれるサービスです。

転職希望者一人ひとりに担当アドバイザーがついてくれるので、個々人の希望や能力に合わせた転職先を紹介してくれます。仕事をしながら転職先を見つけるのであれば、効率的に転職先を見つけることができる転職エージェントはおすすめです。

 

また、履歴書や面談等の相談もでき、自分なら目がいなない企業も紹介してもらえます。利用料は無料で、就活エージェントは就職するとその就職先企業から報酬を得ます。ただ、企業紹介、会社説明会の参加への勧誘などがあり、自分のペースで就活をしたいと考える方には煩雑に感じるかもしれませんが、転職までの短い期間なので、うまく付き合いながら、希望の就職先を見つけるのが成功の秘訣でしょう。