退職後に無職期間が発生した時の年金の切り替えはどうする?転職のタイミングを合わせてスムーズに切り替えを

転職するときは、企業の情報収集や面接のことを優先して考えるあまり、年金の手続きを忘れてしまうケースがあります。

勤める会社が変わったときや無職期間が発生すると加入する年金も変わるため、年金は必ず手続きが必要になるものです。

転職した後の年金の流れや無職期間が発生したときの年金の切り替えについて解説していきます。

転職したときの年金はどうなる? 転職後の年金の流れを解説

転職したときの年金はどうなる? 転職後の年金の流れを解説

転職する際に、無職期間がない状態で転職先に就職できる場合は、前職の厚生年金から転職先の厚生年金への加入となり、個人で年金事務所に行って手続きするようなことはありません。

退職した時点で、前職の会社と転職先の会社でそれぞれ手続きをしてもらえます。

ですが、転職活動が上手く行かないときや、転職先の都合で入社日まで期間ができる場合は、事実上の無職期間が発生します。

無職期間が発生したときは例え数日程度だったとしても国民年金の切り替えが必要になります。

厚生年金から国民年金への切り替えについて詳しく見ていきましょう。

年金を切り替える際の手続きについて

まず、厚生年金の脱退手続きは個人では特に手続きが必要ありません。

ですが、会社によっては勤めている間は年金手帳を会社で預かるところがあり、もしも年金手帳を預けていた場合は必ず返還してもらううにしましょう。

これを忘れてしまうと後で前職の会社に取りに行かなければなりません。

次に、厚生年金から国民年金への加入手続きは、これは個人が手続きを行わなければなりません。

具体的な切り替え手続きは、第2号被保険者の資格喪失を意味する厚生年金の脱退手続きと、第1号被保険者への切り替えを意味する国民年金への加入手続きを行います。

国民年金の3つの種類

第1号被保険者

農業などに従事する学生・フリーター・無職の方

第2号被保険者

厚生年金保険の適用を受けている方

第3号被保険者

第2号被保険者の配偶者

(年間収入が130万円以上で扶養をはずれる方は第1号被保険者になる)

国民年金への切り替えは、原則として退職日から14日以内に、居住する地域の市区町村役場の年金担当窓口で手続きを行います。

手続きの際に必要なものは次の通りです。

<国民年金加入手続きに必要になるもの>

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 退職証明
  • 離職票
  • 免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書

仮に期日の14日間を過ぎたとしても特段の罰則は定められていませんが、社会人としては退職日から14日以内の期日を守るようにしたいものです。

厚生年金から国民年金に切り替えたとき年金保険料は二重に支払うの?

厚生年金から国民年金に切り替えたとき、気になるのは年金保険料がダブらないかということです。

年金保険料は二重に支払うことはなく、厚生年金か国民年金かのどちらかを支払うようになります。

例として、3月20日に退職して21日から国民年金に加入したとしましょう。

この場合は、2月まで厚生年金、3月から国民年金保険料を支払うようになります。

ただ、最後にもらう前職の給料から厚生年金保険料が控除されるかどうかは会社によって異なるため、給与明細などでしっかり確認するようにしてください。

また、厚生年金から国民年金に切り替えたあとは、後日、年金保険料に関する書類が郵送されます。

その書類に記載されている金額を支払うことで保険料を納付したことになるので、忘れずに期日内に支払うようにしましょう。

年金未加入の空白期間が発生しないように転職するにはどうしたら良いのか

年金未加入の空白期間が発生しないように転職するにはどうしたら良いのか

転職の際に年金の手続きをしないでいると、何の年金にも加入していない年金未加入の空白期間が発生してしまいます。

年金は日本国内に住所があるすべての方が加入を義務付けられているため、できるだけ空白期間が発生しないように納付しなければなりません。

年金未加入の空白期間を避けるために、どんな手続きをすれば良いのでしょうか。

年金未加入状態の空白期間を避けるにはタイミングよく切り替え手続きすることが必要

年金未加入の空白期間を避けるには、タイミング良く切り替え手続きをすることが有効です。

厚生年金から厚生年金に切り替える場合は、前職の退職日と転職先への入社日が同じ日になれば問題なく、1日も未加入の状態にならずに済みます。

前職を3月31日に退職、転職先に3月31日に入社というイメージです。

厚生年金から国民年金に切り替える場合は、退職日から14日以内に切り替え手続きを行い、退職日の次の月から国民年金を支払うことで未加入の状態を未然に防ぐことができます。

扶養する配偶者の分の切り替え手続きを忘れずに

転職の際に扶養する配偶者がいる方は、配偶者の分の年金の切り替え手続きが必要です。

例えば、夫が厚生年金に加入している会社員で、妻が扶養されている場合、妻は第3号被保険者となり夫の厚生年金で一括して保険料を負担しています。

そのため夫が転職により厚生年金から厚生年金に切り替える場合でも、妻の分の手続きが必要となるのです。

また、夫が厚生年金から国民年金に切り替える場合は、配偶者も居住する地域の市区町村役場で手続きが必要になるため注意が必要です。

夫婦で年金未加入の空白期間を避けるためにも、配偶者の分も一緒に手続きしてしまうことをおすすめします。

個人事業主やフリーランスはどうなるの?

会社員から個人事業主やフリーランスに転職する場合は、厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要になります。

個人事業主やフリーランスは厚生年金への加入ではなくなるため、必ず国民年金に加入するようになります。

この場合も空白期間を避けるために、退職後14日以内の手続きをおすすめします。

年金未加入状態の空白期間が発生した場合どんなリスクがあるのか解説

年金未加入状態の空白期間が発生した場合どんなリスクがあるのか解説

転職に向けて情報収集や面接準備が忙しく、うっかり年金の手続きを忘れてしまった場合どうなるでしょうか。

無職期間が発生したときに国民年金への切り替え手続きをしなかった場合、国民の義務である年金にどんな影響を与えるのか見ていきましょう。

年金未加入=未納となり受け取る年金額に影響する

転職活動に忙しくするあまり国民年金への切り替え手続きを忘れてしまった場合、その月は年金未加入の状態となります。

年金未加入のまま数ヶ月忘れてしまったとしても、慌てて手続きを取る必要はありません。

国民年金機構では、個人の年金加入記録を基礎年金番号によって管理していて、会社を退職して厚生年金の脱退手続きが取られた後、国民年金や別の会社の厚生年金に加入した記録がないときは、国民年金加入の通知を発送しています。

国民年金加入の通知が届いたら、その内容に従って手続きを行い、未納となっていた年金を納付すれば未納だった期間の分を納付することができます。

ただ、年金加入記録の照会には時間がかかることが多く、通知が届いたときには数ヶ月分の国民年金保険料の一括納付を求められるため、思わぬところで大きな出費となる可能性があるでしょう。

令和2年4月~令和3年3月分の国民年金保険料は月額16,540円で、仮に3ヶ月分を一括納付する場合49,620円、6ヶ月分なら99,240円にもなります。

また、通知を受け取ったときに一括納付できずに事実上の未納期間が発生してしまった場合は、2年以内であれば後からでも納付することができます。

最大で2年と多少時間がかかってしまったとしても、しっかり納付しておけば受け取る年金額が減ることはありません。

2年を超えて納付できなかった場合は未納期間が出来てしまい、将来受け取る年金額が減る可能性が出てきます。

受け取る年金額が減るような事態を避けるためにも、納付期限内に納付することが難しい方は、居住地の年金事務所に相談することをおすすめします。

参考:国民年金保険料の納付方法(最終確認2020/07/24)

どうしても支払えないときは免除してもらうことができる

国民年金保険料を期限内にどうしても納付できないときは、年金事務所に相談することで免除や納付猶予期間を設けることができます。

未納のままで放置しておくのではなく、居住地の年金事務所で「国民年金保険料免除・納付猶予制度」の手続きを行うことで、実質の保険料の免除や減額・納付猶予が承認され、承認された期間は年金の受給資格期間に参入してもらえるようになるのです。

ただし、将来の年金額としては、免除になった期間は年金を治めたときに比べて2分の1になり、納付猶予になった期間は年金額に反映しないといった措置が取られます。

免除になった場合は実質、年金保険料を納付しないのでその期間中は将来もらえる年金額が2分の1でカウントされるのは仕方ありませんが、それでも未納のまま放置しておくよりはずっと良いでしょう。

免除や納付猶予期間を経て、年金保険料が支払えるようになったときや、将来の年金額を増やしたいときは、年金保険料を後から納める追納が可能です。

追納は、追納が承認された月の前10年以内の免除期間・猶予期間に限られています。

原則、古い期間から納付となり免除額に応じて支払う金額も下の表のように異なるため、追納を検討する方は支払う年度と月額をチェックしておきましょう。

10年分を一括で納付できないとしても数年分だけでも納付しておけば、将来受け取る年金額を少しでも増やすことに貢献します。

令和2年度中に追納する際の保険料

年度

全額免除

4分の3免除

半額免除

4分の1免除

平成22年度

15,550円

11,660円

7,780円

3,880円

平成23年度

15,340円

11,500円

7,670円

3,830円

平成24年度

15,190円

11,390円

7,590円

3,790円

平成25年度

15,160円

11,370円

7,580円

3,790円

平成26年度

15,310円

11,490円

7,650円

3,830円

平成27年度

15,640円

11,730円

7,810円

3,910円

平成28年度

16,290円

12,210円

8,150円

4,070円

平成29年度

16,510円

12,380円

8,250円

4,120円

平成30年度

16,340円

12,250円

8,170円

4,080円

令和元年度

16,410円

12,310円

8,200円

4,100円

参考:国民年金保険料の追納制度|日本年金機構(最終確認2020/07/24)

年金の未納期間を避けるにはスムーズな転職がおすすめ! 間を置かずに転職しよう

年金の未納期間を避けるにはスムーズな転職がおすすめ! 間を置かずに転職しよう

各種年金の未納期間が発生しないようにするには、無職期間を作らないでタイミング良く転職することが有効です。

無職期間を1日も作らないようにするためには、退職日と入社日を同じ日にすると良くスムーズに厚生年金を切り替えることができます。

もしも、すでに転職活動が終了していて、あとは入社日を決めるだけの状態になっているなら、退職日を入社日と同じ日にするよう調整するのもおすすめです。

ただ、人によってはリフレッシュする期間が欲しい! という方もいます。

そういった方はリフレッシュ期間に入る前に、厚生年金から国民年金への切り替えが必要だということをしっかり覚えておくようにしてください。

自分の気持ちばかりを優先して、年金の切り替えをせずに気づかないまま放置し続けてしまうような事態は絶対に避けるようにしましょう。