契約社員と正社員との違いは?

契約社員とは、企業と雇用期間を定めた労働契約(有期労働契約)を結んで働く社員のことを指し、正社員とは、就業規則の所定労働時間がフルタイムであり、労働契約に期間の定めのない直接雇用の正規職員であることを指します。

2019年に働き方改革関連法案の一部が施行され、個々の柔軟な事情に応じた多様な働き方を「自分で選択する」ことができるようにするという「働き方改革」が推進され、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮することのできる環境を作ることが目標となっています。

さまざまな働き方の中で、会社に直接雇用される立場である「契約社員」と「正社員」の待遇の違いについて、それぞれの項目ごとに詳細を確認していきましょう。

「期限」の違い

契約社員は契約期間が決まっている「有期雇用」の非正規社員であり、正社員は定年まで働くことを前提にした「無期雇用」の正規社員となります。

契約期間中は「やむを得ない事由がなければ解雇できない」という労働契約法に守られており、契約社員の解雇は正規社員を解雇するよりも難しいものとなっています。

有期労働契約は、最短期間は特に規定されていませんが、原則は最長3年、高度専門職や満60歳以上である場合は最長5年と決められており、3年経つと契約は終了となってしまいます。

反復して更新を行うことが可能ですが、現在の労働契約法によって、更新をしても最長5年までと上限を設けているという会社もあるため、労働契約を結ぶ前に確認をしておきましょう。

労働契約の違い

契約社員は契約元の会社と直接雇用となり、雇用期間以外に給与・勤務時間・勤務日・勤務地などの条件を定め、ほとんどの契約社員の給与は月給制が多くなっていますが、年俸制となっていることもあります。

辞令や異動などのある正社員とは違い、契約時に勤務地が記載されている契約社員には転勤や出向などを心配する必要がありません。

社会保険の違い

社会保険や労働保険などの被保険者資格は、労働時間などの加入条件を満たすことで加入義務が発生するため、企業と労働者の間で加入しない合意があったとしても、加入しなければ違法となります。

契約の内容が所定の労働日数・時間を満たした場合は、正社員と同様の保険に加入することになります。

責任の違い

正社員には昇進があり、役職につくことや部下をまとめることが求められるようになりますが、原則契約社員は、基本的に役職が付いて部下をまとめるような立場に就くことはなく、契約の範囲の責任について職を全うすることが求められます。

その他に違うこと

契約社員には一般的に賞与や退職金はなく、労働基準法で定められた有給休暇はあっても 傷病休暇などはなく、休職制度を設けていない会社もあります。

契約社員の「5年ルール」とは

労働契約や社会保険については正社員とほとんど違いのない契約社員ですが、契約社員にとって一番のデメリットは、有効雇用であることによって契約満了時には継続が終了し、次の仕事に必ず就くことのできる補償がないという不安があるというところです。

2012年に改正された「労働契約法」では、同一の契約会社との有期契約期間が通算5年を超えた場合は、本人が望めば次からの契約を「無期契約」にできることになりました。

しかし、5年を超えれば自動的に無期契約に変更されるわけではなく、本人から企業へ対して通知されるものとなっており、あくまで契約期間が無くなるだけであり、契約社員の扱いは変わらないことになります。

契約がいつ終了するのか不安はなくなりますが、賞与や福利厚生などの待遇が変わることや退職金は出ないため、生涯賃金は低くなってしまう可能性があります。

契約社員のメリットとは

また契約社員として働く方の中には、契約社員であることをあえて選択している場合があります。

  • 残業をする必要がない場合が多い
  • 部下ができるなどの、自分以外の責任を負う必要がない
  • 転勤や異動などの辞令などに応える必要がない

転勤を伴う配偶者がおり、転勤するときにはついていくと決めている、芸術関係やほかに本職ややりたいことがあり、縛りの少ない契約社員でいたほうが都合がいいといった点をメリットとして捉えている方にとっては、メリットの多い働き方と言えるでしょう。

他に生活を支える収入があるという場合には、福利厚生や退職金などよりも、自分にとって都合のいい働き方をすることができるということにメリットを得ることができます。

契約社員から正社員になれるのか

5年ルールで契約期間が終了となるときや、無期雇用となって長期間働いている場合、正社員として雇用されることを期待する方もいるでしょうが、どのような場合に正社員登用されるのか否かを確認しておきましょう。

正社員登用が難しい場合とは

正社員と契約社員の仕事内容がまったく違う場合

正社員と同様の仕事を与えられる場合もありますが、契約社員の仕事内容が正社員の補助的な仕事でしかないという会社もあります。

契約社員から正社員に雇用された前例がない

過去に前例がない場合は、会社側が正社員として雇うつもりが最初からないという場合が多いため、難しいと言えるでしょう。

社内規定に当てはまらない場合

社内規定によって、正社員になれる人材の条件として「大卒以上」「年齢」などが、社内のルールとして明確に決められている場合があります。

前例がない場合でも、正社員登用されることが全くないとは言えませんが、前例がないことを覆すだけの実力がないと難しいと言えます。

正社員登用が見込める場合とは

求人欄に「正社員登用あり」と書いてある場合

正社員としての働きに見合うと認められた場合には、正社員になることを打診されることがあります。

過去に正社員登用の前例がある場合

過去に契約社員から正社員に登用された方がいた場合は、どのような点を認められ、どのような条件で雇用されたのかを確認するようにしましょう。

「正社員登用あり」の募集でも注意が必要

「正社員登用あり」と書かれていても、実際はほとんど登用されることがなく、応募数を増やす目的の手段として用いている会社もあるため、その言葉だけを信用していることには注意が必要です。

会社にとって、契約社員というのは安く利用することのできる人材であるため、経営が悪化したときや人員整理が必要になったとき・人手が不要となったときなどに、契約満了という形で契約を切ることで、効率的に経営をおこなうことができるというメリットがあります。

そのような意図で会社が雇っている場合が多いため、仕事を覚えて会社に慣れた契約社員を雇うことにはメリットがありつつも、正社員としてのコストが発生するため、会社にとってデメリットであると判断されてしまいます。

正社員として雇用されることを狙いたいのであれば、本当に契約社員から正社員へ登用の前例があるのか、どれぐらいの人数が正社員登用されたのかを調べておきましょう。

契約社員から正社員になるハードル

契約社員から正社員として登用することを考えた場合、会社としては管理コストや人件費が安く済ませられていたというメリットがあるため、簡単に正社員にするには大きなハードルがあります。

正社員に登用した場合に発生する具体的な管理コストとしては下記の4つになります。

  • 人件費(残業代や賞与・昇級など)
  • 福利厚生費
  • 研修や教育にかかる費用
  • 退職金の積み立て

契約社員が正社員よりも優秀な人材であった場合でも、正社員として雇うことは管理コストがもったいないと考えている会社も少なくありません。

さらに契約社員として雇うメリットは、契約期間が満了すれば雇用を終了することができるため、忙しい時期だけ人手を増やすことや業績によって雇用調整をすることが簡単になり、社員数をコントロールしやすいというところにあるため、正社員登用が難しい要因にもなっています。

正社員へ「転職」した方がよい?

契約社員から「正社員登用あり」というのは、会社によっては前例が無いということや就業内容の違いや社内規定によって設けていないということもあります。

また、会社からの評価が低い場合や会社が求める能力と異なる場合は、前例や制度があっても正社員へ登用されることはないため、いつまでも「正社員登用あり」に期待して会社へしがみついていると、なかなか正社員になることができず、無駄な時間を過ごしてしまう可能性があります。

「正社員登用あり」と募集要項に書いてある場合でも、実際にどれぐらいの人材がどれくらいの期間を経て登用されているのかを確認しておくことが大事になります。

前例があり、おおよそ正社員登用されていると考えられる時期を過ぎても正社員に登用される気配がない場合もあります。

その理由としては下記の3点に当てはまっている可能性があります。

  • 会社側が正社員として雇いたいと考える評価に満たない
  • 会社が求める能力ではない
  • 今は会社が正規の人員を求めていない

確かに今所属している会社の仕事や雰囲気が自分にあっている場合はそのまま正社員になれればメリットは大きいです。

しかし、正社員登用に対してシビアな条件があったり、会社の状況から正社員登用に消極的であれば正社員登用を潔く諦めるということも大切です。

契約の終了前に気持ちを切り替え、他社で正社員として就職することを目指すことで、正社員になるまでの時間を短縮することができ、大切な時間をだらだらと無駄にせずに職歴を積むことができ、福利厚生を利用することや賞与などを得ることができるようになります。

雇用格差は減るけれど、正社員への転職は要検討

2020年の4月から働き方改革関連法が施行され、契約社員などの有期労働契約者は通常労働者(正社員)との待遇差が改善されることが決まっています。(中小企業は2021年4月1日から)

同一労働同一賃金」の導入は、多様な働き方を自由に選択するために、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得することができるよう、同一の企業や団体に所属する無期雇用・フルタイム労働者、いわゆる「正規雇用労働者」と「非正規雇用労働者(有期雇用労働者・パートタイム労働者・派遣労働者)の不合理な待遇差の解消を目指すものとなっています。

契約社員にも賞与や手当などが、正社員の基準に照らしたものを支給されるようになり、2012年に改正された労働契約法によって更新が5年を超過した場合、本人からの申請によって「無期雇用」へ転換することができることになっているため、契約社員として働いていても、無期雇用になれば正社員と同等の待遇を受けることができるのではないかと考える方もいるでしょう。

しかし雇用期間が無期となると、同一労働同一賃金の対象である「短時間勤務」や「有期契約」の労働者から外れてしまうため、無期に転換する前の契約内容に沿った待遇であっても違法ではないということになってしまいます。

無期雇用になることで契約期間の終了に対して不安はなくなりますが、待遇の改善を受けられないことに異議を唱えることができないという可能性も発生してしまいます。

何より、契約社員では出世を望むことができないため、できる業務を増やして収入を増やすためには、正社員へ転職することを目指し、生涯賃金をアップすることができるでしょう。