あなたは仕事中に眠くなって辛い思いをした経験はありませんか?
前の日に夜遅くまで仕事をしていたり、残業続きで疲れていたりすれば、誰でも疲れが溜まって日中でも睡魔に襲われるでしょう。
しかし、中には特別に疲れている訳ではないのに、なぜか仕事をしていると眠くなるという方がいます。
場合によっては、作業効率が低下したり、細かいミスを繰り返したりといった不利益をもたらすケースもあるほどです。
そして、この眠気が必ずしもあなたの自己管理能力のなさなどが原因とは限りません。
原因を理解して、正しい対処をすれば改善できる可能性だってあるのです。
そこで今回は、仕事中に眠くなる原因と対処法について解説します。
また、なにをやっても解消されない場合に考えられる病気についてもまとめてみました。
昼食後に眠くなるのはなぜ?
仕事中に眠くなるという方の中には、昼食後に特に強い眠気に襲われるという方がいます。
では、なぜ昼食後になると強い眠気に襲われるのでしょうか、その原因を確認していきましょう。
そもそも、人間は食事をすると血糖値が上昇します。
すると、体内では膵臓からインシュリンを分泌して血糖値を下げようとするのです。
この急激な血糖値の変化によって、食後は眠気に襲われます。
特に、糖質の多い炭水化物を摂取しすぎると、糖質過多になるので血糖値の上昇が急激になります。つまり、通常よりも強い眠気に襲われる可能性があるという訳です。
食後は、人間の身体の仕組み上、眠気に襲われるのは仕方がないと考える必要があるでしょう。
食事に関係なく仕事中に眠くなる原因5つ
食後に眠気に襲われるのは仕方がありません。
しかし、中には食事に関係なく仕事中に眠くなるケースがあります。
ここでは、その原因について確認していきましょう。
サーカディアンリズムの関係
食事に関係なく仕事中に眠くなる原因1つ目はサーカディアンリズムの関係です。
人間を含めた地球上の生物には、生まれながらに体内時計というものを持っています。
そして、その周期はおおよそ24時間とされていて、それをサーカディアンリズム(概日リズム)と呼ぶのです。
しかし、実は人間のサーカディアンリズムは24時間よりも少し長く、厳密には25時間に近いとされています。
そのため、普通に生活をしているとサーカディアンリズムは少しずつずれて、いずれは夜型になってしまうという訳です。
もちろん、ずれていくサーカディアンリズムは正しい対処法によって整えられます。
これについては、後で解説する「仕事中に眠くなったときの対処法」を参考にしてください。
室内の二酸化炭素の影響
食事に関係なく仕事中に眠くなる原因2つ目は室内の二酸化炭素の影響です。
部屋にたくさんの人がいて、尚且つ換気がしっかりされてないと室内には二酸化炭素が充満します。
そして、二酸化炭素の濃度が上がると強い眠気に襲われると判明しているのです。
アメリカにあるコロラド大学研究所が発表した報告で以下のような結果が出ています。
「高濃度のCO2に曝露すると、CO2の血中濃度が上昇し、脳に行き届く酸素の量が減少する。その結果、眠気や不安感が増し、認知機能が低下する」
参考:@DIME「換気の悪い屋内に長時間いると眠気に襲われたり頭が働かなくなる、米コロラド大学研究報告」
特に、会議中の室内は通常の2~3倍の二酸化炭素濃度になっているとされているので、会議中に強い眠気に襲われるのであればそれは二酸化炭素が原因かもしれません。
デスクワーク中心なら眼精疲労が原因
食事に関係なく仕事中に眠くなる原因3つ目はデスクワーク中心なら眼精疲労が原因です。
一見すると眠気と眼精疲労は無関係に思えるでしょう。
しかし、眼精疲労が続いて慢性化すると、いずれは自律神経に影響を及ぼします。そして、自律神経が乱れることによって、精神的に不安定になったり、どんなに寝ても眠気が解消されないという状態に陥ったりするのです。
一時的な眼精疲労であれば、少しの睡眠でも解消されるので、疲れを残さないためにも適度な休息は取るようにしてください。
寝不足が続いている可能性
食事に関係なく仕事中に眠くなる原因4つ目は寝不足が続いている可能性です。
そもそも、日頃から夜更かしをしていたり、残業続きで夜遅くまで働いていたりして寝不足の状態が続いているなら、仕事中に眠くなるのは当然でしょう。
また、しっかり夜に寝ていても睡眠の質が悪いなどの理由から、寝不足になるケースがあります。
普段から睡眠時間が短いなら、しっかり睡眠時間を確保しましょう。
睡眠時間が適切なのに寝不足を感じるならベッドや枕が悪い可能性があるので、新しいものに変えてみるなどの対処をしてみてください。
メンタル面などの不調による眠気
食事に関係なく仕事中に眠くなる原因5つ目はメンタル面などの不調による眠気です。
先でもお伝えした通り、自律神経が乱れると睡眠障害などを誘発する恐れがあります。
そして、自律神経の乱れは精神的な不安などにもかかわっているので、メンタルの不調で寝不足というのも無関係とは言えないのです。
また、不眠症が慢性的になると、それが原因でうつ病などを発症するケースもあります。
うつ病などを発症すると、最悪の場合は仕事ができないなどの状態に陥る可能性があるので、無理はせずにゆっくりと休息を取りましょう。
休んでも改善されないなら、専門機関で相談することも視野に入れてください。
仕事中に眠くなったときの対処法
仕事中に眠くなる原因が分かったところで、続いては原因に対する対処法を確認していきましょう。
サーカディアンリズムは日光浴でリセット
あなたの寝不足がサーカディアンリズムの乱れが原因なら、日光浴でリセットしてみてください。
というのも、毎日1時間ずつずれるサーカディアンリズムは、早朝に太陽光を浴びることでリセットされると判明しているのです。
また、毎朝同じ時間に起床して、同じ時間に朝食を摂り職場に向かうといった、一定のリズムで生活をしていると、自然にサーカディアンリズムの乱れが修正されます。
仕事中に眠くなるのに目立った原因が考えられない場合は、まず早朝にカーテンを開けて日光浴をして、規則正しい生活リズムを作ってください。
換気をしよう
あなたが会議中など、人が密集していて尚且つ換気がされていない場所で起きるなら、それは二酸化炭素の濃度が上がっている可能性があります。
この場合は、換気をすれば眠気が解消される可能性が高いでしょう。
もしも換気ができない部屋なら、空気清浄機を設置するといった対策でも解消できます。
眼精疲労は仮眠や血流促進で解消
あなたが1日中パソコンを使って作業をしているなら、眠気の原因は眼精疲労の可能性があります。
そして、一時的な眼精疲労であれば仮眠によって解消できるでしょう。
もしくは、目の周りに温かいタオルなどを置くことで、血流が良くなって疲労回復を促す方法も効果的です。
ただし、眼精疲労が慢性的になっている場合は、自律神経にも影響を及ぼしている可能性があるので、その場合は専門家に相談するなどの対処法が必要となってきます。
寝不足なら生活リズムを整える
あなたの眠気が単純に寝不足だというなら、まずは生活リズムを整えるように心掛けてください。
毎朝決まった時間に起床して、朝食を食べる時間や出勤する時間なども決めていきましょう。
そして、夜寝るのもできるだけ早い時間にしてください。
よく平日に寝る時間を削って休日に寝貯めをしようとする人がいますが、これは生活リズムが不規則になるので寝不足の解消にはなりません。
毎日しっかりと睡眠時間を確保してください。
大切なのは、最初は生活リズムを良くするのが辛くても、我慢して同じルーティンを続けることです。
大体2週間程度継続すると習慣化されて、辛さがなくなってくるでしょう。
メンタル面は人に相談しよう
あなたの睡眠不足が精神的な不安などからきているなら、家族や友人などに相談してみてください。
というのも、自分1人で悩んでいても不安は解消されません。
そして、不安が解消されないでいると夜寝るときに不安感が強まって、さらに眠れないという状態に陥る可能性があるのです。
自分1人で解決できない悩みは、思い切って家族や友人に相談してみてください。
話をするだけでも不安感が軽減されて、夜寝られるようになる可能性だってあります。
もしも、家族や友人には話しにくい悩みだったり、話をしても解決できない不安だったりするなら、専門機関を受診するという選択肢も視野に入れると良いでしょう。
仕事中に眠くなる原因を改善しても眠いならナルコレプシーの疑いがある
仕事中に眠くなる原因を突き止めて、それに対応した対処法を実行しても眠気が解消されないなら、ナルコレプシーという過眠症の疑いがあります。
ナルコレプシーとは、昔から知られている過眠症の一種で、日中に突然強い眠気が発生して眠り込んでしまう病気です。
また、ナルコレプシーの眠気は非常に強烈で睡眠発作とも呼ばれています。
酷い状態になると、試験中や取引先との商談の最中に急に眠り込んでしまうケースまであるのです。
さらに、本人からすると眠気が襲ってきたと気が付く前に寝込んでしまうため、自分が居眠りをしていた自覚すらない場合が多くあります。
ナルコレプシーの原因は、脳内のポクレチン(オレキシン)を作り出す神経細胞の動きがなくなることで起こるとされています。
神経細胞が動かなくなる遺伝子異常によって、昼間の急激な眠気を引き起こします。
ちなみに、ナルコレプシーの特徴的な症状として以下の3つが有名です。
- 情動脱力発作:びっくりしたり大笑いしたりした際に全身や身体の一部の力が抜ける症状
- 入眠時幻覚:寝入りばなに出現する幻覚体験
- 睡眠麻痺:寝入りばなに出現する金縛り
もちろん、以上の症状が1度出たからといって、必ずしもナルコレプシーとは限りません。
また、日中の眠気が全てナルコレプシーではありませんが、あまりにも強い眠気に襲われる場合は可能性がゼロとは言えないでしょう。
場合によっては、専門機関の受診が必要なので、自分自身で眠気の原因を考えたうえでナルコレプシーの疑いがあると思ったら、一度病院を受診してみてください。
まとめ
今回は、仕事中に眠くなる原因について解説しました。
日中に眠くなる原因としては、サーカディアンリズムの乱れや二酸化炭素濃度の上昇、眼精疲労、ストレスなどが考えられます。
そして、それぞれの原因によって実行すべき対処法が異なるので、まずは自分がどの原因なのか突き止めるのが先決です。
反対に原因さえ突き止められれば対処法があるので、しっかりと対応すれば日中に睡魔に襲われるといった悩みを解消できます。
ただし、中には精神的なストレスやうつ病、ナルコレプシーといったものから眠気が発生しているケースもあります。これらが原因の場合は、人に相談したり専門機関を受診したりする必要があります。
たかが眠気や睡眠不足と甘く考えず、どうしても解消できないなら確実に解消できるように対処することを強くお勧めします。