ボーナスとは何か? 改めて確認をしよう

ボーナスは賞与ともいわれ、毎月定期的に支払われる給与とは別に支払われる特別な給与のことを指します。

もとは、標準以上の成果をあげた労働者に対して支払われた賃金の割増分のことを言い、一説によると、明治時代に岩崎弥太郎が三菱会社で社員に賞与を支給したことが民間で初めてのボーナスの支給だったと言われています。

日本では主に夏と冬の2回支払われるという企業が多いですが、支払いの時期や回数に規定はなく、「労働基準法」によって支払いの義務があるものと定められているわけではないため、支払うと決めた場合のみ、労働条件に加わることになります。

ボーナスは必ず支払われると決まっているものではなく、日本ではボーナスを支給しないという会社も少なからず存在します。

中小企業では月給の1~2ヶ月分程度という会社や、業績が悪化した会社では労働組合との話し合いによって会社の商品などをボーナスとして現物支給するという場合もあります。

ボーナスは支払いの義務ではないため、業績によって会社が支払うか支払わないかを決めることができ、ボーナスがちゃんと支給されるか気になるという場合は、会社の就業規則に賞与の支払いについての記載があるかどうか・どのように書かれているかを確認しておきましょう。

ボーナスが出ることは、必ずしも有利なことではない?

年俸制の企業ではもともとボーナスを年俸に見込んでいることが多く、ボーナスを出していないということもあります。

まとまった額を支払われるボーナスがないということで損をしていると感じることもあるかもしれませんが、年収が年齢による平均額と同等程度出会った場合はボーナス分の金額が月給に割り振られているということになり、業績によって額面が左右されるボーナスよりも安定した給与をもらえるといえます。

ボーナス分が月給として支払われることで基本給のベースが高くなると、基本給をベースに算出することの多い「残業代」や「時間外手当」も高くなり、年収が安定していることでローンを組むときにも有利に働くという可能性があります。

給料が安いけれどボーナスが多いという会社では、業績が悪化した場合にボーナスが激減して年収が大幅にダウンするという恐れがあるため、賞与が高さに目を付けるよりも、基本給で検討をしたほうが収入の安定につながるということもあります。

ボーナスの支給日について

ボーナスの支給日は企業などによって異なります。

公務員のボーナス支給日

夏のボーナスは6月30日と法律で定められており、冬のボーナスは12月10日と法律で定められています。

一般企業のボーナス支給日

ボーナスの支払いは会社によって異なり、日本では夏と冬の年に2回という場合が多いですが、決算期に年に1度のみという会社や夏と冬に加えて決算賞与の年3回支給されるという会社、決まったボーナスはなく業績がいいときだけ決算賞与として臨時ボーナスをもらうことができるという会社もあります。

決算賞与や特別賞与は特定の日が決まっていない場合が多いため、多くの会社で採用されている年に2回のボーナスの場合は、いつ頃支給されるのかということを確認しておきましょう。

夏のボーナスは公務員より遅い7月上旬であることが多く、具体的には7月10日ごろの金曜日に支給される企業が多いです。

冬のボーナス時期は会社によって異なっており、大企業や国家公務員・地方公務員は12月10日に支給されることが多く、一般的には公務員の冬のボーナスの時期と一緒で12月5 日・12月10日頃に支給するという企業が多いですが、民間の中小企業では12月下旬や12月25日頃に支給をするという会社もあります。

ボーナスの支給額について

公務員のボーナス支給額

国家公務員のボーナスは毎年8月の「人事院勧告」によって給料の何ヶ月分を支給するかが算定されますが、国家公務員の給与やボーナスは50人以上の規模の民間企業の4月の平均給与に合わせて改定されます。

地方公務員の場合は国家公務員に準じることが多いですが、自治体の条例によって異なり、自治体の財政状況などを考慮して決められるケースがあります。

民間企業の業績がよければ公務員のボーナスも上がり、民間企業の業績悪化によって公務員のボーナスも引き下げられるという仕組みになっています。

一般企業のボーナス支給額

ボーナスの支給額については、一般的に就業規則の給与に関する項目に「ボーナスは給与の〇か月分」と表記されることが多いですが、民間企業は勤め先や勤続年数によって大きく異なる場合があります。

決まった額が一律支給される

定められた範囲の社員に同じ金額のボーナスが支給されるパターンです。

全社員が同じ金額という場合もありますが、勤務期間が短い新卒社員の夏のボーナスや中途入社した社員の最初のボーナスは一律に同じ金額を支給するという企業も多いです。

月給の〇か月分で支給される

多くの企業で採用されている支給方法で、月給をボーナスの支払い基準額としており、月給の違いで支給額に差をつけています。

実際に何か月分になるのかはその時の企業の業績によって決まるため、春闘によって論争の焦点になることもあります。

月給の〇か月分に個人の業務成績を反映する

同じ企業の同じ年次の社員でも、業務成績によってボーナスの金額が変わるという、賞与本来の能力給制度を採用し業績がボーナスに反映される場合には、「考課査定期間」や「算定期間」と呼ばれる業績を評価する期間が決められています。

一般企業のボーナス支給額の平均はどれぐらいなのか

公務員のボーナスは等級や年齢からいくら貰えるのか計算がしやすいですが、一般企業の支給額は企業毎によって違います。

まずは業界・規模でどの程度差が発生するのか見てみましょう。

一般企業の産業別ボーナス平均支給額

産 業

支給事業所における労働者

1人平均賞与額(円)

鉱業、採石業等

389,926

建設業

450,199

製造業

518,204

電気・ガス業

750,450

情報通信業

679,407

運輸業、郵便業

401,668

卸売業、小売業

344,685

金融業、保険業

561,516

不動産・物品賃貸業

410,220

学術研究等

631,181

飲食サービス業

70,398

生活関連サービス等

146,402

教育、学習支援業

570,434

医療、福祉

309,561

複合サービス事業

473,448

その他サービス業

214,699

調査産業計

389,926

参考/厚生労働省「毎月勤労統計調査 平成31年2月分結果速報等  表2 平成30年年末賞与の支給状況」

特にボーナスが高い産業は電気・ガス業、2番目に高いのは情報通信業となっており、人の生活に欠かせないインフラ業は高い傾向にあるということが見て取れます。

飲食サービス業や生活関連サービス・その他サービスなど、サービス業全般はほかの業界に比べて著しく低い傾向にあるということがわかります。

一般企業の企業規模別ボーナス平均支給額

企業規模

支給事業所における労働者

1人平均賞与額(円)

きまって支給される給与に対する支給割合(○ヶ月分)

500人以上

666,695

1.54

100~499人

451,176

1.29

30人~99人

343,981

1.13

5人~29人

264,969

1.00

参考/厚生労働省「毎月勤労統計調査 平成31年2月分結果速報等 表2 平成30年年末賞与の支給状況」

企業規模が大きいほど、基本給に対するボーナスの支給割合が高く、企業規模が大きいほど基本給も高いことが多いため、ボーナスの支給額も高いという傾向になっています。

30人以下の企業や立ち上げたばかりの企業の場合、ボーナスを支払う余裕がないことやそもそもボーナスの規定を設けていないということが考えられます。

一般企業の企業規模・年齢別ボーナス平均支給額

年齢

10~99人規模の企業

100~999人規模の企業

1000人以上規模の企業

~19歳

8.1

13.2

18.2

20~24歳

29.9

38.7

45.7

25~29歳

43.9

63.9

84.2

30~34歳

52

76.6

107.8

35~39歳

59.9

86.1

128.3

40~44歳

64.5

98.2

147.8

45~49歳

65.5

107.9

171.5

50~54歳

64.4

110.5

192.3

55~59歳

61.2

107.8

185.4

60~64歳

42.2

62.5

93

65~69歳

25.9

32.2

55.3

70歳~

24.7

24

36.1

参考/e-Stat政府統計の総合窓口「平成30年賃金構造基本統計調査」

100~999人の社員を抱える中規模の企業も、1000人以上の社員を抱える大規模の企業も、50~54歳のボーナス平均額のピークに向けて高くなっていき、その後は下り坂になり、多くの会社で定年となる65歳を超えると急激に少なくなるという結果が出ています。

100人以上の企業では年間のボーナス額が100万円を超える場合もありますが、99人以下の企業では最高でも70万円以下となり、20代前半の年間のボーナス額は月給の1ヶ月程度(年2回の場合は0.5ヶ月分ずつ)であるという結果が出ています。

年度別年間平均給料と平均賞与

年度

平均給料

平均賞与

賞与割合

(a÷b)(%)

金額(a)(千円)

金額(b)

伸び率(%)

平成20年分

3,650

646

▲6.0

17.7

22

3,530

581

3.6

16.4

24

3,490

590

▲0.5

16.9

26

3,526

625

2.6

17.7

28

3,571

645

▲0.5

18.1

29

3,642

680

5.4

18.7

30

3,710

697

2.5

18.8

参考/国税庁「平成30年分 民間給与実態統計調査 調査結果報告」

平成20年分に起きたリーマンショック以降、平均賞与額は大きく下がっていましたが、近年では上昇傾向にあり、平成29年分の調査では平成20年分を上回る回復を遂げたことがわかります。

ボーナスは支給金額だけに注目してはいけない

日本においてボーナスを支給される企業では、夏と冬の2回支給されるということが多く、給料の○ヶ月分といったまとまった金額を受け取ることのできる機会になります。

ボーナスの規定がない会社も多く存在していますが、業績によって支給額の決まるボーナスではなく、ボーナスと同等の金額が月給に含まれているという場合があるため、所属している企業の規模や自分の年齢による年収を照らし合わせて、どれぐらいの差があるのかということを確かめてみることで、ボーナスの有無で損をしているかどうかを確かめることができます。

転職を考えている場合には、転職後の会社の規則によってボーナスがどう定められているのかを確認することはもちろん、中途採用の場合いつからボーナスの対象となるのかを確認することで、夏・冬のボーナスを受け取ることができるのかがわかります。

会社の規則によっては査定期間中に一定期間以上在籍をしていないと支給されないという場合もあるため、支払日在籍要件を確認しておくといいでしょう。

支払日在籍要件を確認しておくことで、多くの企業でボーナスが支給される6月・7月にボーナスを受け取ってから退職して、スムーズに転職先に入社することで新たな職場でも次期のボーナスを受け取るということができるなど、スケジュールを把握して転職活動をおこなうことができます。

ただし、必ずしもスムーズに転職をおこなうことができるわけではなく、転職が内定してから入社までの期間を長く待たせることもできないため、ボーナスに固執してしまうと、せっかく決まった転職を水泡に帰する結果にする可能性が考えられます。

在職中に転職先が決まっている場合や、キャリアアップによって給料アップが決まっているという場合には、ボーナスを諦めてでも転職を済ませて、新しい会社で実績を重ねて評価を高めることで、結果的にボーナスを含めた年収を高くすることができる可能性があります。

ボーナスの使い道として多いのは、「預金・貯金をする」「旅行の資金に利用する」「外食をおこなう」「ローンなどの返済に使う」ですが、急な経済打撃によって業績が悪化した場合、必要以上にボーナスを期待・依存していると、支払いが滞ってしまうということも考えられます。

ボーナスの支給は年収に大きく関わるため、ボーナスの有無や額に一喜一憂するのではなく、業界や企業規模・年齢の相場を確認したうえで低いと感じた場合は、転職などによってキャリアアップをはかり、生涯賃金を上げるようにしてみましょう。