失業保険はいくらもらえる? 自己都合と会社都合、それぞれの場合

退職の際には、失業中の生活の心配をせずに新しい仕事を探すことができるように、一定の条件を満たすことで失業保険を受給することができます。

求職中の生活を支援するための失業保険ですが、自己都合で退職した場合・会社都合で退職した場合や雇用保険の加入期間・年齢で、受給される金額や日数が決まります。

自己都合退職と会社都合退職とは、どのように違う?

失業保険の受給金額に関わる退職の理由には、「自己都合退職」と「会社都合退職」というものがありますが、どのような退職の場合に「自己都合」「会社都合」と判断できるのか、詳細を確認しておきましょう。

自己都合退職とは

自己都合の退職とは転職・結婚・病気などの理由によって、自ら会社を退職するときを指し、積極的に仕事を探している方が失業保険を需給することができますが、妊娠・出産・病気やケガ・就職するつもりがない・家業や学業に専念する・自営業の方などは、失業保険が支給されません。

配偶者の転職や家族の介護・疾病などによって転職を検討したいという場合などの「正当な理由のある自己都合退職」である場合は「特定理由離職者」と判定され、それ以外の場合は「離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヵ月以上あること」を条件に支給されます。

特定理由離職者とは

自己都合の退職ではあっても、正当な理由のある退職の場合は、失業保険の支給される条件が「離職日以前の1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること」となります。

会社都合退職とは

会社都合の退職とは、経営不振や不況によるリストラ・倒産などによって、解雇・更新の予定のあった有期契約(3年)の打ち切りなどによって、自発的ではなく失業した場合のことを指し、離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6ヵ月以上あることが受給の条件となります。

会社都合の退職となった場合には、「離職日以前の1年間に雇用保険の被保険者期間が通算して6ヵ月以上あること」を条件に、失業手当が支給されることになります。

失業保険はどのくらいの期間・いくらもらえるのか?

自己都合退職と会社都合退職では、だいたいどれぐらいの手当を受けることができるのかを確認していきましょう。

 

自己都合退職の場合

会社都合退職の場合
最短支給開始日7日間と3ヶ月7日間
支給日数90~150日90~330日
最大支給額約118万円約260万円

年齢や勤務年数などによって、支給される日数や支給額が異なり、離職するまでの6ヶ月間の日当の50~80%が支給されますが、年齢に応じた基本手当の上限額が決まっています。

離職時の年齢

賃金日額の上限額

基本手当日額の上限
29歳以下13,630円6,815円
30~44歳15,140円7,570円
45~59歳16,660円8,330円
60~64歳15,890円7,150円

支給される日数は、年齢や勤務年数だけではなく、自己都合退職か会社都合退職かによっても異なります。

自己都合退職の場合

 1年未満

1年以上

5年未満

5年以上

10年未満

10年以上

20年未満

20年以上
全年齢なし90日90日120日150日

会社都合退職の場合

 1年未満

1年以上

5年未満

5年以上

10年未満

10年以上

20年未満

20年以上
30歳未満90日90日120日180日

30歳以上

35歳未満

90日120日180日210日240日

35歳以上

45歳未満

90日150日180日240日270日

45歳以上

60歳未満

90日180日240日270日330日

60歳以上

65歳未満

90日150日180日210日240日

具体的な例をもとに、どれぐらいの年齢の方がどれぐらいの手当を受けることができるのかを確認しておきましょう。

32歳で10年間勤務した方が退職する場合

 

自分都合退職の場合

会社都合退職の場合
支給される日数120日210日
1日の手当額(上限額を超えている場合)7,570円7,570円
満期まで手当を受け取った場合90万8,400円158万9,700

45歳で20年間勤務した方が退職する場合

 

自分都合退職の場合

会社都合退職の場合
支給される日数120日330日
1日の手当額(上限額を超えている場合)8,330円8,330円
満期まで手当を受け取った場合99万9,600円274万8,900円

現在は自己都合退職の場合は7日間の待機期間のあとに3ヶ月の給付制限がありますが、働き方の多様化や雇用の流動化が進んでいるとして、2019年に厚生労働省によって5年間の間に2回までに限り給付制限を2ヶ月に縮めるという方針が示されています。

自己都合の場合の失業保険の申請方法

ハローワークへ書類の提出を行う

住居を管轄するハローワークへで「求職の申込み」を行い「雇用保険被保険者離職票(-1、2)」を提出します。

この時に提出書類が複数あるので、提出に不備が発生しないようにチェックしましょう。

必要なもの

・雇用保険被保険者離職票(-1、2)

・個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のいずれか1種類)

・身元(実在)確認書類(運転免許証・運転経歴証明書・マイナンバーカード・官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)などのうちいずれか1種類、または公的医療保険の被保険者証・児童扶養手当証書などのうち異なる2種類(コピー不可))

・写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚

・印鑑

・本人名義の預金通帳又はキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は指定することができます。)

写真は1枚ではなく2枚必要となりますので注意が必要です。

説明会に参加をする

受給資格の決定後、受給説明会に参加をします。

「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡され、第一回目の「失業認定日」が知らされます。

継続的な失業保険は求職活動が必要

失業手当を受け取るためには4週間に1度求職活動をし、失業認定日に失業認定申告書を提出する必要があり、継続的に失業保険を受け取るには、原則として4週に1度の失業認定を受ける必要があります。

再就職手当とは

早くに再就職が決まってしまうと損だと考えがちですが、失業保険を受給しながら求職活動をし、1年を超えての雇用が確実だという安定したに就いた場合には、「再就職手当」として一時金が給付されます。

就職した日の翌日から1ヶ月以内に申請する必要があるので、スケジュールには気をつけましょう。

自己都合で申請する時の注意点

本当に「自己都合退職」なのか否か

会社都合の解雇であるにも関わらず、会社から自社都合退職を迫られた場合は、労働契約法第五条や民法上では民法七百九条の不法行為などの法律に違反しており、訴えることが可能となります。

裁判例はいくつもあり、有名なものとしては、昭和55年に下関商業高校の教諭が退職を繰り返し強要されて精神的苦痛を受けたとして、違法性が認められたというものがあり、繰り返し執拗に半強制的な退職の勧めをおこなうことは違法行為となります。

特定受給資格者や特定理由退職者である場合、会社都合と同じ扱いになる

自己都合退職をした場合でも、その理由によっては「特定受給資格者」や「特定理由退職者」と認められ、会社都合の退職と同様の扱いを受けることができます。

特定受給資格者とは

特定受給資格者は下記の項目にに当てはまる方となります。

  • 「倒産」や「解雇」によって離職した方
  • 事業所の移転によって、通勤することが難しくなってしまった方
  • 事業所の廃止に伴い離職した方
  • 契約した労働条件と事実が著しく異なり離職する場合
  • 賃金がそれまでの85%未満に低下する・または低下することになったために離職する場合
  • パワハラや嫌がらせなどによって離職した方
  • 時間外労働が長期間にわたって続いたことで離職する方

自己都合退職となっている場合でも、これらの理由によって退職した場合は、特定受給資格者に認められます。

特定理由退職者とは

特定理由退職者は下記の項目にに当てはまる方となります。

  • 有期雇用契約(3年)が満了し、更新されなかった場合
  • 体力不足や心身障害などによって、仕事を続けることができなくなった場合
  • 妊娠・出産などで退職し、受給期間の延長措置を受けた場合
  • 扶養介護が必要となり、仕事を続けることが難しくなった場合
  • 自分や配偶者の転勤などによる別居を回避する場合
  • 事業所が通勤できない場所へ移転となる場合
  • 意思に反して住居の移転を余儀なくされた場合
  • 企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した場合

離職の理由が自己退職都合になっても、会社都合退職と同様の判定を受けることができることがあります。

もし離職票の離職理由に異議がある場合には、ハローワークで求職の申し込みをおこなうときに、ハローワークで相談をおこなうようにしましょう。

「不正受給」には注意

求職活動を行っていないのにしているように虚偽の申告をしたり、アルバイトや内職などで賃金を得ていたにもかかわらず申告をしなかった、入社した日付けについて虚偽を申告するなどをおこなった場合、不正受給となります。

不正受給が発覚した場合は、失業保険の支給が停止されるだけではなく、受給した手当の返金と2倍の金額の納付命令が課せられる場合もあるため、信頼だけではなく、金銭的にも罰則を受けることになります。

不正受給をしているつもりでない場合でも支給されている間は、不正とみなされることがないように気をつけましょう。

失業保険の支給額は離職前の5~8割になるため、支給を受けていても不安だという方は補うためにアルバイトやパートを検討したいという方もいるでしょう。

失業保険の給付を受けている期間も、「定職に就いた」とみなされない日数でのアルバイトであれば可能ですが、「どれぐらいの期間に何日間・何時間働くと定職とみなすのか」というのは、厳密に決まってはいないため、自分で判断をおこなうのは注意が必要です。

求職中にアルバイトをしたい場合には、7日の待機期間の間に始めないようにし、あらかじめ1日の労働時間や賃金について、ハローワークの職員の方に相談をおこなっておくことで、求職活動中のアルバイトも安心して活動することができます。