労働基準法をしっかり理解していますか?
労働基準法では、残業や休憩時間、労働時間などが決められています。
今回は会社員であるならば、知っておきたい労働基準法について簡単に解説します。
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労働基準法とは賃金や残業、労働時間、休憩時間を定めている
昭和22年に制定された、労働条件に関する最低基準を定めている法律です。
- 賃金の支払い
- 労働時間の原則
- 残業、休日労働
- 休憩時間
- 解雇
- 有期雇用契約
などについて定められた法律です。
労働基準法①、最低限であるということ。
第1条-2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
あくまで、この労働基準法というのは最低限であるということを忘れてはいけません。この法律を理由に、理不尽に賃金などを下げることはだめです。
ましてや、この最低限を守らないなんてもってのほかです。
労働基準法②、有期雇用契約は原則3年。
第14条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。
第14条-2 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。
原則として、有期雇用契約は3年まで。専門的な知識を有する場合や、60歳以上の労働者とは5年までとなっています。
また、第14条-2では以下のこと示します。
・更新有無の明示
・判断基準の明示
・1年を超えて雇用されている場合は満了する30日前までに予告する。
すなわち、なんの予告もなく、すぐ辞めさせられるというのは法律違反です。
労働基準法③、労働条件は、明示されていなくてはならない。
第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
会社の面接時に言われていた給料や勤務時間が、実際に働いてみたら全然違う!なんてよく聞きます。
もちろんNG。会社側は、明示しなくてはなりません。
それは1日がどれほどの労働時間で、どれほどの休憩時間で、残業手当がどれくらいなのかというところもです。
もし実際働いてみて賃金や労働時間、残業手当、休憩時間が違うことがわかった時、雇用者側ができることは契約解除、すなわち会社をやめることだけです。
せっかく受かった会社。泣く泣くそのまま働き続けるなんてことが多々あるのではないでしょうか。
労働基準法④、ミスで損害!それでも払う必要は無し。
第16条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
会社でミスを犯して、損害を出してしまった。損害の補填をしろと言われて、給料を減らされてしまった。そんな話をよく聞きます。
もちろんこれも、法律違反。会社側の損害を個人に被らせてはいけないのです。
決して払ってはいけませんよ。
労働基準法⑤、解雇予告は30日前に。もしくは30日分の給料をもらおう。
第20条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
「明日からもう来なくていい!」なんて、言われてその場でクビになった。
いやいや、明日からなんてダメです。最低30日前には言わないと。
もしそう言われてクビになったなら、あなたは少なくともそこから30日分の平均賃金(※1)を請求できます。
※1 平均賃金:過去3ヶ月間にその労働者に対し、支払われた賃金をその日数で割った金額
労働基準法⑥、賃金は毎月1回、もちろん最低賃金以上。
第24条-2 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
第27条 出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
第28条 賃金の最低基準に関しては、最低賃金法 (昭和三十四年法律第百三十七号)の定めるところによる。
賃金は1ヶ月に1回支払いましょう。という当たり前のことも労働基準法でしっかり定められています。
もちろん、最低賃金以上です。
例えば、営業などで、給料が契約件数による出来高払いの形であったとして、契約件数が0件であったとしても、最低賃金は守らなくてはなりません。
休憩時間に仕事をしたり、サービス残業をしたりで実質守られていない会社が多いですが・・・。
労働基準法⑦、労働時間の上限は40時間/週、8時間/日。休憩は45分or60分。
第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
第32条-2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
完全週休2日制で働いている人は、1日に8時間、週に5日間働いた場合、週40時間となり、問題ありません。これを超える分については割増賃金をもらうことになります。いわゆる残業手当です。
ただ、週休1日制の場合は要注意。もし1日に7時間を6日間働いたとしたら、週42時間。2時間オーバーです。本来であればこの2時間は残業として割増賃金として支払われるべきです。
しかし、これらを許す変形労働時間制という制度があります。
変形労働時間制は1ヶ月以上1年間以内の範囲内で、最終的に週40時間になればいいという制度です。
正月休みやGW、祝日などもありますからだいたい問題なくなります。
また、1日6時間以上から8時間以下の勤務であれば45分、8時間を超えるであれば60分の休憩時間をとらなくてはなりません。
休憩時間でも仕事をしているなんてよく耳にしますが法律違反。
休憩時間はしっかり休みましょう。
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労働基準法⑧、残業、休日出勤は割増し賃金
第37条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
残業、休日出勤であれば、1.25~1.5倍の割増賃金を、60時間以上の残業であれば1.5倍以上の割増賃金を貰うことができます。
あなたの会社は払ってくれますか?
サービス残業って、多くの会社でありますよね。たとえ超有名な大企業であっても、サービス残業をしているとよく聞きます。
むしろ、サービス残業が無い会社のほうが多いのではないのでしょうか。
この法律があるにも関わらず、ここまで当たり前のようになってしまっている点に関して、もう個人でどうこうできるレベルは超えているように感じます。
国として、もっと動く必要があるんじゃないでしょうか。まあ公務員ですらサービス残業しているという話をよく聞きますが。
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労働基準法⑨、年次有給休暇について
第39条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
年次有給休暇については、以下の記事で詳細に説明させていただいているのでご参考ください。
サラリーマンが知っておくべき、年次有給休暇制度。実際どれくらいとってる?
労働基準法⑩、業務で怪我。治療費はもちろん会社。
第75条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
第76条 労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。
業務で怪我をした場合、その治療費は会社が負担するものです。
そして、その怪我の為に休む場合、休業補償をもらえます。
これ出来ていない会社も多々あるという話も聞きます。最悪な場合クビを言い渡されることもあるとか。
労働基準法では、怪我した場合に療養期間+30日間は解雇してはならないという条文があります(第19条)。
即クビなんて許されません。
労働基準法⑪、女性は知っておきたい、女性のための条文。
第64条の3 使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。
第65条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
第67条 生後満一年に達しない生児を育てる女性は、第三十四条の休憩時間のほか、一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
第68条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
女性だけでなく男性も知っておきましょう。
妊婦に無理な仕事をさせてはいけません。また、出産間近(6週間)の人が休業を申し出たら、休ませてあげなくてはなりません。
また、女性は子供が生まれた後は30分×2回の育児時間を請求できます。
生理で体調不良であれば、休むことも可能です。
労働基準法⑫、賃金請求は2年。それより昔は消えていく・・・
第115条 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
サービス残業などで発生した未払い賃金。請求できるのは過去2年までです。退職手当であれば5年まで可能です。
もし、あなたが、2年以上の未払い賃金を抱えているならば、請求することができる賃金をどんどん失っていってしまっているということです。
ただ、その会社で働いているとなかなか請求できるものではありませんね。
労働基準法⑬、罰則
罰則は条文によって、異なります。
一番重いもので、一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金(第5条)。
よくある残業代の未払いは、六ヶ月以下の懲役又は三十万円以下の罰金となっています。
労働基準法は守られていますか?
あなたが働いている会社は、この労働基準法を守っていますか?
労働基準法はしっかりとした法律です。
それにも関わらず、守っていない会社がものすごく多いです。
サービス残業や休憩時間がないだとか労働時間が長すぎるだとか。
あまりにひどいようであれば、会社をやめるという選択肢も考える必要があるのかなと思います。リクナビネクストで自分の転職市場価値を知っておくといいです。
まずは、会社に属して働く人間として、労働基準法で守られている私たちの権利をしっかり理解しておきましょう。
あまりにひどいようなら体を壊す前に会社を辞めるという選択肢も持ちましょう。