女性が退職する割合は男性よりも多く、辞めるリスクを抱えながらも退職に踏み切る人が多いです。
職場でミスをした、職場の人間関係に疲れた、家庭の事情など退職する理由はさまざまあり、年齢にかかわらず退職を決断しています。
退職しようか迷うとき、周囲の女性はどんな理由で辞めているのか、どんな方法で円満退職を目指しているのかは気になるところです。
今回は、年齢別に見た女性の退職理由と円満退職のポイント、退職する際に意識しておきたいことを中心に解説していきます。
退職する女性の割合は高い
女性は就職してから結婚・妊娠・出産などライフイベントが多く、 厚生労働省「-令和2年雇用動向調査結果の概況-」によると男性よりも女性の方が離職率が高いことがわかります。
令和2年のみにフォーカスしても、女性の離職率は15.9%、男性は12.8%、約3.0%女性が多く退職している状況です。
女性が退職する理由には個人のライフイベントとの関係があると思いますが、実際にはどのような理由で退職しているのでしょうか。
次は、年齢別に見た女性の退職理由を探っていきます。

年齢別でみる女性の退職理由とは?
女性の退職理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
職場関係や個人の事情などさまざまあると思いますが、ここでは年代別に女性の退職理由を見ていきます。
自分に当てはまる部分を参考にしてください。
20代の退職理由
20代は新卒から入社数年目など社会人経験が浅い年代になりますが、その目線で感じた違和感が退職につながる傾向があります。
はじめに20代の退職理由から見ていきましょう。
職場が合わなかったため
新卒で入社して実際に働いていく中で徐々に「こんなはずじゃなかった」などと違和感を抱き退職する人は多いです。
自分が望んでいた部署に配属されなかった、上司と合わない、職場での人間関係がうまくいかなかったなど職場が合わなかったことが主な理由となっています。
20代前半はほとんどの方が新社会人のため、実際にその会社で働く自分を想像して職場を選ぶのは難しく、「内定をもらった」「いいな」と思ったなどの理由で就職する人もいます。
中には好きなことを仕事にしたいと考えて選んだ会社だったけど、実際は窮屈で思っていたのと違うと感じる人も少なくありません。
さらに女性の場合は、上司からセクハラやパワハラ、ジェンダーハラスメントを受けたことに耐えられず退職する人もいるのです。
キャリアアップのため
女性が今の会社への入社を決めた理由が自分のキャリアのためのファーストステップだった場合、計画的に20代で転職することもあります。
20代の方が転職しやすいこと、国内では終身雇用を見直す企業が増えていることなどを踏まえ、自分のキャリアアップを目指す女性も増えているのです。
キャリアアップのために退職する場合、次の転職先を決めているケースもあるでしょう。
福利厚生に不満があるため
仕事自体には興味があっても、会社の福利厚生が整っておらず退職する女性もいます。
近年では妊活休暇・育児休暇・生理休暇・フレックスタイム制度など女性が活用しやすい福利厚生を導入する企業が増えているものの、男性が多い職場ではまだ理解が得られない企業も多いです。
将来、自分のライフステージが変わったときのことを考えると、この職場で働き続けることに不安を感じて退職を選択する人もいるのです。
また、働く女性が企業を選ぶ基準としても、自分が望む福利厚生が整っていることを条件とする人が多くなっています。
30代の退職理由
30代は入社してから5年以上、30代後半ともなれば10年を超える人もいる世代です。
また、20代で転職した人も含めると20代前半に比べて会社に対し俯瞰したり会社の将来を考えたりできるともいえます。
結婚・妊娠・出産・子育てなどのライフイベントが発生する人も多いですが、どのような理由で退職を決めたのでしょうか。
結婚・出産のため
30代になると、結婚や出産・育児などのライフイベントが生じる女性は多いです。
今の企業ではこれらのライフイベントに理解がない、必要なときに休めないなど働きにくさを感じて結婚や出産のタイミングで退職する人も多いのが現状です。
ライフイベントに対して理解度が低い上司や会社にいると、女性の方が肩身の狭い思いや居づらさを感じるようになり、本当は働き続けたいと思っていても転職を決意するケースも少なくありません。
内閣府 男女共同参画局「女性の年齢階級別労働力率の推移」を見ると、昭和50年・昭和60年・平成7年・平成24年のどの年でも30代になると女性の労働力率が一旦低下していることがわかります。

昇進・昇給への不満があるため
30代は、ある程度の仕事量や裁量を持ち、同期の中でも給料や役職に差がでる時期です。
同じ仕事量でも性別により給料に差がある、裁量に差があるなど不満を抱く女性は、能力や実力で判断してくれる企業に入るために退職します。
特に近年では女性の社会進出が進み、男女の格差を無くそうという動きも見られます。
昇進や昇給への不満がある女性のなかには、自ら行動して仕事への満足度を高める人もいるのです。
40代の退職理由
40代は職場で役職に就いたり、責任が増えたりと活躍の場が増える世代です。
家庭を持つ女性なら育児や介護に割く時間が増える人もいるでしょう。
ここでは40代の女性の退職理由を見ていきます。
育児のステージが変化したため
家庭を持つ女性の場合、40代になると育児に追われたり育児が落ち着いたりとライフイベントの変化があります。
特に育児が落ち着いた方は、今までは家庭と育児の両立を考えていたけれど、そろそろ自分のキャリアを再開したいという人もいることでしょう。
キャリア再開とともにキャリアアップを目指す場合は、今の会社を退職してより良い条件の会社に転職することがあります。
すべての企業で40代女性のキャリアアップに好意的なわけではありませんが、これまでの実績や経験をもとに退職する女性は一定数います
育児が落ち着いた女性のキャリアアップに対する福利厚生が整っている会社に入ることが、この場合の退職理由といえるでしょう。
両親の介護のため
40代の親世代は人にもよりますが、70~80代と高齢になってきます。中には介護が必要な方もいるでしょう。
40代女性が家族と話し合って女性自身が介護を担当することになった場合、思うように働く時間を持てず退職する人はいます。
介護は介護サービスを利用すればある程度は働く時間を確保できますが、フルタイムでの利用となると料金面の負担も大きくなります。
自分で介護する場合は要介護者の状態によっては常に付き添いが必要だったり、身辺のケアが重労働だったりと仕事を辞めざるを得ない状況となるでしょう。
また、仕事と介護の両立を希望していても、上司や会社が介護にあまり理解がない場合は、居づらくなり退職するしか選択肢がないというケースもあります。
体力的な都合のため
40代になると男女ともに体力の衰えを感じる場面が出てきます。
特に、デスクワークなど体力を必要としない仕事に就いている女性は、フルタイムでの勤務がきつく感じるなど、働き続けたいけど体力的に厳しいと思う人もいます。
また、40代女性は更年期やその他の病気を患う場合もあり、これまでと同じように働くのは辛い人もいるでしょう。
会社を休むほどではなくても毎日勤務するのがキツイ、体力的に厳しいと言う理由で退職する人もいるのです。
円満に退職をするためのポイント
女性が会社を退職する際、多くの人が円満退職を考えます。
できるだけもめずに退職したいと思っていても、現実的に思うようにいかない場合もあるでしょう。
ここでは、女性が円満に退職するためのポイントを紹介します。
これから退職を検討している方はぜひ目を通してください。
退職前に上司に相談する
退職する決意を固める前に、今の会社で改善して働き続ける方法はないか上司に相談してみてください。
会社側としてもなんの相談もなく退職したいと伝えられただけでは、状況の把握や退職したい理由を理解しにくいからです。
また、事前に相談しておけば上司の反応や対応も変わる可能性があるでしょう。
自分の中で退職すると決意していたとしても、事前に上司との面談や相談の機会を設けて、不満に思っていることや退職を考えていることを伝えてみてください。
改善の余地がないか相談してから退職の意思を伝える方が、上司としても納得しやすいでしょう。
早めに会社に意思を伝える
退職したいと会社に伝える際は、混乱を避けるためにも早めに伝えることが必要です。
民法では原則2週間前までに退職したい旨を伝えれば退職自体はできるとしているものの、円満な退職を目指すなら数ヶ月前には伝えておくことをおすすめします。
早めに伝えておくことで会社も余裕を持って後任者を探せることや、引き継ぎなどの時間も十分に取れるでしょう。
退職願やその他書類の記録を残しておく
退職願をはじめ退職の際に記入した書類はすべて記録として残しておいてください。
退職金や雇用保険適応のための離職票などは、退職後に生じるさまざまな手続きの際のトラブル防止に役立ちます。
書類のデジタル化が進んでいますが、退職に関する書類は紙媒体で残すことがおすすめです。
一部デジタル発行された場合は印刷して残しておくと良いでしょう。
引継ぎを完璧に行う
退職する際の引き継ぎは、余裕をもってしっかりと行いましょう。
完璧な引き継ぎとなるためには、後任者が一人で仕事ができる状態が目安となります。
後任者から退職後に確認の電話がくるような事態を防ぐため、引き継ぎ後に伴走期間として一定期間一緒に働く時間を用意するのもおすすめポイントです。
女性が転職する際に意識すべきこと
ここまで女性が退職してしまう理由を中心に見てきました。
女性の年齢やライフスタイルにもよりますが、今の会社に不満がある場合は退職して完全に仕事を辞めるのではなく、自分の条件に合う会社に転職するのも1つの方法です。
転職する際は再度会社に不満を抱いて転職することがないように、「ワークライフバランスが整っているか」「ライフイベントへの理解・ケアがあるか」「女性に必要な福利厚生が整っているか」をしっかりチェックすることが大切です。
今はライフイベントや女性に必要な福利厚生に関してあまり必要性を感じていなくても、将来的に自分にライフイベントの変化が起きることも考えられます。
福利厚生についてもあるかないかだけでなく、社内の利用率や利用しやすさも一緒に確認しておきましょう。
女性に必要な福利厚生の利用率や利用しやすさで、女性の働きやすさを判断することができるからです。
転職先企業で何年働くとしても長期的な目線で考え判断することが重要です。
転職エージェントを利用すれば、女性に配慮している企業に出会える可能性は高まる
自分に合った企業を選びたいなら、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントは、担当のキャリアアドバイザーが利用者の経歴や希望条件をヒアリングし、考慮した上で最適な企業を紹介してくれます。
応募する企業が決まった場合は、履歴書や職務経歴書の書類の添削や面接の練習など、採用選考に必要な対策サポートもしてくれるので、一人で転職活動をするよりも通過率が上がる可能性も高まるでしょう。
また、内定後は入社後の給与や待遇、入社日のスケジュール調整など細かい交渉事も表立って行ってくれるため、自分では言いにくいことも上手く交渉してもらうことができます。
自己分析や企業分析を怠り、「とにかく今の職場から逃げたい」「福利厚生が欲しい」など目先の考えだけで転職先を選んでしまうと、また同じような職場環境担ってしまう恐れもあります。
会社は、長く付き合っていくものなので今の状況だけで判断せずに、将来を見据えて選ぶことが重要です。
再度、合わない会社に入り転職を繰り返さないためにも、転職エージェントを利用して、長いスパンで見て自分に合う会社を選ぶことをおすすめします。
転職のプロである担当キャリアアドバイザーに女性が働きやすい雰囲気の職場など、自分が希望する社風を伝えることで、あなたにぴったりの業界や企業を紹介してもらえる可能性が高まります。
さらに、福利厚生は企業により内容が異なるため、自分に必要かつ希望する福利厚生を担当キャリアアドバイザーと一緒に考えてみましょう。
そうすることでよりマッチ度の高い企業を絞り込むことにつながります。
加えて、面接での上手い言い回し方、ポイントも教えてもらえるため選考に通過しやすくなることが期待できます。
転職エージェントの利用料は無料なので初めて転職する方はもちろん、以前の転職でしっくりこなかった方にも、一度利用してみることをおすすめします。
転職エージェントを活用して転職を成功へと導いていきましょう。