ここ数年でポータブルスキルが話題になっています。

ポータブルスキルを身に付ければ仕事で成果が上がったり、人間関係を円滑にできたり、部下のマネジメントが上手くいったりとメリットが非常に多いと言われています。

今回はポータブルスキルとは?という基本情報から、身につけるのに必要なこと、強化の仕方、そして転職に有利に働くかなどを確認していきましょう。

ポータブルスキルとは

『ポータブルスキル』という言葉を最近よく耳にします。

何かと話題になっていますが具体的にはどのようなスキルで、どのような場面で役立つのでしょうか?

ここでは『ポータブルスキル』について詳しく紹介します。

持ち運びができる能力=どこでも通用する能力

「ポータブルスキル(Portable Skill)」は、そのままの意味で『持ち運び可能な能力』を意味します。

こう聞くと「持ち運ぶもなにも、能力ってそもそも自分に身についているものでしょ?」と思ってしまいますが、ポータブルスキルはビジネスで汎用性の高い問題解決やコミュニケーションに役立つ能力を意味する場合が多いです。

キャリア論の中では「業界や職場、企業が変わっても通用するスキル」と定義され、また履歴書では表現できないその人の「人物評価」であり、普遍的な能力に近いスキルと考えられています。

ポータブルスキル3つの構成

「業界や職場、企業が変わっても通用するスキル」と言われてもまだ漠然としているので、ポータブルスキルを3つの構成で考えます。

構成1. 専門知識・専門技術

医学、薬学、科学、金融、営業、食品、文化、法律、インターネット、宗教など様々な専門知識。

システムエンジニア、料理人、医師、営業マン、学者、テレフォンオペレーターなど、ありとあらゆる専門職がポータブルスキルの対象となる専門知識と専門技術の対象になります。

なぜなら職場や仕事の現場で役立つことのできる知識と技術が含まれ、それはどこでどのように役立つかは分からないからです。

構成2. 仕事の仕方

『仕事の仕方』で成果を上げるには、「課題を明らかにする」「計画を立てる」「実行する」という3つのステップを踏むのが基本です。

仕事をする上での基本的な能力ですが、これをいつでも失敗なくこなせるようにするには訓練が必要となります。

構成3. 人との関わり方

『人との関わり方』は、「社内対応」「社外対応」「部下マネジメント」の3つの重要なことに分けて考えることが可能です。

ポータブルスキルは特に35~55歳の経験豊富なミドル層の人材に対し期待されています。

この世代は企業の要となる世代で、取引先はもちろん上司と部下をつなぐ役割を担う立場にあり、さらには部下に仕事を引き継ぐポジションにいるからです。

参照サイト:ポータブルスキル”活用研修|厚生労働省

ポータブルスキルを構成する『仕事の仕方』『人との関わり方』とは

『専門知識・専門技術』についてはあらゆる業界で身に付けることのできる知識と技術が対象となり、『仕事の仕方』は成果を上げるための3つのステップ、『人との関わり方』は3つの重要な対人マネジメントに分ける事が可能です。

ここでは『仕事の仕方』と『人との関わり方』についてさらに掘り下げます。

仕事の仕方で成果を上げるための3つのステップ

1.課題を明らかにする、2. 計画を立てる、3. 実行する、というステップを踏むことが成果を上げるための『仕事の仕方』となります。それぞれ重要な点を確認してみましょう。

成果をあげるための行動

職務遂行上、重要なもの

課題を明らかにする

現状の把握

課題設定の情報収集の方法や内容、分析

課題の設定方法

設定する課題の内容

計画を立てる

計画の立て方

計画の期間、関係者の多さ、前例の有無など

実行する

実際の課題遂行

本人の役割、スケジュール管理、関係者など

状況への対応

柔軟な対応の必要性など

参照:一般社団法人 人材サービス産業協議会 ポータブルスキル活用研修 講義者用テキスト

仕事をするために最初に課題を明らかにする必要があり、そのために情報を集め分析をします。

課題を明らかにできたら今度は計画です。

ここでも情報分析は必須で計画の期間や関係者の数、そして前例があれば参考にします。

計画ができたら後は実行のみです。

しかし実行している間にもやることが沢山あり、そして何か問題が起ったときは柔軟に対応する必要があります。

人との関わり方で重要な3つの対応

「社内対応」「社外対応」「部下マネジメント」の3つが対人マネジメントで重要なこととなるので、それぞれ重要な点を確認していきましょう。

対人マネジメントで重要なこと

職務遂行上、重要なもの

社内対応

指示に従う必要性、提案を求められる程度、社内の役割期待など

社外対応

顧客、取引先、対象者の数、関係者の継続期間、関係構築の難易度など

部下マネジメント

部下の人数、評価の難しさ、指導・育成が必要なポイントなど

仕事をする以上、多かれ少なかれ人と接しなければなりません。

特に35~55歳の経験豊富なミドル層は中間管理職以上になる人材も多く、上司や取引先だけでなく、部下の育成や仕事の引き継ぎなど様々な対人マネジメントが期待されます。

社内対応では若手なら的確に指示に従えるかが先ず重要ですが、30代半ばを過ぎると今度は指示を与える側となり、部下マネジメントの手腕も問われます。

そして社外対応については企業により変わりますし状況によっても変わるので、コミュニケーション能力の高さが問われます。

ポータブルスキルを構成する『専門知識・専門技術』『仕事の仕方』『人との関わり方』の3つを掘り下げると、『仕事の仕方』は成果を上げる行動として「課題を明らかにする」「計画を立てる」「実行する」という3つのステップにさらに分けることができます。

そして『人との関わり方」も「社内対応」「社外対応」「部下マネジメント」の3つが対人マネジメントで重要なことと考えられるのです。

そしてこれらが『専門知識・専門技術』と合わさり業務を円滑に進めることができます。

ポータブルスキルを身につけるために必要なこと

職場だけではなく転職の際も役立つポータブルスキルですが、身に付けるためにはどうすればいいのでしょう。

身に付けようとする前にポータブルスキルは自分の経験から生まれるものなので誰にでもあります。先ず自分の持っているポータブルスキルがどんなものかを確認してみましょう。

ポータブルスキルはホームページで確認可能

ポータブルスキルを確認するといっても自分を客観視することは簡単ではありません。

自分のことは意外にわからないものです。

そこでおすすめなのが「ポータブルスキルセルフチェックツール」です。このツールを利用すれば簡単に自分のポータルスキルを確認できます。

ポータブルスキルセルフチェックツール

一般社団法人人材サービス産業協議会のホームページでは『ポータブルスキルセルフチェックツール』が用意されており、質問に答えていくと自分のポータブルスキルを確認できます。

自分の経験を振り返る事でもポータブルスキルを確認できる

自分自身の業務経験を振り返り、ポータブルスキルを把握します。今までどんな計画を立てたのか、どうやって解決してきたのかを分析します。

メモ帳などに自分の歴史を箇条書きにして振り返っていくと客観性を掴みやすいです。また文字で見ることで埋もれていた記憶が蘇り、無意識だった自分のスキルに気づけるかもしれません。

ツールだけでも振り返りだけでも自分自身を完全に把握するのは難しいので、すべてを利用して自分の隠れたスキルを見つけ出しましょう。

ポータブルスキルを強化するには

自分が持っているポータブルスキルを把握したら、次にするべきはポータブルスキルの強化です。

ポータブルスキルを強化すれば仕事で成果を上げやすくなり、対人関係もよりスムーズになります。では強化するためにはどのようなことをすれば良いのでしょうか?

自分のポータブルスキルを意識する

先ずは自身のポータブルスキルが何かを確認し把握できたら、今度はしっかりとそれを意識し、現在の弱点を見つめていきましょう。

弱点が分かれば克服するためにはどうするかを考え、解決策を見つけて実行します。

積極的な行動を

自分の仕事を遂行する上で何が必要かを考え、足りないと感じた能力を身に付けます。

また自分から問題・課題を見つけ、解決する糸口を模索することも大切です。

経験自体がポータブルスキルとして蓄積されていくのでムダはありません。

このようにポータブルスキルの強化は、自分のポータブルスキルが何かを確認しそれを意識することから始まります。

あとは自身のポータブルスキルを使い、問題を解決し、経験を積むことで磨かれていくのです。それがポータブルスキルを強化することとなります。

ポータブルスキルは転職を有利にする?

ポータブルスキルがどのように構成され、どのようなことが重要かを確認してきました。

ポータブルスキルは仕事の成果を上げることや対人マネジメントに役立つ物ですが、転職で活かすことはできないのでしょうか?

企業が求めるポータブルスキル

どの企業もポータブルスキルの高い人材を必要としています。

しかし、企業が求めるニーズに自分のポータブルスキルが当てはまっているかどうかが重要です。

例えばプログラムをしたことがないパティシエが、プログラマーに転職しようとしたとします。

この場合、パティシエとしての知識や技術を企業側が求めている可能性は低いです。

『仕事の仕方』と『人との関わり方』は必要とされているかも知れませんが、即戦力にならないと判断される恐れがあります。

自分の持つポータブルスキルの『専門知識・専門技術』『仕事の仕方』『人との関わり方』を、どの企業が求めているかをリサーチして転職に臨むようにしてみましょう。

面接でのアピール

企業が求めるポータブルスキルを持っているならば、経験を交えて面接でアピールします。

特に未経験の職種に転職したい場合や、転職の回数が多い方、35歳以上の方はポータブルスキルのアピールが有効です。

パティシエのプログラマーへの転職例で改めて考えると、パティシエの知識や技術は必要とされていなくても、『仕事の仕方』と『人との関わり方』のスキルを面接でアピールし、採用担当者にこの人材は必要だと思わせることができればいいのです。

実際は専門知識と専門技術もマッチしている企業への転職でアピールするほうが採用への確立が高まります。

ポータブルスキルがハッキリしていると転職の際も実績や資格だけでなく、性格やコミュニケーション能力をアピールすることができるので有利です。

特に自分のスキルにあった職種に転職する場合は強い武器となります。

転職でポータブルスキルを活かすには

ポータブルスキルは転職を有利にしてくれますが、企業ごとに必要としているポータブルスキルは違います。

転職を成功させるには自分のポータブルスキルを必要としてくれる企業を見つけ出さなくてはなりません。

そのためには何をすればいいのでしょうか?

やるべきこと1. 知識・情報を貯める

業界や職種を問わず、知識・情報を貯め、維持することが重要です。

経験もポータブルスキルを磨き上げるものになるため、積み重ねておきます。

やるべきこと2. ポータブルスキルの自覚意識を持つ

自分の経験を客観視し、なぜこの仕事をしていたのか、目的は何かを意識します。

頭で考えるだけではハッキリさせづらい場合は書き出すのがおすすめです。

やるべきこと3. ポータブルスキルを伝える

面接などでポータブルスキルを伝えるためには練習が必要です、具体例を交えて採用担当者にアピールしなければなりません。

また、客観的な視点も自分のポータブルスキルが有用なのかどうかを判断する材料になります。

知識と情報の収集、そして経験はポータブルスキルを磨くことになります。

また、アピールをするにも自分にどんなポータブルスキルが備わっているかを把握しておかなければできません。

本人は無自覚ですが企業側が欲しているスキルをすでに身に付けているかもしれないので、しっかり客観視をしましょう。

また具体例を挙げるときに注意しなければならないのは、前職の守秘義務に触れる事を言ってはならないという事です。

話してはならないことを喋ってしまうと前職に迷惑をかけるだけでなく、面接を受けている企業にも信用できない人物と判断される恐れがあります。

ポータブルスキルは会社でのサバイバル力

ポータブルスキルがどんな能力でどのように役立つか、また転職では有利に働くかどうかを確認してきました。

『専門知識・専門技術』『仕事の仕方』『人との関わり方』の3つの構成要素からポータブルスキルは成り立っており、この能力は職場や職種を変えても役に立つと考えられています。

そのため転職にも強力な武器となり得ますが、『専門知識・専門技術』は転職を希望している企業が必要としているかは確認が必要です。

ただしポータブルスキルが高ければ知識や技術は後から付いてくるものなので、『仕事の仕方』と『人との関わり方』のスキルで乗り切ることも不可能とは言えません。

言わばポータブルスキルは会社で生き残るためのサバイバル能力とも言えます。

転職を考えている方は、まず自分のポータブルスキルを確認してみるのが良いでしょう。 それだけでも一歩踏み出したことになり、新しい自分発見があることでしょう。