「リストラとは何ですか? 」と聞かれた時、多くの方は「会社をクビになること」と答えるのではないでしょうか。

世間では、リストラ=クビ(解雇)というイメージが強く根付いていますが、解雇はリストラの中の一つの選択肢であり、実際はリストラ=クビ(解雇)ではありません

もし、リストラ=クビと認識してしまっている場合、会社でリストラが行われると通告されたときにパニックになってしまうことでしょう。そうならないためにも、まずは「リストラとは何か? 」を理解しておくことがとても重要です。

また、リストラの基礎知識をもっていることで、違法なリストラを見極めることができ、すぐに対策を取ることができるようになります。今回の記事は、リストラの基礎知識をはじめ、違法なリストラを見極めるポイントと対策法も紹介していきます。

リストラについて知ろう!

まずは、「リストラとは何か」を正しく理解しましょう。

リストラとは?

リストラは「リストラクチャリング」の略称であり、意味は場・事業の再構築」です。

一般的にはリストラを行うというと解雇がセットでついてくるようなイメージがありますが、職場・事業の再構築の仕方は様々です。

例えば、A・B・Cの3部署がある会社でA部署に機械を導入することになり、A部署の人員を削減するためにリストラを行うことになった場合のケースをみていきましょう。

部署リストラを行う前リストラを行った後
A部署100人50人
B部署30人50人
C部署20人50人

A部署にいた100名の従業員を50人にまで減らし、その分、残りの50名を人手の足りていないB部署とC部署に異動させ人員を増員させました。

上記の例では、解雇は行わずに会社内で人事異動を行うことで、事業の再構築を図りましたが、これもリストラの一つなのです。

解雇とは?

リストラ=解雇ではないことを先ほど解説しましたが、リストラの中には解雇という手段ももちろんあります。

次は、リストラにおける解雇に焦点を当てて、リストラ(解雇)を行うための条件や違法となるリストラはどのようなものなのかを解説していきます。

また、解雇にも種類があり、それぞれに定められた条件があるため、まずは解雇の4つの種類を知っておきましょう。

解雇の4つの種類

1. 懲戒解雇

懲戒解雇は、行為規範に違反した場合に、会社が労働契約を一方的に解除する解雇の方法で、解雇の中でも最も重い処分です。

2. 論旨解雇(ろんしかいこ)

論旨解雇は、懲戒解雇に相当する程度の事由がありながら、会社の酌量で懲戒解雇より処分を若干軽減した解雇のことをいいます。

3. 普通解雇

普通解雇は、懲戒処分としてではなく、雇用契約を会社が一方的に打ち切る解雇の方法です。

例えば、労働者が労働契約上の労務を提供しなかったなど、労働契約上の債務を履行しなかった場合などが普通解雇に該当し、客観的に合理的な理由がある場合のみに遂行が可能となっています。

4. 整理解雇

整理解雇は、経営上の理由によるやむをえない場合に行う人員整理のことをいいます。

事業の継続が困難な場合、会社側から労働契約を解除することは法律で認められていますが、整理解雇を行う際には一定の条件を満たしている必要があります。(後述にて紹介:整理解雇の4つの条件)

リストラを行うための条件

リストラというと、突然に解雇を言い渡されるイメージがありますが、実際に企業側が従業員を解雇する場合には、一定の条件を満たす必要があります。

特に整理解雇を行う場合は、通常の解雇よりも厳しい条件を満たすことが求められるため、そう簡単に従業員を解雇することはできないのです。

整理解雇を行う際の4つの条件

では、企業が整理解雇を行う場合にはどのような条件をクリアしなければならないのでしょうか?

整理解雇をする際の4つの条件をみていきましょう。

1. 人員削減の必要性

整理解雇を実施するには、まず経営上で解雇が必要であることが条件となります。

2. 解雇回避の努力

整理解雇は経営上の理由があることが条件ではありますが、整理解雇を回避するためにできる限りの努力を行わなければなりません。

例えば、解雇の前に以下のような回避方法を考えられるでしょう。

・解雇の該当者を他部署に異動させることはできないか

・残業を削減することでコストを削減できないか

・希望退職者はいないか

・アルバイトや派遣社員を削減することはできないか

3. 人選の合理性

整理解雇をするには、「誰を整理解雇するのか」、「なぜ該当人物を整理解雇するのか」などの整理解雇該当者の人選の理由が合理的である必要があります。

具体的には、勤務地・所属している部署・担当している業務・会社への貢献度・年齢・勤続年数などが挙げられます。

4. 解雇手続きの妥当性

整理解雇を行う前に、労働者側に対して整理解雇の必要性や手続きについて十分な説明を行う必要があります。

また、会社側は経営状況や人事などすべてのことを総合的に判断し、整理解雇が妥当かどうかを判断することが重要となります。

リストラが厳しく制限される理由

リストラ(整理解雇)は、法律上でも簡単に実施できないようになっています。

整理解雇は会社側の都合で行う人員削減ですので、会社側が解雇権を乱用できない仕組みが整えられているのです。

労働契約法 第十六条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして、無効にする

【参照】労働契約法 第十六条

整理解雇はリストラの中の一つの選択肢

一般的に「リストラ=クビ」と認識されているのは「整理解雇」のことがほとんどです。

整理解雇は会社の経営上の理由から人員の解雇を行うリストラの方法ですが、会社の経営が悪化していても、人事異動などの方法でリストラを行うこともあるため、整理解雇はリストラの中の一つの選択肢にすぎないということは覚えておきましょう。

リストラは解雇だけではない

リストラは事業の再構築という意味があることを冒頭で解説しましたが、そのためにはさまざまな手段があります。

では、解雇以外にどのようなリストラの手段があるのかみていきましょう。

解雇以外のリストラの方法

解雇以外の主なリストラの方法は、以下の7つです。

1. 退職推奨・早期退職

会社の経営が悪化し、人員を整理したい場合に、退職の推奨が行われることがあります。

退職推奨は、リストラ対象の従業員に自主的な退職を促すことで、その方法は、退職金を増額する代わりに早期退職を要求したり、自主的に早期退職を希望する従業員を募集したりと様々です。

2. 配置転換

リストラにおいて人事異動が行われることは多いです。

特に、キャリアアップが目的でない別の部署への異動などの配置転換は、よく実施されています。

3. 降格

リストラで会社側から解雇を行いたくない場合、降格させることで自主退職を促していくケースがあります。

4. 転籍

会社の経営状況が悪化した際に、解雇ではなく、関連会社や子会社に籍を移す場合があります。

5. 有期雇用契約の雇い止め

経営が悪化して人員を削減しなければならなくなった場合に、契約社員や派遣社員などの有期雇用契約の雇い止めを行うケースがあります。

6. 人件費以外の経費削減

リストラでは、人事を動かすことで経費を削減するのではなく、人件費以外の経費を削減することもあります。

7. 不採算部門の整理

経営の悪化が起きた場合、不採算部門の縮小や撤退、または人事の異動が行われることがあります。

リストラが違法になる場合

リストラが簡単に行えないことを前述でも解説しましたが、リストラを行うためには一定の条件があり、それをクリアしていない場合は違法である可能性が高いので、注意が必要です。

特に、会社が整理解雇を実施し、解雇を言い渡された場合に、「なぜリストラされたのか」を理解していないと、その後の人生において引きずってしまうことにもなりかねないため、そのリストラ実施に違法性がないかを見極めることは非常に重要です。

では、リストラの違法性を見極めるポイントをチェックしていきましょう。

リストラの違法性を見極めるポイント

リストラを見極めるポイントは以下の2つです。

どちらも大切なものですので、しっかり確認してくださいね。

1. 度を越えた退職勧奨ではないか

退職を勧められて拒否したにも関わらず、執拗に退職を勧められたり、退職させるために嫌がらせを受けたりした場合、退職推奨ではなく退職強要と評価され、違法となる可能性があります。

刑法 第二百二十二条

  1. 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
  2. 親族の生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
  3. 前に二項の罪の未遂は、罰する。

【参照】 刑法 二百二十二条

2.整理解雇の4つの条件を満たしているか

整理解雇は、解雇権の乱用を防ぐために、一定の条件を満たさないと実施できない仕組みになっています。ですので、もし企業側が整理解雇の条件を満たしていないのに従業員を解雇した場合、違法となります。

では、整理解雇の4つの条件を振り返りながら、違法な整理解雇の見極めポイントをチェックしていきましょう。

人員削減の必要性

経営上の問題で人員削減の必要性がある場合は、ある程度企業側の判断が尊重されます。

しかし、整理解雇をしつつ人員を採用している場合は、整理解雇の必要性が否定される可能性が高いです。そのため、会社都合で解雇が言い渡された方は、企業が本当に人員削減の必要性があるかを見極めるようにしましょう。

 解雇回避の努力

企業が解雇を回避するための努力を怠っている場合は、整理解雇が認められない可能性があります。

企業の経営が悪化した場合に、解雇以外にも経費の削減や人事異動、配置異動、有期雇用契約の雇止めなどの手段でリストラを行うことができるため、企業がそのような解雇回避の努力をしているかどうかは不当な解雇であるかを見極めるポイントとなります。

人選の合理性

整理解雇の対象者を決定する際は、人選の理由が合理的かつ公平」「対象者決定に関わる運用も合理的」になっている必要があります。

客観的にみて納得できる理由でないと不当解雇に当たる可能性が高いです。

解雇手続きの妥当性

解雇の対象者や組合に対して、整理解雇の必要性、規模、方法、基準などを十分に説明し、協議において労働者に納得してもらうための企業努力をしていることが整理解雇のひとつの条件となっています。

また、解雇予告は原則として30日前までに行わなければならず、独断で急に整理解雇を実行することは認められていません。

リストラを違法と感じた時の対策

リストラの違法性を見極めるポイントをチェックしてきましたが、実際に違法性が疑われるリストラをされた場合、どのように対処したらよいのでしょうか?

不当なリストラを受けてそのままにせず、正しい対策をとることができるように、リストラに遭った場合の対策方法を確認しておきましょう。

リストラを通告されたら解雇理由通知書を請求しよう!

労働者は解雇されそうになった時に、会社に解雇の理由を具体的に聞くことが労働基準法で認められています。

その際に、会社は労働者に解雇理由通知書を渡す義務があり、それによって会社都合で労働者を不当に解雇するなどの解雇権を濫用することを抑制されているのです。

もし、会社から急に解雇を言い渡された場合は、まず、解雇理由通知書を請求するようにしましょう。

解雇の理由は具体的に

解雇理由通知書によって証明されるのは「労働者が解雇されたこと」と「その理由」です。

解雇理由通知書では、解雇の理由を具体的に示さなければならないため、就業規則の条項に当てはまる解雇の場合は、就業規則の該当条項の内容と、それに至った事物関係が通知書に記載されている必要があります。

解雇理由証明書を拒否されたら

解雇理由通知書の作成を会社に拒否された場合、内容証明郵便などを利用して書面で解雇理由通知書を請求することができます。

解雇理由通知書を求めるのは労働者の権利として認められているため、もし会社が出すことを拒否した場合も、怖気づかずに請求するようにしましょう。

リストラに違法性を感じた場合はしっかりと対策をとろう!

「リストラ」と聞くと、真っ先に「解雇」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?

実際は、リストラは事業の再構築という意味であり、解雇はリストラの一つの手段であるため、もし、会社でリストラを告知されたら、まずは落ち着いて会社の状況を把握するようにしましょう。

そして、もし、解雇通知がきた場合は、解雇理由通知書を請求し、不当な解雇でないか? 解雇の理由は何か? を確認するようにしてください。

また、会社側がリストラ(解雇)を行う前に、法的に定められた条件をクリアしているのか、などもチェックし、リストラに違法性がないかをしっかりと見極めることも大切です。