「IT業界へ転職を考えているけれど未経験だし履歴書の自己PR欄に書くことなんて無い」
そんな風に悩んではいませんか? 今回はIT業界経験者と未経験者どちらにも対応した自己PRの書き方を紹介します。
そもそも自己PRとは何かということから、ITで評価されるスキルや経験、注意点などを確認していくので、IT業界へ転職する際の参考にしてください。
自己PR(アピール)とは
一般的に採用担当者が最初に目にするのは履歴書と職務経歴書です。プロフィールは変えることはできませんが、自己PRは工夫できます。
ここでこの人物に会ってみたいと採用担当者に思わせることができれば、次のステップである面接への道が開かれる可能性が高まります。
それではこの大切な自己PRについて確認しておきましょう。
自己PRできる3つのこと
自己PR欄で書く時のポイントは、何をしてきたか、何ができるか、企業で何をしたいか(どう役立てるか)の3つを盛り込むことです。
ポイント1. 何をしてきたか
転職の際は今までしてきた業務内容を書くのですが、自分がやってきた事を「簡単なこと」であるとか「特に書くことではない」と決めつけずに記入しましょう。
ポイント2. 何ができるか
何をしてきたかと重複する部分もありますが、現在どのような能力があるか、またどのような資格を持っているかを詳しく記載しましょう。自分には当たり前のことでも第三者から見ると特別なスキルである場合もありますし、企業がそのスキルを必要としていることもあります。
ポイント3. 企業で何をしたいか
面接でも必ずと言っていいほどよく出る質問ですが、採用担当者はこの質問で求職者が会社を正しく理解しているかどうかを確認するという意図もあります。履歴書に記載する際も、その企業が必要としているのはどういった人材で自分はどのように希望に応えられるかということを考えて記入しましょう。
自己PR欄にはこの3つのことを盛り込んで記載する必要があります。自分をしっかりアピールできれば、企業側に雇った場合、どのように活躍するかをイメージしてもらいやすいです。
では、次ぎに自己PR文を考える手順を紹介します。
自己PR文を考える手順
自己PRのポイントについて解説してきましたが、今度は自己PR文を考えるための手順を確認します。
手順1. 自分の強みを活かせる職種を選定
一口にITといっても、システムエンジニア、プログラマー、クリエイター、セールスエンジニア、webデザイナーなど様々な職種があり、それによって求められるスキルや業務内容が異なります。
自分の強みやスキルが活かせる職種を選定することが大切です。
手順2. アピールするテーマの選定
就職を希望している職種で役に立ちそうなスキルや能力の中で一つにテーマを絞って書くと、起承転結がしっかりして相手に伝わりやすくなります。
手順3. 根拠となる経験・エピソード
自分のスキルや能力を「〇〇できます」と書いても説得力があまり無く、伝わりづらい文章になってしまいます。そこでアピールするテーマの根拠となる自分の経験・エピソードを書くことで、リアリティが生まれ説得力が増し伝わりやすくなるのです。
手順4. 自分のスキルや能力をどのようにその会社で活かしたいかを説明
自分が身に付けているスキルや能力を使ってどのように会社に貢献できるのかをきちんと説明することで、採用担当者が入社後にどう活躍してくれそうかをイメージしやすくなります。
この4つの手順に従い自己PR文を書いてみて、出来れば誰かに読んでもらってください。専門的な部分は分らなくても文章として読みやすいかどうかの参考になります。
自己PRのポイント・コツ
自己PRはしっかりと採用担当者に伝わらなければ意味がありません。伝わりやすくするためにはストーリー性と具体性が必要です。
エピソードにはストーリー性を盛り込む
エピソードはただ経験を羅列するのではなく、ストーリーも入れるとその人の人間性が伝わりやすくなるのでおすすめです。
例)粘り強さをアピールする場合
①最初は〇〇という状況でした
②しかし、あきらめずに〇〇をし続けました
③結果、〇〇という目標を達成することができました
このように起承転結のある文章だとただ実績や能力が伝わるだけでなく、人間性や性格もアピールできます。
スキルや経験は具体的に記載する
単に「〇〇業務全般を経験しました」だけだとどのレベルなのか、やってもらいたい仕事はできそうかという判断を企業側がしにくいです。より自分を知ってもらうためにスキルや経験は具体的に書きます。
数字があるものは数字をきちんと記載する
数字という客観的なもので成果をアピールできるとより企業に伝わりやすい自己PRになります。
自分の経験などは書きなれないと自己PR欄に上手くまとめられない場合があります。何度か書いてみて分りやすい文章を目指しましょう。
ITエンジニアに転職する場合にアピールできるもの
ITエンジニアに転職をする場合はどのようなスキルが評価されるのでしょうか?
必要なスキルを知る前に先ずITエンジニアとはどのような職業かを確認しておきます。
ITエンジニアとは
ITエンジニアはIT技術者とも呼ばれ、情報技術に関連する技術者の総称として使われています。
具体的にはシステムエンジニア(SE)、プロジェクトマネージャ(PM)、ネットワークエンジニア(NE)、データベースエンジニア、Webエンジニアなどがあります。
このようにITエンジニアと一言でいっても様々な仕事があり、単に情報技術だけではなく他のスキルも必要です。
必要とされる技能や能力
それではどのようなスキルが必要なのか確認していきます。
必要スキル1. 基礎IT知識
ソフトウェア、ハードウェア、データベース、ネットワーク、セキュリティの5つの知識はどのITエンジニアでも必要です。
必要スキル2. プログラミングスキル
ITエンジニアの基本となるスキルです。しかし、開発領域や案件などにより使用される言語が異なります。
必要スキル3. コミュニケーションスキル
「エンジニア」という言葉から無口な技術屋のイメージを持たれがちですが、顧客の要望を聞いたりチームとミーティングをしたりと意思疎通をしっかり取らなければならない状況が多くあります。そのためコミュニケーションスキルは非常に重要です。
必要スキル4. ドキュメント作成スキル
ドキュメントとは文書ファイルのことで、要件定義書、基本設計書、詳細設計書、単体テスト仕様書、結合テスト仕様書、総合テスト仕様書などを作ります。
ITエンジニアには知識やプログラムスキルだけでなく、コミュニケーション能力やドキュメントを作成する文章力なども必要となるのです。
IT業界経験者のアピールポイント
自己PRの仕方もIT業界経験者と未経験者では当然変わってきます。そこで経験ありとなしの場合に分けて自己PRの書き方を紹介します。
ではIT業界経験者の場合から確認していきましょう。
企業側から見た、経験者を雇うメリット
企業側が経験者を採用する場合、何を求めているのでしょうか?
メリット1. 即戦力になる
経験やスキルがある=そのまま即戦力となる
経験者を雇う最大のメリットといえます。
メリット2. 研修コストを抑えられる
ノウハウを知っている場合が多いので、その分研修のコストを抑えやすいです。
経験者を雇えば企業側は即戦力を手に入れて研修コストも削減できるので、特に欠員の補充などの急ぎの求人なら圧倒的に経験者が有利になります。
経験者がアピールすべきは「技術・スキルの高さ」と「経験・成果」
IT業界の経験があるなら未経験者と比べてかなり有利です。そのためアピールするのは「技術・スキルの高さ」と「経験・成果」です。
PRポイント1. 技術・スキルの高さ
プログラマーや制御・組み込みエンジニア、そしてテストエンジニアなど、どの職種にいてどのようなことが出来るかを書きます。
PRポイント2. 経験・成果
今までITエンジニアとしてどのようなプログラムやシステムを構築してきたか、自分が携わったものがどのように役立ったかなどを書きます。
他の業界同様にITエンジニア系でも、経験者のスキルや技術の高さは強力なアピールポイントになります。そのため、そのアピールポイントをいかに上手く伝えることができるのかは非常に重要です。
アピールのコツ
一言でいうと、アピールでポイントとなるのは具体性です。
コツ1. 転職した後に活かせそうな経験を具体的に書いてアピールする
どの程度のITスキルを持っているのか、会社に入ってからどのように活躍してくれそうかを採用担当者にイメージさせることができるように書くことが大切です。
コツ2. 直接アピールできるPCスキルや専門知識を記載する
保有資格などがあれば記載すると経験やスキルのレベルの高さを伝えることができ、かなりのアピールポイントになります。
コツ3. 経験が豊富、長い方は経験期間を記載する
経験が豊富である場合はその経験期間も記載すると即戦力とみなされ、仕事への対応力もアピールできるのでおすすめです。
コツ4. 自分が関わった前後での変化を分りやすく伝える
自分が関わったことでどのように変化したか、どの程度の成果が出たかをなるべく客観的に分りやすく伝えます。可能なら数字も入れるとよりいいです。また起承転結を文章構成につけると分りやすくなります。
この4つのポイントを意識して自己PRを書いてみてください。
IT業界経験者の自己PRの書き方とアピールポイントとなるのは、自分の経験と実績を客観的に分りやすく採用担当者に伝えると言うことです。
中途採用の場合、即戦力となることを望まれる場合が多いので転職先で何ができるかが明確に伝わることが重要となります。
未経験者の自己PRの書き方・アピールポイント
業界未経験や新卒の場合はどのようなことを企業にアピールすればいいのでしょうか?
まず、未経験者を採用する企業のメリットを確認します。
企業側から見た、未経験者を雇うメリット
未経験者を雇うことでも企業側にはメリットがあるのです。
メリット1. 意欲や熱意のある人材の可能性
未経験という不利な状況にも関わらず応募してくるため、意欲や熱意がある人材の可能性が高いです。
メリット2. 新しい風を取り入れられる
経験がないからこそ既存の考えや常識に固執しないで新たな発想や考えができる可能性があります。
従業員に必要な意欲と熱意、そして未経験だからこそ出来る斬新な発想などを企業は期待します。
未経験者がアピールすべきは「人柄」と「ポテンシャル」
中途採用は経験者が優遇される傾向にあるなか、未経験はどのようなことをアピールしていけばいいのでしょうか?
PRポイント1. 人柄
採用担当者が、この人物と一度会ってみたい、一緒に働きたい、と思わせることができれば面接へつなげることができます。責任感がある、コミュニケーション能力が高い、勉強熱心など自分が特に自信を持っているところをアピールしていきましょう。
PRポイント2. ポテンシャル
過去の経験や所持している資格などから自分にいかに伸び代があるか、あるいは仕事を早く覚えられて企業にプラスになるかなどをアピールします。
今までの経験を直接的にアピールすることはできませんが、その分人柄やポテンシャルをアピールすることが必要です。
アピールのコツ
スキルや経験がない分、PRポイントで指摘した人柄やポテンシャルを中心とした内容を書きます。
コツ1. 自分の強みや性格が伝わるエピソードを話す
人柄やポテンシャルが伝わるようなエピソードを結論ファーストで書くと伝わりやすいのでおすすめです。
それではIT業界で評価されやすい人柄と特長を紹介します。
・チームで一緒に作り上げることが好き
・効率化を考えることが多い
・地道な作業や調査が苦にならない
IT業界はチームプレイでメンバーとコミュニケーションを取りつつ、地道な作業をコツコツやる必要があります。この作業が苦になるようだとIT業界は厳しいです。
コツ2. 経験はないが、自分なりに学習していることをアピールする
努力家な一面や意欲をアピールすることができるので非常に効果的です。また資格を持っていなくても勉強中とアピールすることで熱意や努力家であることのイメージにつなげることができます。
コツ3. 計画性があることをアピールする
エンジニアは納期までにシステム開発などの仕事を終わらせる必要があるため計画性は大切な能力です。そのため計画性をアピールするのも一つの手になります。
未経験というハンデを少しでも埋めるためにいかに自分がITエンジニアの業界(履歴書を出す会社)に向いているか、いかにやる気があり勉強をしているかをアピールしなければなりません。
ITエンジニアで必要となる/アピールできる言語
ここでは具体的にITエンジニアに必要で、学習しておくとアピールできる言語を職種ごとに紹介します。
Webデザイナー
必要なスキル:html、CSSの知識
プラスになる知識:PythonやPHP、java scriptやRuby
プログラマー
プラスになる知識:C言語やC ++、Swift
ネットワークエンジニア
プラスになる知識:shellscriptの知識
ネットワークエンジニアの職種は0からスタートする人がほとんどで、perlやPHPも理解しておくとSEとの話もしやすくなります。
ハードウェアのエンジニアについては、記述言語の知識が必要なのですが、特殊な言語のため、求職者が事前に身につける必要はありません。
ソフトウェア・ハードウェアとは
ハードウェアとは、入れ物のことで、人間でいうと体です。それに対しソフトウェアとは、ハードウェアの中で動作するプログラムやアプリケーションで、人間で例えると神経や心などに相当します。
Webデザイナーやプログラマーはソフトウェアエンジニアとなり、ネットワークエンジニアはハード面・ソフト面双方を兼ね備えたエンジニアと言えます。
中途採用はどうしても経験者のほうが未経験者より有利です。未経験者がそのハンデを乗り切るためには自分がIT業界向きであるということとポテンシャルが高いというアピールが大切です。そして少しでも知識の面で追いつくために就きたい職種で使用する言語を身に付けるなど努力をしておくことも必要になります。
注意するポイント
IT業界経験者と未経験者に分けて自己PR欄に書くべき内容を紹介してきましたが、ここでは逆に書くべきではない内容、注意するポイントについて確認していきます。
注意1. 抽象的なことはなるべく書かない
「○○できます」「私は○○という性格です」のような抽象的なことだけ書いていると、人物像がイメージしにくいです。人物像が分らないとどうなるのでしょうか?
何をしたいかが分らない
企業側が自己PRから読み取りたいのは、その人物を採用した場合にどのような活躍が期待できるかということです。しかし抽象的な内容だと人物像がイメージできず、採用後に何をしたいかが分りません。特に未経験者の場合、採用担当者がしっかりとイメージ出来るよう具体的な内容を記載するように心がけましょう。
抽象的過ぎると誰にでも書けると思われる
他の人と差別化できず、本当にその経験をしたのか疑われる可能性もあります。経験者にとってこれほどもったいないことはないので、客観的に見て具体的かどうか確認するのがいいでしょう。
未経験者も経験者もなるべく抽象的な内容は避け、具体的な内容を書くように心がけてください。
注意2. 事実のみを羅列しない
事実だけでなくその経験から何を得たのか、どのようなことを考えたのかを書かなければ性格や人柄が伝わりません。
その場合も採用担当者が入社後の活躍がイメージできないのでマイナスになってしまいます。
自己PRを書くときには、抽象的ではないか、事実の羅列になっていないかを気を付けて書きましょう。
自己PRは採用担当者に自分をイメージさせる内容を書かなければならない
IT業界へ転職する際に履歴書の自己PR欄に何を書くべきかを確認してきました。経験者と未経験者でアピールポイントは当然違ってくるのですが、それでも共通して言えるのは具体的な内容を書かなければならないということです。
そうすることで採用担当者に採用後にどのような活躍が出来るかをしっかりとイメージさせることで、次のステップである面接への道が近づきます。
自己PRは書いたら終わりではなく、読み返したり第三者に読んでもらったりして客観的かつ具体的に書かれているかを確認してみてください。