年収300万円はまし?所得分布と性別・年齢別の平均年収を基に調べてみた

働くことで得る年収というのはどうしても気になってしまうものですが、周囲と比べてどうなのか、同年代から見てどうなのか、そういったことを気にするとキリがありません。

例として「年収300万円はどうなのか」について解説していきます。

年収300万円はましなのか所得の割合を調査

年収300万円はましなのか所得の割合を調査

それでは年収300万円というのが、具体的にはどれくらいの位置にあるのかを解説します。

国税庁による「民間給与実態統計調査結果|調査結果の概要」を参照すると、令和元年における資本金2,000万円未満の株式会社での男女合わせての平均年収は年収436万円、その内の男性が453万円、女性が250万円となっています。

一方、資本金10億円以上の株式会社においての男女合わせての平均年収は618万円、その内の男性の平均年収が739万円、女性の平均年収が360万円となっています。

株式会社の資本金が上がれば上がるほど平均年収が上がっていきますが、総合して見ると年収300万円は男性だと低く、女性だと高いと言うことができます。

ただし、個人事業主の方の平均年収は男女合わせて257万円で、男性の平均年収が314万円、女性の平均年収が230万円となっています。

個人事業主の方の場合は年収300万円は低いわけではないということがわかります。

その他の年収は全体のどれくらいの割合なのかを見てみましょう。

年収300超~400万円以下

年収が300超~400万円以下という方は全体の17.0%、全体の約5分の1存在し、総合すると年収400万円以下の割合は54.8%もいるので年収300万円というのはさほど珍しくないとわかります。

そして、年収200万円超~300万円以下は16.3%、年収400超~500万円以下の方は14.1%いて、年収500~600万円以下の方は9.7%いるとなっているため、年収別割合で一番高いのは年収300超~400万円の17.0%です。

年収200超~300万円以下、年収300超~400万円以下の割合を合わせると33.3%であることからも、年収別の割合で比較すると年収300万円というのは大多数に属しています。

まだまだ上を目指す余地があるとしても決して不当に自分の年収を悲観する必要はないのが年収300万円と言えるでしょう。

参考:国税庁「民間給与実態統計調査結果|調査結果の概要

年収300万円がましかは年齢・性別によっても違ってくる

年収300万円がましかは年齢・性別によっても違ってくる

そして、年収は年齢・性別によっても大きく変化します。

総じて年齢が上がっていけば上がっていくほど年収は上昇していきますし、女性より男性の方が収入は上となっています。

以下でまとめたので比較してみましょう。

年齢男性女性合計
19歳以下146万円115万円129万円
20~24歳277万円242万円260万円
25~29歳393万円319万円362万円
30~34歳458万円309万円400万円
35~39歳518万円311万円437万円
40~44歳571万円317万円470万円
45~49歳621万円321万円498万円
50~54歳656万円319万円514万円
55~59歳668万円311万円518万円

このように、男性は25歳を過ぎると平均年収が大幅に増えて300万円を超えますが、女性は少し遅れて30歳になってから少し上回ります。

性別を総合すると年収300万円を超えるのは30歳を過ぎてからというのもわかります。

なお、男性は年齢が上がれば上がるほど平均年収が上がっていきますが、女性は年齢の増加と年収の増加が対応していないというのも注意が必要です。

年収300万円が高いか低いかを考える上で、自分の年齢と性別もよく考慮する必要があります。

参考:令和2年分 民間給与実態統計調査

年収300万円の生活水準

年収300万円の生活水準

重要なのは年収がどれくらいあるのかもですが、年収300万円でどれくらいの生活ができるのかも非情に重要です。

年収300万円は手取りで言えば月収約20万円が目安であり、そこから家賃や生活費が差し引かれていきます

「独身×実家暮らし」・「独身×一人暮らし」・「配偶者×子供なし」・「配偶者あり×子供あり」それぞれのタイプに別けて、生活水準を紹介します。

独身×実家暮らし

家賃という大きな出費のない独身×実家暮らしの方は、年収300万円でも特に問題なく生活することが出来ます。

家にお金をどれくらい入れるかにもよりますが、SUUMOジャーナルの調べによると、1か月で自由に使える金額は一番多い年代が30~34歳の男性が53,421円、女性が57,272円となっています。

仕事の付き合いが多く、収入も増加傾向にあるのが主な理由と言えるでしょう。

なお、1か月で自由に使える金額が一番少ない年代が20~24歳で、男性が40,285円、女性が48,235円となります。

これはあくまで必要経費を除いた趣味嗜好に活用できる金額ですので、自分が仕事や生活を送る上で必須の出費とは別けて考える必要があります。

1か月のうち、自由に使える金額は4~5万円を目安にすると良いでしょう。

なお、都市部に実家がある方はともかく、地方に実家のある方は自動車が必須となりますので自動車の維持費用も念頭に置きましょう。

もろコミカーコンカーリースによると、軽自動車の年間維持費は328,965円、コンパクトカーの年間維持費は387,850円、ミニバンの年間維持費は449,050円となります。

他にも、年間保険料が地区によって変動しますが年収300万円なら全額約3万円、折半で約1万5千円が毎月かかると見ておくのが良いと言えます。

手取り20万円でも「独身×実家暮らし」で年収300万円は十分にゆとりのある生活を送ることが出来ます。

参考:もろコミカーコンカーリース「車の維持費は年間どれくらいかかる?内訳や維持費を安定させるための方法とは

SUUMOジャーナル「毎月いくら? 実家暮らしの自由に使えるお金と貯金

・独身×一人暮らし

実家暮らしと違い、一人暮らしは家賃という非常に大きな出費を毎月支払う必要があります。

家賃は住むところにもよりますが、4~10万円の幅があると見ると、年間で50万円~100万円の出費があると考えられます。

さらにSUUMOジャーナルを見てみると、1か月あたりの電気・ガス・水道を合計した光熱費は平均が1万3千円、男性が1万3,800円、女性が1万2,100円となっています。

毎月の通信費は男性が11,000円、女性が9,500円かかります

家賃がどれくらいなのかにもよりますが、年収300万円台でも生活を送る余地は十分にあります。

ただし、食費が毎月最低3万円はかかり、他にも服を購入したり日用品の補充をしたりするのも考えると、毎月約5万円が食費やその他の出費として出ていくと考えられます。

住む場所によっては車移動が必須になるので軽自動車の年間維持費として328,965円が出費に加わります。

一年間に渡って自由に使えるお金というのは非常に限られてきます。

日常生活を送るには不便がなくとも、老後のための貯蓄を考えると贅沢しすぎると危険なのが年収300万円です。

参考:SUUMOジャーナル「一人暮らしのお金調査【前編】 家賃、水道・光熱費、通信費、いくらかかってる?

・配偶者あり×子供なし

配偶者がいるけれども子供がいない、子供が独り立ちした、子供をこれから作る予定という場合、年収300万円は世帯年収では厳しいものがあります。

毎月かかる生活費の目安

食費約43,600円
外食約20,596円
住居約38,785円
光熱・水道約13,641円
家具・家事用品約11,234円
被服及び履物約11,234円
保健医療約20,863円
交通・通信約38,517円
教育約267円
教養娯楽約30,493円
その他約28,888円
交際費約9,362円
合計267,486円

このように、夫が30代で子供がいない世帯では毎月約267,486円の出費があります。

手取りが毎月約20万円であることから、非情に苦しいものがあり、節約が必須になります。

したがって、年収300万円では共働きが必須と言えます。

年収300万円の家庭なら、共働きではない生活をするというのは非情に厳しいものがあります。

参考:総務省統計局「2019年全国家計構造調査家計収支に関する結果

・配偶者あり×子供あり

年収300万円で子供がいる家庭というと、共働きが本当に必須になります。

共働き世帯の毎月の消費支出

SUUMOによると、妻に毎月8万円の収入がある共働き世帯の毎月の消費支出は以下のようになります。

外食含めた食費80,356円
家賃や社宅を含めた住宅費20,497円
光熱費・水道費21,358円
家具・家事用品12,028円
洋服など15,768円
保健医療12,193円
交通・通信66,654円
教育27,508円
教養娯楽37,110円
その他70,199円
合計363,671円

内閣府が出したデータによると一人の子供にかかる費用で一番多いのが毎月2万円以上3万円未満なので、子育ての方針などによって金額は大きく変動しますが毎月の出費は約35万円と見ておくのが良いでしょう。

子供がいるとなると、年収300万円だけで子育てをするというのは極めて難しいものがあります。

共働きにするか、実家で子育てをするといった工夫をする必要があるというのを覚えておきましょう。

自治体の支援制度も積極的に活用するのがおすすめです。

参考:SUUMO「夫婦の生活費っていくら?実際の内訳とセットで公開!

参考:内閣府「育児・教育費用負担の重さ

毎月どれくらいの貯蓄をすべき? 

年収で重要なのは受け取る給料で毎月きちんと生活できることですが、それと同じく収入を貯蓄に回せるかです。

二人以上の世帯の場合、総務省統計局によると、平均貯蓄額が1,791万円、中央値の貯蓄額が1,061万円です。

貯蓄が100万円未満の方の割合が最も多いですが、独身の方も配偶者のいる方も中央値である1,061万円を目指すのが良いでしょう。

そのためには、手取り20万円で10年以内に貯金1,061万円を達成するなら毎月約9万円、15年なら毎月約6万円、20年なら毎月約5万円、30年なら毎月約3万円を貯蓄にまわす必要があります。

これから収入が上がる可能性も考慮すると、毎月約3万円は最低ラインとして貯蓄にまわせる生活を意識しましょう。

参考:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-

年収300万円以上を目指す方法4つ

年収300万円以上を目指す方法4つ

一人暮らしをする方でも、年収300万円以上を受け取っていると貯蓄にまわす余裕がでてきます。

現時点では年収300万円に届かないという方は、まずは年収300万円を目指しましょう。

スキルアップを目指す

高い年収を目指すというのであれば、まずは自分のスキルをどんどん高めていきましょう。

スキルを磨くには強い動機が必要となるので「自分にはお金が必要」ということを強く理解しておくのが重要と言えます。

自分は何をしてきて何が好きなのかというのをよく分析した上で「自分はこれを伸ばしたい」というのを定めて、重点的に自己研鑽をしていくのが大事なことです。

キャリアアップを目指す

自分のキャリアがこのままで良いのかというのをまずは見つめ直すのが必要です。

それから自分はどうやって年収300万円以上の仕事のキャリアを得るのか、それを達成するにはどうすればいいのかを考えましょう。

キャリアアップの過程によっては転職の必要性が出てきます。

副業を始める

すぐに収入を増やしたいという場合は副業を始めましょう。

本業以外にもアルバイトなどをすると収入を上乗せすることができますし、日雇いならお金をすぐに受け取ることができます。

自分の心身を壊さないようによく考えた上で、自分にできそうな副業を見つけましょう。

転職する

今の仕事では年収が上がる気がしないという方は転職をしましょう。

その場合はこれまでの職歴やスキルを活かすことができる同業他社への転職をまずは目指す必要があります。

転職先は自分のこれまで育んできた技術・経験が活かせる業種を選択するのがおすすめです。

給与交渉

今の給与に不満がある場合は直接職場に給与を上げてくれるように交渉してみましょう。

場合によっては給与を上げてもらえる可能性がありますし、その場では上げられなくても「この人は年収を上げたいんだな」と上司にわかってもらうことが可能です。

給料が上がっていく以上は、責任のある仕事を任される可能性も上がりますが、それを乗り切ると出世街道に乗るチャンスも生まれます。