毎年国税庁が発表する平均年収。今回はどの程度だったのでしょうか。
そこで今回は、日本の平均年収や分布、中央値や過去の推移などをまとめて詳しく紹介します。
自分の年収と照らしあわせてチェックしてみてください。
目次
日本の平均年収は441万円、ただし注意点も
平均年収を掲載している国税庁の民間給与実態統計調査結果が2019年9月に更新されました。
この資料に基づき、日本の平均年収を読み解いていきましょう。
平均年収は441万円、男性が545万円、女性が293万円
最新版のデータによると、日本の平均年収は440万7千円。前年が432万2千円となっており、2.0%の増加となっています。
また男女別に見ると、男性が545万円で女性が293万円とおよそ2倍のひらきがあります。
給料と賞与の内訳
年収は給料と賞与を合算したもの。ではこの内訳はどうなっているかをみていきましょう。
まず男女合計では給料が371万円、賞与が69万7千円となっています。
前年は給料が364万2千円、賞与が68万円なので、増加率はそれぞれ1.9%と2.5%です。
例年も、給料よりも賞与の伸び率が高い傾向にあります。
給料と言うのは一度上げてしまうと下げるのが中々困難。一方で賞与は経営状況によって下げるのも簡単。
だからこそ、景気が良くなり経営状況が良くなった分は賞与を上げるケースが多いのです。
なお男女別にみると以下の通りです。
男性
給料:455万1千円(前年比2.5%増)
賞与:89万9千円(前年比3.0%増)
女性
給料:251万9千円(前年比2.5%増)
賞与:41万1千円(前年比3.0%増)
正社員のみならずパート、アルバイトの短時間労働者も入っているので注意、では正社員の年収は?
この平均年収を見る上で注意しなければいかないのは、パートやアルバイトなど短時間労働者も含まれている点です。
正規(正社員)・非正規(パート・アルバイト・派遣社員・契約社員・嘱託社員など)の割合は以下の通り。
- 正規:3,321万7千人、74%
- 非正規:1,167万2千人、26%
約4分の1が非正規社員とかなり高い割合を占めています。
非正規社員の中でも派遣社員や契約社員などでフルタイムで働いている人もいますが、約70%はパートやアルバイト。
働く時間が少なければ年収も当然少なくなりますから、全体の平均年収はフルタイムで働いている人に限定した場合よりもかなり少なくなります。
では正社員に限定した場合の平均年収はどの程度になるでしょうか。その結果は以下の通りです。
- 男女計:503万5千円
- 男性:559万9千円
- 女性;386万円
先ほどの全体の結果に比べるとかなり高い値になります。
ちなみに非正規社員の平均年収は以下の通りになっています。
- 男女計:179万円
- 男性:236万円
- 女性;154万1千円
年齢別の平均年収一覧
続いて年齢別の平均年収の一覧をみていきましょう。
年齢 | 男女計 | 男性 | 女性 |
19歳以下 | 137万円 | 162万円 | 114万円 |
20~24歳 | 267万円 | 284万円 | 249万円 |
25~29歳 | 370万円 | 404万円 | 326万円 |
30~34歳 | 410万円 | 470万円 | 315万円 |
35~39歳 | 448万円 | 528万円 | 314万円 |
40~44歳 | 476万円 | 581万円 | 319万円 |
45~49歳 | 502万円 | 635万円 | 313万円 |
50~54歳 | 529万円 | 682万円 | 322万円 |
55~59歳 | 520万円 | 686万円 | 298万円 |
60~64歳 | 416万円 | 537万円 | 242万円 |
65~69歳 | 326万円 | 410万円 | 211万円 |
70歳以上 | 306万円 | 382万円 | 206万円 |
年収700万円ときくとかなり高収入だと思う人も少なくないかもしれませんが、50代男性だとほぼ平均値なんですね。
またこの数字は先ほど述べたように短時間労働者も含めた値。
国税庁の民間給与実態統計調査結果では正社員のみに限定した年齢別の平均年収は掲載されていない為、厚生労働省の賃金構造基本統計調査を参考に紹介します。その結果が以下の通りです。
年齢 | 男女計 | 男性 | 女性 |
19歳以下 | 256万円 | 265万円 | 238万円 |
20~24歳 | 330万円 | 344万円 | 315万円 |
25~29歳 | 412万円 | 433万円 | 381万円 |
30~34歳 | 477万円 | 509万円 | 409万円 |
35~39歳 | 528万円 | 569万円 | 427万円 |
40~44歳 | 571万円 | 620万円 | 453万円 |
45~49歳 | 622万円 | 682万円 | 473万円 |
50~54歳 | 663万円 | 735万円 | 481万円 |
55~59歳 | 653万円 | 719万円 | 477万円 |
60~64歳 | 481万円 | 513万円 | 391万円 |
65~69歳 | 404万円 | 421万円 | 355万円 |
70歳以上 | 386万円 | 395万円 | 362万円 |
パートなど短時間労働で働く人の割合が多い女性は、正社員に絞ってみると平均年収はかなり上がります。
また男性は正社員に限定すると30代で500万円、40代で600万円、50代で700万円というのが平均です。
年齢別の平均年収一覧
業種 | 平均年収 |
建設業 | 502万円 |
製造業 | 520万円 |
卸売行・小売業 | 383万円 |
宿泊業・飲食サービス業 | 251万円 |
金融業・保険業 | 631万円 |
不動産業・物品貸出業 | 446万円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 759万円 |
運輸業・郵便業 | 445万円 |
情報通信業 | 622万円 |
医療・福祉 | 397万円 |
学術研究・学習支援業 | 498万円 |
複合サービス業 | 437万円 |
サービス業 | 363万円 |
農林水産・鉱業 | 312万円 |
最も平均年収が高いのは電気、ガスなどインフラ系でなんと700万円超え。
一方で最も低いのは宿泊業、飲食サービス業で251万円。給料が低い、休みも少ない、ブラック企業が多いと有名な業界です。
ただこの業界はパートやアルバイトが多い為、極端に年収は下がってしまっています。
正社員に限定した年収を確認したい方は、以下の記事を参考にしてください。
関連:業種別の平均年収ランキング、年収が高い業種・低い業種はどこ?20代・30代・40代でそれぞれ紹介
平均年収の推移、給料って上がっているの?
では続いて、過去10年の平均年収の推移を見ていきましょう。
平均年収は微増
年 | 平均年収 |
平成20年 | 429万6千円 |
平成21年 | 405万9千円 |
平成22年 | 412万円 |
平成23年 | 409万円 |
平成24年 | 408万円 |
平成25年 | 413万6千円 |
平成26年 | 415万円 |
平成27年 | 420万4千円 |
平成28年 | 421万6千円 |
平成29年 | 432万2千円 |
平成30年 | 440万7千円 |
6年連続で平均年収は上がっていて、平成24年と比較すると32万7千円の増加です。
ただ平成20年と比べると10年で11万円しか増えていません。
リーマンショックにより2009年(平成21年)に平均年収が大幅ダウン。
2018(平成30年)年にようやく同程度まで回復し、2019年でようやくそこそこ上回ったという形です。
社会保険料などの増加により手取り額は減少
一応は上昇傾向にある平均年収ですが、だからと言って10年前より生活が楽になったかというとそういうわけではありません。
10年前に比べると社会保険料などの控除額が増えている為、手取り額で見ると減少しているのです。
健康保険料率は平成20年と比較すると労働者負担分で1%以上上昇しています。厚生年金料率は労働者負担分で1.5%以上上昇しています。
同じ年収500万円でも、手取り額は10年前と比べて10万円近く減少してしまっているのです。
年収の中央値ってどれくらい?
では続いて年収の中央値を見ていきましょう。
まず年収事の分布は以下の通りになっています。
年収 | 男女計 | 男性 | 女性 |
100万円以下 | 8.1% | 3.3% | 15.0% |
100万円~200万円 | 13.7% | 6.6% | 23.8% |
200万円~300万円 | 15.2% | 11.0% | 21.0% |
300万円~400万円 | 17.2% | 17.3% | 17.2% |
400万円~500万円 | 14.9% | 17.8% | 10.8% |
500万円~600万円 | 10.2% | 13.5% | 5.6% |
600万円~700万円 | 6.5% | 9.2% | 2.8% |
700万円~800万円 | 4.4% | 6.4% | 1.5% |
800万円~900万円 | 2.9% | 4.4% | 0.7% |
900万円~1,000万円 | 1.9% | 2.8% | 0.4% |
1,000万円~1,500万円 | 3.6% | 5.6% | 0.8% |
1,500万円~2,000万円 | 0.8% | 1.2% | 0.2% |
2,000万円~2,500万円 | 0.3% | 0.4% | 0.1% |
2,500万円以上 | 0.3% | 0.5% | 0.1% |
全体の中央値は300万円から400万円に位置し、およそ370万円程度であると推定されます。
平均が441万円ですから、かなり下がるという結果になっていますが、これは高年収者が全体の平均を押し上げている為です。
なお男性に限定した場合の中央値は440万円程度、女性に限定した場合の中央値は250万円程度と推定されます。
格差は広がっている?年収300万円以下の人の割合と年収1,000万円以上の人の割合をチェック
よく格差は広がっていると言われていますが、実際のところどうなのでしょう。年収300万円以下の人の割合と年収1,000万円以上の人の割合がどのように推移していったかを見てみましょう。
年 | 300万円以下 | 1,000万円以上 |
平成15年 | 36.0% | 4.9% |
平成21年 | 42.0% | 3.9% |
平成22年 | 40.5% | 3.9% |
平成23年 | 40.8% | 3.9% |
平成24年 | 41.0% | 3.9% |
平成25年 | 40.9% | 3.9% |
平成26年 | 40.9% | 4.2% |
平成27年 | 39.9% | 4.3% |
平成28年 | 39.6% | 4.2% |
平成29年 | 37.7% | 4.5% |
平成30年 | 37.0% | 5.0% |
ここ10年だと平均年収が徐々に増えていることもあって、300万円以下の人の割合が減少しているとともに、年収1,000万円以上の人の割合は増えています。
このデータからは特別格差が広がったとは言えませんが、改善されたとも言えません。
まとめ
年収はここ数年で徐々にあがってきているものの、社会保険料の負担増等によって手取り額は減少、さらに消費税も増税していますから、決して生活は楽になったと言えないでしょう。
ただ今回紹介したのはあくまで平均。
一個人で考えれば、転職して年収アップを狙うなり、副業するなりで、収入を増やす手段はあります。
年収が少なくて不満、給料が上がらなくて不満という人は転職など試行錯誤してみる価値はありそうです。