近年、ニュースでも耳にするようになったフリーランスという言葉について、具体的にどのような意味があるかを知っていますか。

フリーランスは働き方を示す言葉で、会社や組織に所属しないで、個人で仕事を請け負う働き方のことを言います。

企業や組織が求める技術・コンテンツごとに契約をして、能力を提供して報酬をもらうことが大まかなワークスタイルです。

代表的な職種では、ライターやカメラマン、プログラマー、デザイナーなどがあり、その他ではブロガーやYouTuber、ポコチャ、インスタグラマーなどもフリーランスといえる働き方です。

フリーランスは企業に属していないため、国が定める労働基準法などの労働法規は適用外となります。

企業とは異なる独立した事業主として、さまざまな事柄も自己責任で進めなくてはなりません。

すべて自己責任で働くとなると、責任が重くのしかかってくるように感じますが、企業に属して働くよりも比較的自由に働けるメリットがあります。

就労時間、休憩時間、休日、報酬なども自分で決めて働くことができるため、そういった意味では3食昼寝付きで働く、といったこともできるでしょう。

企業に属して働くよりは、自由に過ごせる部分が多いのでかっこよく映る部分もあるかもしれませんが、自由な働き方のほかに正社員とは異なる部分もたくさんあります。

次では正社員にあってフリーランスにないものについて見ていきましょう。

正社員にあってフリーランスにないものとは?

正社員とフリーランスという働き方には、どのような違いがあるでしょうか。

正社員には当たり前にあるものでも、フリーランスには一切ない、そういったものもあります。詳しく見ていきましょう。

正社員は各種税金の計算と納税を会社が代行してくれる

正社員は、所得税や住民税などの各種税金の計算や納税を、会社が代行して行います。

正社員の方は自分で税金の計算をする必要がなく、事前に源泉徴収されるため、個人単位で納税する手間を省くことができます。

フリーランスの場合は、所得税、住民税、消費税、個人業税など税金を自分で計算して納税しなければなりません。

各税金は、確定申告では所得税を計算するところから始まり、フリーランスは避けては通れないものです。

個人事業税、住民税、消費税は、所得税が確定すると計算できるようになるため、確定申告は重要な役割を担っています。

正社員には有給休暇がある

正社員の収入は給与額面では、実際の振込み額よりも3~5割ほど増額して記載されているのを知っているでしょうか。

給与額面の金額が多いのは、有給休暇・社会保険・退職積立金の分がプラスして記載されているためです。

有給休暇は、勤務を始めてから6ヶ月を過ぎると10日間付与され、以降1年ごとに所定の有給休暇がもらえます。

有給休暇の日数は最大で20日で、給与額面にすると0.9割増しで記載されていることがほとんどです。

有給休暇については、労働基準法 第三十九条にも記載されています。

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

労働基準法第39条

また、働き方改革関連法でも、年次有給の確実な取得を進めていて、「使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を与える必要があります。」としています。

有給休暇を取得するときは、使用者と労働者の間で希望を聴取して、できるだけ希望に添うように取得するよう示されています。

  1. 使用者が労働者に取得時季の希望を聴取
  2. 労働者の希望を踏まえて使用者が取得時季を指定

  3. 年休が成立

また、働き方改革関連法は、出勤率が8割以上の方という条件を満たす契約社員やパート・アルバイトの方も対象になります。

厚生労働省:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて

一方、フリーランスには有給休暇という制度がありません。

正社員に当てはまる労働基準法や働き方改革関連法なども対象外なので、休みなく働くこともできるし、自分の好きなときに休むこともできます。

正社員の社会保険は会社が保険料を半分負担している

正社員が受け取る給与は、本来の給与から社会保険料が引かれた金額となっています。

給与の額面には記載されず、本来なら給与の3割ほどが保険料として差し引かれますが、会社が3割の半分を負担しているので、実際に引かれているのは1.5割の保険料です。

フリーランスには社会保険という制度そのものがないため、報酬から差し引かれることはありません。

正社員には退職積立金制度がある

会社によっては無いところもありますが、正社員が退職するときに受け取る退職積立金も、給与額面には記載されていない収入です。

厚生労働省の調査によると、管理・事務・技術職の大学卒・高校卒の方は、勤続35年以上を経て定年退職した場合、平均約2,000万円もの退職積立金を受け取ります。

正社員として35年間働いた場合の平均年収を400万円と考えたとき、退職積立金を含めた年収は約460万円になります。

これは、積み立て退職金による収入が毎月約1.4割含まれている計算になります。

厚生労働省退職給付(一時金・年金)の支給実態

正社員に退職積立金制度があるのに対して、フリーランスには小規模企業共済という経営者の退職金制度があります。

その年に収めた掛け金の全額が小規模企業共済等掛け金控除として控除されるため、節税効果と退職金代わりに利用する方が多いです。

掛け金は毎月1,000円から500円刻みで最高70,000円まで、月払い・半年払い・年払いから支払い方法を選択できます。

加入年齢に制限がないので60歳、70歳の方も加入できます。掛け金は自由に設定できるため、報酬の何割を占めるかは一概に計算できません。

ですが、月に7万円を35年間支払い続けた場合、2,940万円も受け取ることになります。フリーランスの方はなるべく早く加入して、うまく活用するようにしましょう。

残業や休日出勤の手当

正社員には残業をしたり、休日出勤したりすると、それぞれ追加報酬がもらえます。

フリーランスには時間外労働の基準が当てはまらないので、ほとんどの場合、追加報酬を請求することができません。

正社員の給与は、有給休暇分として給与額面の0.9割、社会保険料1.5割、退職積立金として1.4割を会社に負担してもらった上で支払われています。

ほかの諸経費も含めると、およそ5割を負担してもらっていると考えることもできます。

そのため、フリーランスが正社員と同じ収入を得るためには、正社員の収入1.5倍の報酬が必要だと考えて良いでしょう。

フリーランスが会社員と同等程度の保障を得るために必要な年収

正社員の給与では、額面といわれる基本給や交通費などを合計した給与の総支給額から、税金や保険料を差し引いた金額を手取りと言います。

その金額は一般的に額面の7割~8割になることが多く、金額だけを見ると随分引かれているように感じます。

しかし、正社員の平均給与を年収で見ると、決して低いわけではありません。

対してフリーランスの手取り年収は、正社員が利用できる有給休暇・社会保険・退職積立金は差し引かれていません。

もしも正社員の平均給与と比較したいなら、2~3割割り引いて考える必要があります。

正社員は給与額面の約5割を会社が負担しているので、実際にフリーランスが稼ぐべき金額は現状の5割増しと考えることもできます。

現年収の5割増しの年収は、なかなか厳しいものがあると思いますが、そのくらい稼いで初めて正社員と肩を並べるようになります。

年齢

正社員の平均給与

フリーランスが稼ぐべきお金

20~29歳

約327万円

約490万円

30~39歳

約474万円

約711万円

40~49歳

約528万円

約792万円

50~60歳

約557万円

約835万円

国税庁年齢階層別の平均給与

フリーランスの平均年収ってどれくらい?

フリーランスの平均年収は、職種により異なりますがコピーライター・WEBデザイナー・プログラマーなどWEB関連の職種は500万円前後で推移していて、金額だけ見れば30代~60代までの正社員の給与と大差はありません。

フリーランスの平均年収

職業年収
コピーライター547万円
WEBデザイナー430万円
プログラマー509万円
WEBマーケター503万円

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WEB関連以外では、専門性が高い職種としてエンジニアが挙げられます。

正社員時代の経験やスキルを活かそうとする傾向が強く、年収は700万円~1,200万円にもなる方がいます。

複数の企業と契約したり、口コミで顧客が増えたりすれば、これ以上に年収が上がる可能性もあるでしょう。

弁護士、税理士、司法書士、公認会計士、社会保険労務士などの難易度の高い資格を持つ方の場合、平均年収は600万円以上~1,000万円と言われ、人気弁護士ともなると1,000万円を超える方も少なくありません。

ただ、士業の多くは国家資格を取得するまでに時間や費用がかかります。

誰でも簡単に取得できるものではないことを考えるとかなりの難関で、資格を取得したからにはこれくらい稼いでもおかしくないともいえます。

また、フリーランスの中でも働き方によって年収は大きく差があり、2018年の調査によると、副業として隙間時間を活かしながらフリーランスで働く方だと平均74万円、複数の仕事を持つ複業系パラレルワーカーの方なら平均154万円、自営業として独立して働く方の場合平均356万円となっています。

フリーランスの平均年収の実態調査

職種年収
副業系すきまワーカー74万円
複業系パラレルワーカー154万円
自由業系フリーワーカー157万円
自営業系独立オーナー356万円

【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版

働き方別で見ていくと平均年収はぐっと下がり、自営業系独立オーナーでも400万円に満たない状態です。

本業のほかにフリーランスとして働く副業系すきまワーカーでは100万円にも達しません。

本業の年収と合わせれば400万円を超えてくる方が多くなるものの、全体的に見ればフリーランスの年収は高くはないといえます。

現在、正社員として企業に属している方が、これからフリーランスに転向しようと思っているなら、始めに目指すのは正社員時代の年収を目安に稼ぐことです。

どのような職種でフリーランスになるかにもよりますが、多くの場合は企業で培った経験やスキルを活かそうと思う方がほとんどでしょう。

フリーランス初年度から正社員時代の年収を超えるのは難しいと思いますが、一応の目安、目標として意識しておいてください。

フリーランスは自由度が高くてもすべてが自己責任の世界! 会社員時代と同じ水準の年収が欲しいなら目安を知ろう

フリーランスとして働くことは、企業や組織に属さない分、就労時間にとらわれることなく比較的自由な働くことができます。

請け負う仕事が多ければその分の報酬も多くなり、自分のスキルや経験もたくさん活かせるようになるでしょう。

ですが、フリーランスは労働基準法などの労働法規が適用外になるほか、税金の管理・納税も自分でやらなければならない一面も持っています。

ある意味では自由度が高い働き方ができる反面、すべてが自己責任の世界ともいえるのです。

たくさん稼いだならその分の税金を計算して納税しなければならないし、あまり稼がなかったときはその分の報酬は誰からも補償してもらえません。

休みを取ったとしても有給休暇のような制度はないため、すべて自分で管理していく必要があるのです。

フリーランスの報酬を年収という単位で見た場合、現在の年収は正社員時代の年収と比べて多いでしょうか。

正社員時代の年収と同じくらいだったとしても、それで満足するようではまだまだです。

正社員の給与は、有給休暇・社会保険・退職積立金にかかる費用を会社が約5割負担した上でもらうものです。

ほとんど何も引かれないで報酬をもらうフリーランスは、正社員の5割増し程度の年収が必要になると考えても良いでしょう。

フリーランスとして、正社員時代と同じくらいまたはそれ以上の年収となるように稼ぎたい方は、一応の目安として正社員時代の年収5割増しの金額を目標にしてみると良いでしょう。