なぜ50代女性の転職は難しい?

働き方改革によって、多様な働き方を選択することが推進されていますが、転職者の数は2010年から右肩上がりを続けており、2019年では年間351万人の方が転職を行っています。

転職をする理由には、給与や待遇の向上だけではなく、スキルアップや新しい人間関係を構築するため・自分の成長のためなどがありますが、人生を新たなステージへ導くものとなります。

 

画像元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「完全失業率、有効求人倍率」

 

2010年から増えてきた有効求人倍率は現在、失業率を大きく上回っており、企業は人材不足に陥っており、新卒入社だけではなく、すでに多くの経験を有している転職者のニーズも高まっていますが、50代の女性の転職は決して簡単ではありません。

画像元:厚生労働省「一般職業紹介状況(平成29年8月分)について」

 

50代女性は主婦としての家の仕事も子育ても一段落している人が多く、時間の融通が利きやすいことや、子どももある程度成長していることが多いため子供の病気で急に休むことが少ない世代と考えられており、50代女性に注目している企業もあります。

 

しかし、50代女性が転職をしやすいというわけではない理由の1つとして、結婚や出産などによってライフステージの変化が起こりやすい2030代の女性が、仕事を辞めることが減ったことがあり転職は若いほど選択肢が多い傾向があるため、50代女性の転職は難しいと言われています。

画像元:男女共同参画局「女性の年齢階級別労働力の推移」

 

他にも50代女性の転職が難しいといわれる理由には、残念ながらさまざまな要因があるといわれているため、その詳細を確認しておきましょう。

記憶力や体力の衰えがある

転職は即戦力が求められますが、筋力や基礎体力が落ちてくるため、それまでのスキルは認められても、それを十分発揮してもらえるかと不安視されてしまいます。

資格があまり役に立たない

育成の意味を兼ねる若い求職者と異なり年齢を重ねている分、実務経験が求められるため、それまで活用していなかった資格を利用したいと思っても、それを認められないということがあります。

家事や介護

50代女性には、家事や子育て・介護という役割を担っていることが多く、残業などの負担が生じても、全ての時間を仕事に費やすことが出来ないことが不安とされます。

長く働けない

定年が70歳まで延長する改正案の骨子が発表されていますが、現在の「高齢者雇用安定法」では、50代から定年まで働いても約10年間しかないため、長期の就労を期待することができないということがあります。

 

 参考/総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2019 (令和元年)平均速報」

男女共同参画局「女性の年齢階級別労働力率の推移」

50代女性を雇いやすい職場とは?

50代女性の転職先としてどのような働き方・どのような就業先があるのか、自分に向いているのはどのような仕事なのか、多様な働き方の中から検討していきましょう。 

パート

「パートタイム」として午前だけ・午後だけといった短時間勤務で、週1からの求人や扶養内など、幅広い働き方の中から、自分の都合に合わせやすい働き方となっています。

50代女性が活躍しているパートにはどのような職種があるのか、どのようなスキルを活かすことができるのかとともに確認をしていきましょう。

サービス業

キッチンやホールスタッフ、家事代行にレジ業務など、主婦として得てきた経験を活かすことができる仕事は、仕事としての経験が浅くても活躍することができます。

調理スタッフとして家庭で料理をしてきた経験を活かすことができ、スーパーのレジ係やレストランのホールスタッフでは家事や子育てなどの経験を活かして気を利かせることが重宝されます。

 

家事代行業は、共働き世帯の増加によってスタッフの求人が積極的に行われており、一度きりのハウスクリーニングから、富裕層向けや限られた対象向けのハウスキーパーなど、自分に合った家事代行スタッフとして働くことができます。

コールセンター

敬語や話し方が丁寧な点・若い方には少ない落ち着いた丁寧な対応などを活かすことができ、パソコンの操作が苦手な方でも、専用のシステムを利用することが多いため、覚えることが少なく挑戦することができます。

受付

銀行・カルチャーセンターなど、多くの人が集まる施設の受付などでは、高齢者にとって子ども世代に当たる50代主婦は話しかけやすいということが多いため、活躍している50代女性は多いです。

続いて業種ではなく雇用形態についてチェックしてみましょう。

派遣社員(契約社員)

派遣会社に登録し派遣先の企業で働く派遣社員は、フルタイムの仕事だけではなく、短時間勤務の仕事も幅広く用意されており、パートなどよりも高い時給で働くことができます。

 

スキルアップのためにも人気の派遣社員ですが、派遣先の指揮命令者が年下の社員を好む傾向にあり、派遣を依頼するときに若い人材が選ばれがちとなっているため、登録をするときに条件をたくさんつけてしまうと不採用となってしまうことも多くなってしまいます。

現実は厳しいですが、単発の仕事を進んで引き受けたり、一社のみではなく複数の派遣 会社に登録しておくことで、チャンスを広げることができます。

正社員

正社員に転職することは可能ですが、多くの職種では難易度は高く、専業主婦から正社員として就業するためには、医療系など何かしら専門的な資格を持っていることや専業主婦になる前に特別な業務をおこなっていたなどの経験があれば、可能性はあると言えます。

 

それでも約10年後には定年退職が迫っているため、内定を獲得できる可能性は低いですが、飲食業や介護職など、主婦としての経験を活かすことのできる職種であれば比較的転職しやすいといえます。

正社員から正社員に転職する場合には、同業種であれば今までの経験を活かせるため、即戦力になることもできるため、次の仕事を選ぶ際に同じ業界に転職した方が採用の可能性を高めることができます。

フリーランスや内職

プログラマーやデザイナー・ライターといった「手に職」を持っている方であれば、業務委託で仕事を請け負うフリーランスという働き方を選択する方も多く、裁縫や手芸など何かを作ることが得意な方はフリマアプリやハンドメイドアプリなどで販売をしているという方もいます。

 

従来の内職も再び注目を集めており、なんのスキルもないけれど、コツコツとした仕事が得意であるという方や家の中で働きたいという方には、部品の組み立てやDMの封入・データ入力などの軽作業といった仕事に就くという方もいます。

 

フリーランスや個人販売の仕事は、自分の都合に合わせた働き方をできるものもありますが、仕事数や売れ行きなどによる収入の不安定さがあり、内職は基本的にあまり稼ぐことのできないというデメリットがあります。

50代の就業者割合は?

50~54歳女性の就業者

従業上の地位

%

正規の職員・従業員

37.4

労働派遣事業所の派遣社員

3.1

パート・アルバイト・その他

48.0

55~59歳女性の就業者

従業上の地位

%

正規の職員・従業員

34.5

労働派遣事業所の派遣社員

2.0

パート・アルバイト・その他

48.3

 

平成27年国勢調査 就業状態等基本集計結果

 

2015年の国勢調査による、50代女性の就業者による就業形態では、50~54歳・55~59歳の50代女性のいずれも、正規雇用として働くよりも、パート・アルバイトで働いている方のほうが多く、派遣社員として働いている方は少ししかいないということが明確です。 

 

50代から転職をおこなった場合には、20代・30代の若年層よりも選択肢が狭まっており、社員として働くことのは難しい道のりであるということがわかります。

50代女性が転職を成功させるには? 

転職が難しいといわれている50代女性ですが、転職を成功させるためには、どのようなコツがあるのかを確認していきましょう。

資格にとらわれない

「せっかく資格を持っているから、これを活かして仕事を探したい」という方もいますが、その資格を本当にいまの自分が仕事に活かすことができるのかということや経験が即戦力として役立てることができるのかによって、資格が役に立つか否かということが変わってきます。

 

資格を持っていても、経験がない場合や浅い場合には、企業からは逆に扱いづらいと捉えられてしまうことがあります。

資格にこだわっていると却って職に就くまでの遠回りとなってしまうことがあるため、持っている資格にとらわれず、幅広く職を探すことが必要です。

基本的なパソコンスキルを身につける

完全に接客のみであるなどの限られた職場以外では、どの職種でもパソコンが使えることを要求されることがあるため、基本的なパソコンスキルを身につけておくことで、採用に近づくことができます。

 

基本的なパソコンスキルとは、パソコンの起動・終了ができることや、メールの送受信ができること・文字入力ができることを最低限としており、主にパソコンを利用する職場では、タイピングがスムーズにできること(ブラインドタッチ)や、ワードやエクセルを使ったことのある方などとと、職場によって求められるスキルが異なります。

経験値のアピール

50代女性にとっての一番の武器は「経験」であるため、これまでのキャリアを見つめ直し、今活かすことのできるスキルで即戦力として働くことのできる仕事を探すようにしましょう。

たとえそれまで専業主婦として就業から遠のいていたとしても、家事や育児で培った経験をどのように活かすことができるかを考え、自分の強みとしてアピールすることで、採用へ近づくことができるでしょう。

 

定年まで働く可能性

 定年までの約10年、ずっと働くということを考えた場合、精神的・体力的に続けることができそうな仕事を探すことが大事であり、年齢による衰えや更年期が重なる時期であるため、就職時点で無理をするような仕事であるならば考えなければいけません。

50代だからこそ、の強みをアピールしましょう

50代女性は、家事や育児・介護で仕事を離れていた方が再び社会で活躍を考え始める時期でもありますが、体力の衰えや定年までの時間が短いことを心配した企業では、採用を見送られてしまうことがあります。

 

しかし50代女性にはそれまで積み上げてきたスキルがある場合や家事などのスキルを活かした仕事は需要が高まっており、子育てが一段落して時間の融通が利きやすい50代女性は雇いやすい人材と考える企業も増えています。

 

少子高齢化が進んだ現代では、50代女性の活躍の場はますます広がっていくと考えられ、正社員や派遣社員などの枠や職種にとらわれることがなければ、50代女性の転職は必ずしも難しいだけのものではありません。

50代の女性を採用したい企業が求めるのは、目に見える資格や技術などよりも、マルチタスクである家事をおこなってきた柔軟性やホスピタリティーであることが多くなっています。

 

離職前のスキルを活かすにしても、家事で培った技量を活かすにしても、自分の強みが一体どこにあるのかを見つめ直すことで、自分のキャリアに自信を持つことができます。

何かの資格を取るよりも現実に即したパソコンなどの勉強をおこない、中高年向けの求人サイトなども活用しながら、自分に合った働き方のできる仕事を見つけることで、これからの人生を魅力的にいきいきと輝かせましょう!